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食事も終わって、部屋に通された。
当然のようにジルの部屋におれも入る。
誰もいない別館じゃないんだから、ひとのたくさんいるホテルの部屋なんてひとりでも大丈夫なのに。
でも今はひとりになるのが少しこわかったし、ジルと居たかったから、別の部屋だよ、なんて言われなくて良かった。
毛布を捲って、ほら、早く寝よう、と言うジルに背後から抱き着く。
……自分から、こんな、誘うなんてことしたことないから、心臓がばくばくする。
ジルはやたらおれを甘やかすし、甘い言葉を繰り出すけど、いつでもやらしいことをする訳ではない。
おれの躰のことを気にしてくれるし、そういう雰囲気じゃない時に手を出したりとかはしない。
それはだいじにされてるようで、嬉しくて、ありがたい話ではあるんだけど、でも少し、さみしいと思う時もある。
おれじゃそこまでの魅力はないのかな、そんな気にはならないのかなって。
疑う訳じゃないし、実際こんなちんちくりんに発情する程魅力があるかと問われるとそんな訳ないなって納得しちゃうんだけど。
「……疲れたでしょう、体調も崩すかもしれない。すぐにハルヒを呼ぶことも出来ないし、今日は寝よう?」
「……うん」
そう言われて、やだ、抱いて、なんて言えなかった。
断られた羞恥心を呑み込んで、のそのそとベッドに上がると、すぐにジルも横に入ってくる。
薄暗い部屋の中、オレンジのランプが揺れていて、ジルの顔がよく見える。
優しくおれを見詰めるその顔に堪らなくなって、だめだ、やっぱり抱かれたい。
抱き締めるだけじやなくて、深いところでジルを感じたかった。
だって、一週間しかない。
たったの一週間。
一週間で、もうジルとは会えなくなってしまう。
ぐい、とジルの頭を寄せて、唇をあわせる。
そんな子供のようなキスに、それでもジルは瞳を丸くして、それからもう一度、だめだよ、寝よう、とあやすように言う。
そんなんが聞きたいんじゃない。ジルは、おれと、したくない?
「やだ……」
「ユキ?」
「疲れてない、やだ、ジル、しよ」
「ユキ……」
「だめ?ジルはいや?帰るまで待たなきゃだめ?それとももうずっとだめ?」
「……いやなんかじゃないよ」
「じゃあしよ、ね、おねがい」
恥ずかしいことを口にしてるのはわかってる。
でも言わなきゃジルは手を出してくれないと思ったから。
情けなくてみっともなくて、それでも、一週間しかないから、だから、だから。
ジルを覚えておきたい、ずっと、忘れたくない。
「ジルう……」
「……わかったから、ね、泣かないで」
「うん……うん、う、っ、うんっ……」
とうとうしゃくりあげたおれにジルが負けた。
おれに覆い被さるように起き上がって、先程の拙いキスが嘘のように深いものをくれた。
「っ、う、は……んッ」
頭がぼおっとする。
忘れたくないのに、すぐに溶けてしまう。
熱い舌がおれの口の中を舐めて、動いて、おれのものを絡めとられる。
合間に熱い息が漏れて、口の端から溜まった唾液が流れていく。
それをごくんと飲み込んで、それでもまだ足りなくて、ジルの首に腕を回す。
ちゅくちゅくと音を立てて、何度も唇を重ねあわせて、角度をかえて、何度も。
「んう、ふぁ」
耳許を擽られて、髪を梳かれて、ジルの頭が浮く頃にはもうキスだけで出来上がってしまう。
「ッは、ぁ、ふ、ふく、脱ぐ……」
「待ってね」
「じ、自分で」
「俺にさせて」
さっきまで断られてたとは思えないほど熱っぽい声でジルが囁く。
単純だから、そんなことで胸がきゅんと高鳴る。
良かった、ジルもやる気になってくれた。
「部屋の中はあたたかいけど、脱ぐのは下だけにしておこうか」
「んッ……」
どうせ捲られる訳で、そんなの意味はないんじゃないかとも思うけど、でも言われるがままに頷いておく。そんなことで興を削いでしまいたくない。
確かに部屋はあたたかいけど、それは外と比べてであって、脱いでしまえば少しひんやりとした空気を感じる。
もじ、と足を閉じると、ジルの笑う声がする。
「寒い?」
「……さむい」
「大丈夫、すぐあつくなるよ」
「うん……ッあ、」
胸元にぬるりとしたものを感じて視線を下ろすと、ジルの頭がおれの胸元にあった。
……な、え、舐め、えっ、舐めてる!?えっ、なんで、なんで!いや、前もあったけど、少し、だったし!
「なんっ、え、なんでっ、そんなとこっ……ッひ」
ジルの歯が当たる。
うそ、そんなとこ舐め、え、ゆ、指じゃなくて?
