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「ううん、つまりですね」
「うん」
「魔法の属性や魔力の量はロザリー様と同等なのですが、質……魔力の強さはロザリー様より大分強いのです、流石召喚された方と申しましょうか」
「んんん?おれ、失敗とか言われたやつだよ?」
「それはその者がわかってないからでしょう、皆様癒しの神子様しか見てないですからね」
「それはそう……でも強いと言われてもよくわかんないや」
「そうですねえ……ロザリー様は各地に訪れてその力を使っておられましたが、ユキ様はそこまでされなくても同じ結果になるのです」
「おれチートじゃん」
「ちーと?」
「あ、おれの世界の言葉なのでお気になさらず」
なんかまたわくわくが復活してきた気がする。
何にもなかった、召喚に失敗されたおまけがとんでもねえ力を持ってるとか、そんなのもう逆転ホームランレベルのやつですよ、かっこいい!やること地味だけど!ていうか何すればいいのかもわかんないけど!
でもこの国を護るのはおれだ、ってかっこよくない?厨二病擽るやつじゃん。
「なんか瞳がきらきらしてきましたね」
「楽しくなってきた!」
「いや、本当にユキは何もしなくていいんだよ?」
「魔獣退治とかついてきたい!」
「……言うと思った」
「まあでも、落ち込んでどうしようもならないよりはいいじゃないですか」
「俺はユキを危険なとこにやりたくないんだけど」
「大丈夫!おれ魔力強いみたいだから!危険!ない!」
「ああ、やっぱりそっちの方に自信持ってしまった」
ジルは頭を抱え、モーリスさんはまた爆笑している。
いいじゃん、おれだって遥陽みたいになんかしたい。
「また視察行ったりしないの?おれも行きたい」
「……駄目だって言いたいけど」
「だってジルがおれのこと守ってくれるんでしょ?」
「……それも言うと思った」
「おれもジルのこと護ってあげるね!」
「そんなにかわいいこと言うのはふたりのときにして欲しいんだけどね」
「う」
眉を下げて少し困った顔もかっこいい。いやそんな話ではない。
テンションが上がってしまったおれも悪い。
こほんとひとつ咳払いをして、またセルジュさんに向き直る。
セルジュさんまでにこにこしている。
……おれの言動ってそんなに子供っぽいかな?モーリスさんもアンヌさんも子供扱いするのに慣れてきたけど、セルジュさんまで?
おれがお兄ちゃんアピール出来るのはキャロルくらいだろうか。
「まあそんな訳で……ジル様も城内にいるだけで十分だとおっしゃってるんでしょうね」
「でもさ、おれほんとなんもしてないの。このだだ漏れ状態でこの国を護ってることになるの?」
「そうではないですね」
「ほら!」
「ここ最近の魔獣の被害が抑えられてるのはやはり街の付近になるのですよね、つまりそこまでは今のユキ様でもどうにかなるということなのですが」
「ほう」
「先程もお伝えしましたが、ユキ様は魔力の使い方を勉強しましょう」
「……」
露骨に嫌な顔しますね、とモーリスさんが突っ込む。
やだよ、勉強嫌いだもん。するしかないってわかってるけどさ。でも勉強って字面がもうやだ。
「上手くコントロール出来るようになっておいた方がいいですよ、今のままでは先にユキ様が倒れるかもしれない」
「ひえ、そんなに?」
「魔力が多いといっても無限ではないですからね。ユキ様の体調も心配ですし、悪用されても困る」
「悪用の仕方がわからないんで大丈夫です」
「……ユキ様が悪用するという訳ではなくてですね……いえ、まあ、その、それ以外にも……うん、コントロール出来て悪いことはないでしょう」
えっ、まさかのセルジュさんが説明を諦めた。
おれの返答がそんなに間抜けだったのだろうか。結構真面目なんだけど。
「そんな言われてもコントロールなんてわかんないよ……」
「私が説明しますよ」
「……でももうそろそろ帰るんでしょ?」
「丁度王女様の様子も見に行きたいと思ってたんです。同行しても?」
「ああ、頼む」
「数日お邪魔致しますので、その間練習しましょうね」
にっこりと笑う。その綺麗な笑顔がこわい。知ってるぞ、こういうタイプは絶対スパルタなんだ。
「は、初めての訓練なんで優しくして下さいね……」
その怯える声に、モーリスさんが盛大に吹き出した。
◇◇◇
「セルジュさんもこっちに乗りますよね?」
馬車の前で、用意をすませたセルジュさんに訊いてみる。
首を横に振って、いえ、私はそちらには、と返されて、またジルとふたりか、と思ってしまった。
嫌なんじゃない、嫌なんじゃないよ、ただほら、ふたりだと絶対またジルが甘ったるい空気を出すのがわかりきってるから、誰かがいれば、多少は!ましになるかと思って……
「色々話聞きたかったのに」
「また明日にでもお話しましょう」
「うん……」
またジルに手を引かれて馬車に乗り込み、モーリスさんが扉を締める。
そこで気付いた。
ここにセルジュさんもいたら顔面偏差値どえらいことになっていた。
前を向いても隣を見ても緊張する顔しかなかったらおれはどうにかなっていたかもしれない。
そう考えたら隣に国宝級がいるだけですんでセーフだったな。
いや全然セーフじゃない。
「うん」
「魔法の属性や魔力の量はロザリー様と同等なのですが、質……魔力の強さはロザリー様より大分強いのです、流石召喚された方と申しましょうか」
「んんん?おれ、失敗とか言われたやつだよ?」
「それはその者がわかってないからでしょう、皆様癒しの神子様しか見てないですからね」
「それはそう……でも強いと言われてもよくわかんないや」
「そうですねえ……ロザリー様は各地に訪れてその力を使っておられましたが、ユキ様はそこまでされなくても同じ結果になるのです」
「おれチートじゃん」
「ちーと?」
「あ、おれの世界の言葉なのでお気になさらず」
なんかまたわくわくが復活してきた気がする。
何にもなかった、召喚に失敗されたおまけがとんでもねえ力を持ってるとか、そんなのもう逆転ホームランレベルのやつですよ、かっこいい!やること地味だけど!ていうか何すればいいのかもわかんないけど!
