【完結】召喚失敗された彼がしあわせになるまで

鯖猫ちかこ

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 だから、言葉でしか、すきとか、そんな単純なことしか言えなくて。
 それがちゃんと伝わってるのかはわからない。
 美味しいものにすきと言ってるような、かわいいものにすきと言ってるような、そういうものと同じととられてないかな。
 ちゃんと残していきたいのに。

「ジル、ジル……っ、う、あ、いッ……」

 いつもより深い気がする。
 そんなとこまで挿入るものなのか、とか、そんなことを考えてはすぐに頭の中をぐずぐずにされてしまう。
 早くイきたい、イきたいけど、終わるのが惜しくて、もっとくっついてたいのに、でもやっぱりもう爆発してしまいそう。

「あ、くちっ……じう、ちゅ、ちゅう、したいっ……あ、してっ……う」
「じゃあ顔上げて、そのままじゃ出来ないよ」
「あ、ごめ、ぅ、」

 肩口にぐいぐい押し付けていた顔を上げると、すぐに整った顔が視界に入る。
 その顔が少し紅くなっていて、瞳におれが映った瞬間に破顔する。
 それにまたおれの胸がきゅうきゅうしてしまう。すき。
 めちゃくちゃすき。ジルもだよね?おれを見て、そんな顔するならきっとジルもおれのこと、すきだよね?

「ジルう……」
「……すっごいとろっとろなっちゃってるね、気持ちいい?」
「しゅき……」
「え?」
「じぅ、すきぃ……す、すきっ……」
「……ありがとう、俺も」

 我慢が出来なくて、自分から唇を重ねてしまった。
 しまった、あと一瞬待てば、ジルから何か言われそうだったのに、タイミングが悪かった。
 でもすぐに唇を離して続きをどうぞ、なんて言える筈もなくて、今はただ、その唇に夢中になってしまう。
 言葉や雰囲気は優しくても、ジルにも余裕がなくなってきたのか、食べられてしまいそうなキスに、正直少しどきどきしてしまう。
 噛まれたらどうしよう、痛いかな、でもそれも気持ちよくなっちゃう気がする、いや、ジルが噛む訳なんかない、甘噛みはするけど、おれが痛いことはしない。
 優しくて甘くて、溶けそうなことだけ。
 だからこそこの少し乱暴ともとれるキスが本能のようで、変にどきどきしてしまうんだ。

「ン、ぅ、」

 びく、と小さく躰が跳ねて、ジルの端正な顔が離れる。あ、やだ、もっと。
 つう、と引いた糸にどきりとして、さみしさを感じる。
 溶けてしまえたら、こんなさみしさはないのに。

「ユキ、我慢しなくていいよ」
「や、おわっちゃう……っ、あ」
「……かわいい」

 この期に及んでまだ大きくなるジルに驚いてしまう。
 でも嬉しくもなる。おれに興奮してくれた証拠だから。
 ……おれにしか、こんなにならなきゃいいのに。

「お、おく、きもちい、ぃ、から、もっと……っ」
「今日はいつもより素直だね、いつもかわいいけど、お強請りされるとわかりやすくていいね」
「っは、あ、きもちぃ、ッあ、ん、や、う」

 ジルの顔から視線がずらせない。
 自分の顔もまじまじと見られて恥ずかしいのに、でも最後だと思うと、ジルの顔を脳裏に刻むように、じっと見てしまう。
 こんな時まで綺麗なんだからずるい。こんなの、忘れられる訳がない。

「……っう!あ、や、もっ……」
「ん、いいよ」
「あぅ、ん、あっ、あ、ぅ、ア……っ、あッやあ……!」

 ぎゅう、とジルの服を握り締めて、腰に足を絡ませるようにひて、びく、びく、と何回か躰が跳ねた。
 長い。さっきもだったけど、イってる時間が、出して終わりじゃなくて、お腹の中から、きゅんとするような。

「はっ、あ……」
「お疲れさま、頑張ったね」
「んう……」

 ジルが優しく頭を撫でる。それすら躰が反応してしまいそうで、爪先がぎゅっと丸まった。
 達したばかりの余韻でぼおっとしてるおれに、少し待ってて、とひとつキスを落として、軽く身なりを整えてへやのそとにでてしまう。
 待って、と言いたかったのに、舌が動かなくて、回らない頭のまま、腰掛けた自分の躰を見下ろす。
 薄い腹に飛んだ自分のものと、最後に出されたジルのもの。
 ……ちゃんとジルも気持ちよかったかな。
 震える指先でそこに触れる。
 ぬる、としたものが混じって、悪いことをしてるような気分になった。

 いいのかな、こんなことしてて。
 少し冷静になった頭ではそんな問いが舞う。
 離れにくくなるだけなんじゃない?いっそ嫌われてしまった方が、諦められるんじゃない?自分からそんな苦しい方に行かない方がいいんじゃない?
 向こうに帰って、毎日ジルと遥陽を思い出して泣くのかな。会いたいな、触って貰いたいなって。
 嫌われてしまった方が、次行こ、ってなれるんじゃないかな。
 ……なる訳ないじゃん、もう次なんかないよ、ずっとずっと、ジルのことを考えて、誰かとずっと比べて、ジルがよかったって毎日さみしくなるんだ。

「……っ、」

 頬に涙が流れたのがわかって、それを拭う。
 出来ればこんな顔は見られたくなかった。

「寝てても良かったのに」
「……ジル」

 扉が開いて、戻ってきたジルがおれの横に座った。
 手にしてるのはタオルとあたたかそうなお湯。
 ……おれが寝てる間に綺麗にしてくれようとしたのか、本当に後処理なんて、こんなこと、普通王太子にさせるなんて……
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