【完結】召喚失敗された彼がしあわせになるまで

鯖猫ちかこ

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「ん、はッ……ふ……っ、ま、まだぁ……?」
「まだだよ、さっきよりは拡がったかな」
「んうー……」
「我慢出来ない?」
「できるう……」
「……ユキは良い子だね」
「ん……っ」

 ジルは本当によく頭を撫でてくれる。
 大きな手は優しくて安心する。ジルの手で酷いことをされた記憶がない。
 髪や頬を撫でられるのもすき。褒めてくれるのがすき。
 おれは実際、悪いことはしないけど別に良いことをする訳でもなし、特別秀でたものがある訳でもない。
 努力家でもないし、何か高い能力がある訳でもない。褒められることがない。
 なのにジルはおれを撫でてくれる。
 弟や小さな妹が居るから?だから癖なのかな?
 こんな、ちょっとしたことで優しく褒めて貰えるのは。

「……撫でられるのすき?」
「んッ、すき……」
「そう、じゃあいっぱい撫でなきゃね」

 手の甲で頬を撫でて、目を細める。
 優しいんだけど、その顔は、弟や妹に向けるものではないと思う。その顔もすきだ。なんだかすごく、安心するから。

「んんっ、ん!」
「締まった、何か嬉しいことがあったのかな」

 ジルの顔にきゅんとした、なんて言える訳ないので答えない。ジルはそれくらいでは怒らない。
 そんなことより、その、躰の中が熱くなってきた。
 さっきの気持ちいいとこじゃないのに、なんでか腰が動く。
 意思とか関係なく、もっとって躰が言ってるみたいだ。

「ジルぅ……も、もう」
「イきそう?」
「ちが……ちがぅ、も、まだ?まだむり?」
「……我慢出来ない?痛いかもしれないよ」
「だってえ……おれっ……おれわるくないもん……」
「そうだね、俺の持ってきた香油が駄目だったね」
「なんかっ、なんか、奥、からだのなかっ……ん、なんかっ……ううう、むずむずする、っからあ、はゃ、はやくどうにかしっ、ほし……!」
「……っ」

 そうだ、悪いのは全部香油のせい。
 こんな、訳わかんなくなっちゃうのは。
 今のおれは、おれであっておれじゃない。
 変なことを言ってもやっても、おれがおかしいんじゃない。

「……確かにこの香油、ユキにはすごく効くみたいだね」

 少し焦ったような声だった。
 でもすぐに持ち直したジルは、ばさりと上着を脱ぎ捨てて、何かあったら言うんだよ、とおれの額から張り付いた髪を避けた。
 それからひとつキスを落とす。ちゅっと軽く音が出るようなもの。
 心臓がばくばくする。
 ジルが近い。ずっとずっと近かったけど、そんなんじゃなくて、もっとずっと、近くなってしまうことをする。

「大丈夫?こわくない?」
「……こぁ、いにきまっ、てんじゃん……」
「止める?」
「やめなぃ、ってば」
「じゃあどうしたらユキはこわくなくなる?」
「……そんなの、」

 腕を伸ばす。そんなの、ぎゅうってしてもらえば、少しは。

「こんなのでいいの」
「うん、っジルの音、聞こえる、からっ……」
「そう、辛かったら掴まっていいからね」
「んっ……」

 直に肌が触れて、汗ばんだ躰はぴったりくっつく。
 普段なら気にしちゃうのに、そんな余裕はなかった。
 耳元で力を抜いて、と言われたけど無理、逆に力が入っちゃう。
 そんなおれに笑いながら本当にユキはかわいいね、と甘ったるく囁いて、そのまま耳元を舐められた。

「ふぁ……!」

 くちゅくちゅと水音が響く。
 それやだ、力抜ける。
 でも結果、それが良かったのか、ぐ、とジルのものが挿入ったのがわかった。
 ゆっくり、ゆっくり。なのに、指と全然違う質量に、視界がちかちかする。
 ……急かしたことを、少しだけ後悔した。

「ん、ぅ……う!」
「……ん、やっぱりまだキツいな」
「やっ、あ、ぬ、ぬかないでえ……」
「もう一回ちゃんと慣らした方が」
「だめ、抜いたら出ちゃうっ……」
「え?」
「んッ、んぁ、や、びくびく、するだけでっ……」
「……気持ちいいの?」
「ん、ぅん、あ、う、動かしたらだめ、ちが、ちがぅ、きもちい、けどっ……」
「うん、香油のせいだってことでしょ?」
「そぉ、だからっ……まっ、まってえ……」

 痛い、の前に気持ちいいだなんて、催淫効果のおかげなのかなんなのか。
 お前は本当に初めてなのかと疑われてもおかしくない程。
 すんなりと呑み込めた訳ではない。
 まだ全然、入ってない。奥だってまだむずむずする。
 だけどそっから動かされたらおかしくなりそう。
 先に進んでも、後にも戻ってもだめという詰んだ状態だ。

 暫くお互いの息の音だけが聞こえた。
 どちらかの我慢がきかなくなるのを待ってるかのような、張り詰めた空気。
 何回もイったおれより、多分ジルの方がキツいと思う。
 よく我慢出来るよなあ、とも思う。こんな状態で。
 ちょっとくらい大丈夫だろ、と強引にやってしまえば、案外どうにかいくものかもしれない。
 でもおれの痛いのは嫌という、それをちゃんと守ってくれてる。
 そして多分、おれがそんなことわざわざ言わなくてもきっと、ジルはそんなことはしない。

「んんう」
「大丈夫?」
「ん、ん、ゆっくり、なら、動いて……もっ、ぁ」
「抜く?」
「ちが、おくぅ……」
「そっちか」

 ここまで来たら折れるのはおれからしかない。ジルに引かせる訳にはいかなかった。
 ゆっくりジルの腰が動く。
 放っておけばおれの腰も逃げそうで、ジルにぎゅっとひっついて、負けないように足を踏ん張った。
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