でもこの国を護るのはおれだ、ってかっこよくない?厨二病擽るやつじゃん。
「なんか瞳がきらきらしてきましたね」
「楽しくなってきた!」
「いや、本当にユキは何もしなくていいんだよ?」
「魔獣退治とかついてきたい!」
「……言うと思った」
「まあでも、落ち込んでどうしようもならないよりはいいじゃないですか」
「俺はユキを危険なとこにやりたくないんだけど」
「大丈夫!おれ魔力強いみたいだから!危険!ない!」
「ああ、やっぱりそっちの方に自信持ってしまった」
ジルは頭を抱え、モーリスさんはまた爆笑している。
いいじゃん、おれだって遥陽みたいになんかしたい。
「また視察行ったりしないの?おれも行きたい」
「……駄目だって言いたいけど」
「だってジルがおれのこと守ってくれるんでしょ?」
「……それも言うと思った」
「おれもジルのこと護ってあげるね!」
「そんなにかわいいこと言うのはふたりのときにして欲しいんだけどね」
「う」
眉を下げて少し困った顔もかっこいい。いやそんな話ではない。
テンションが上がってしまったおれも悪い。
こほんとひとつ咳払いをして、またセルジュさんに向き直る。
セルジュさんまでにこにこしている。
……おれの言動ってそんなに子供っぽいかな?モーリスさんもアンヌさんも子供扱いするのに慣れてきたけど、セルジュさんまで?
おれがお兄ちゃんアピール出来るのはキャロルくらいだろうか。
「まあそんな訳で……ジル様も城内にいるだけで十分だとおっしゃってるんでしょうね」
「でもさ、おれほんとなんもしてないの。このだだ漏れ状態でこの国を護ってることになるの?」
「そうではないですね」
「ほら!」
「ここ最近の魔獣の被害が抑えられてるのはやはり街の付近になるのですよね、つまりそこまでは今のユキ様でもどうにかなるということなのですが」
「ほう」
「先程もお伝えしましたが、ユキ様は魔力の使い方を勉強しましょう」
「……」
露骨に嫌な顔しますね、とモーリスさんが突っ込む。
やだよ、勉強嫌いだもん。するしかないってわかってるけどさ。でも勉強って字面がもうやだ。
「上手くコントロール出来るようになっておいた方がいいですよ、今のままでは先にユキ様が倒れるかもしれない」
「ひえ、そんなに?」
「魔力が多いといっても無限ではないですからね。ユキ様の体調も心配ですし、悪用されても困る」
「悪用の仕方がわからないんで大丈夫です」
「……ユキ様が悪用するという訳ではなくてですね……いえ、まあ、その、それ以外にも……うん、コントロール出来て悪いことはないでしょう」
えっ、まさかのセルジュさんが説明を諦めた。
おれの返答がそんなに間抜けだったのだろうか。結構真面目なんだけど。
「そんな言われてもコントロールなんてわかんないよ……」
「私が説明しますよ」
「……でももうそろそろ帰るんでしょ?」
「丁度王女様の様子も見に行きたいと思ってたんです。同行しても?」
「ああ、頼む」
「数日お邪魔致しますので、その間練習しましょうね」
にっこりと笑う。その綺麗な笑顔がこわい。知ってるぞ、こういうタイプは絶対スパルタなんだ。
「は、初めての訓練なんで優しくして下さいね……」
その怯える声に、モーリスさんが盛大に吹き出した。
◇◇◇
「セルジュさんもこっちに乗りますよね?」
馬車の前で、用意をすませたセルジュさんに訊いてみる。
首を横に振って、いえ、私はそちらには、と返されて、またジルとふたりか、と思ってしまった。
嫌なんじゃない、嫌なんじゃないよ、ただほら、ふたりだと絶対またジルが甘ったるい空気を出すのがわかりきってるから、誰かがいれば、多少は!ましになるかと思って……
「色々話聞きたかったのに」
「また明日にでもお話しましょう」
「うん……」
またジルに手を引かれて馬車に乗り込み、モーリスさんが扉を締める。
そこで気付いた。
ここにセルジュさんもいたら顔面偏差値どえらいことになっていた。
前を向いても隣を見ても緊張する顔しかなかったらおれはどうにかなっていたかもしれない。
そう考えたら隣に国宝級がいるだけですんでセーフだったな。
いや全然セーフじゃない。
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