混乱する。
いや、だって当然赤ちゃんじゃなくて、いや、女のひとならわかるんだけど、おれ胸なんかなくて、でも男でも触られたら気持ちいいのはもう身をもって知ってて、でもまさかそんな、舐めたりするのが普通だなんて考えたことなくて。
「っン……!」
「いや?」
「~……ッ、や、じゃないっ」
もう意地だった。じゃあ止めようか、なんて言われない為の。
指でされた時のようなじんじんとする熱さはなくて、この間の、香油を塗られた時みたいな、ぬるぬると掴みどころのない感じがあって、でもその時より熱くて、歯を立てられると腰が跳ねてしまう。
気持ちいいってことなんだろうか。
当然のようにジルの部屋におれも入る。
誰もいない別館じゃないんだから、ひとのたくさんいるホテルの部屋なんてひとりでも大丈夫なのに。
でも今はひとりになるのが少しこわかったし、ジルと居たかったから、別の部屋だよ、なんて言われなくて良かった。
毛布を捲って、ほら、早く寝よう、と言うジルに背後から抱き着く。
……自分から、こんな、誘うなんてことしたことないから、心臓がばくばくする。
ジルはやたらおれを甘やかすし、甘い言葉を繰り出すけど、いつでもやらしいことをする訳ではない。
おれの躰のことを気にしてくれるし、そういう雰囲気じゃない時に手を出したりとかはしない。
それはだいじにされてるようで、嬉しくて、ありがたい話ではあるんだけど、でも少し、さみしいと思う時もある。
おれじゃそこまでの魅力はないのかな、そんな気にはならないのかなって。
疑う訳じゃないし、実際こんなちんちくりんに発情する程魅力があるかと問われるとそんな訳ないなって納得しちゃうんだけど。
「……疲れたでしょう、体調も崩すかもしれない。すぐにハルヒを呼ぶことも出来ないし、今日は寝よう?」
「……うん」
そう言われて、やだ、抱いて、なんて言えなかった。
断られた羞恥心を呑み込んで、のそのそとベッドに上がると、すぐにジルも横に入ってくる。
薄暗い部屋の中、オレンジのランプが揺れていて、ジルの顔がよく見える。
優しくおれを見詰めるその顔に堪らなくなって、だめだ、やっぱり抱かれたい。
抱き締めるだけじやなくて、深いところでジルを感じたかった。
だって、一週間しかない。
たったの一週間。
一週間で、もうジルとは会えなくなってしまう。
ぐい、とジルの頭を寄せて、唇をあわせる。
そんな子供のようなキスに、それでもジルは瞳を丸くして、それからもう一度、だめだよ、寝よう、とあやすように言う。
そんなんが聞きたいんじゃない。ジルは、おれと、したくない?
「やだ……」
「ユキ?」
「疲れてない、やだ、ジル、しよ」
「ユキ……」
「だめ?ジルはいや?帰るまで待たなきゃだめ?それとももうずっとだめ?」
「……いやなんかじゃないよ」
「じゃあしよ、ね、おねがい」
恥ずかしいことを口にしてるのはわかってる。
でも言わなきゃジルは手を出してくれないと思ったから。
情けなくてみっともなくて、それでも、一週間しかないから、だから、だから。
ジルを覚えておきたい、ずっと、忘れたくない。
「ジルう……」
「……わかったから、ね、泣かないで」
「うん……うん、う、っ、うんっ……」
とうとうしゃくりあげたおれにジルが負けた。
おれに覆い被さるように起き上がって、先程の拙いキスが嘘のように深いものをくれた。
「っ、う、は……んッ」
頭がぼおっとする。
忘れたくないのに、すぐに溶けてしまう。
熱い舌がおれの口の中を舐めて、動いて、おれのものを絡めとられる。
合間に熱い息が漏れて、口の端から溜まった唾液が流れていく。
それをごくんと飲み込んで、それでもまだ足りなくて、ジルの首に腕を回す。
ちゅくちゅくと音を立てて、何度も唇を重ねあわせて、角度をかえて、何度も。
「んう、ふぁ」
耳許を擽られて、髪を梳かれて、ジルの頭が浮く頃にはもうキスだけで出来上がってしまう。
「ッは、ぁ、ふ、ふく、脱ぐ……」
「待ってね」
「じ、自分で」
「俺にさせて」
さっきまで断られてたとは思えないほど熱っぽい声でジルが囁く。
単純だから、そんなことで胸がきゅんと高鳴る。
良かった、ジルもやる気になってくれた。
「部屋の中はあたたかいけど、脱ぐのは下だけにしておこうか」
「んッ……」
どうせ捲られる訳で、そんなの意味はないんじゃないかとも思うけど、でも言われるがままに頷いておく。そんなことで興を削いでしまいたくない。
確かに部屋はあたたかいけど、それは外と比べてであって、脱いでしまえば少しひんやりとした空気を感じる。
もじ、と足を閉じると、ジルの笑う声がする。
「寒い?」
「……さむい」
「大丈夫、すぐあつくなるよ」
「うん……ッあ、」
胸元にぬるりとしたものを感じて視線を下ろすと、ジルの頭がおれの胸元にあった。
……な、え、舐め、えっ、舐めてる!?えっ、なんで、なんで!いや、前もあったけど、少し、だったし!
「なんっ、え、なんでっ、そんなとこっ……ッひ」
ジルの歯が当たる。
うそ、そんなとこ舐め、え、ゆ、指じゃなくて?
混乱する。
いや、だって当然赤ちゃんじゃなくて、いや、女のひとならわかるんだけど、おれ胸なんかなくて、でも男でも触られたら気持ちいいのはもう身をもって知ってて、でもまさかそんな、舐めたりするのが普通だなんて考えたことなくて。
「っン……!」
「いや?」
「~……ッ、や、じゃないっ」
もう意地だった。じゃあ止めようか、なんて言われない為の。
指でされた時のようなじんじんとする熱さはなくて、この間の、香油を塗られた時みたいな、ぬるぬると掴みどころのない感じがあって、でもその時より熱くて、歯を立てられると腰が跳ねてしまう。
気持ちいいってことなんだろうか。
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