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気が抜けて、その場に座り込んでしまった。
子供の泣き声と、ざわざわとしたものを感じる。
……夢みたいだった、夢みたいなものだった。亡くなったロザリー様と、あんなに話が出来るなんて。まだぼおっとした心地だ。
「ユキ!」
「良かった、居た……!」
「……あれ」
ざわざわとしていたのは、皆がおれを探していたからだったようだ。
いつの間にか噴水のところにいたおれに、泣きそうな顔の遥陽が勢いよく抱きついてくる。
魔女の……アランの魔法がとけたのだろうか。
どうやら消えていたのは遥陽たちではなくおれだったようだ。
「……その子供は?」
ジルの言葉に振り向くと、小さく丸くなってしゃくりあげる子供がそこにはいた。
……何故まだその姿なのだろう。
ロザリー様が幼い時に会った「お兄さん」だと思った、当時のロザリーより大きくて、でもおれたちからみたら十分小さい子供の姿。キャロルより幾らか大きいくらいの。
「……アラン」
「アラン……?誰?」
きょとんとする遥陽の腕を解いて、まだ泣いている子供のアランに近付く。
肩を叩いて、名前を呼ぶと顔をぐしゃぐしゃにして泣く幼いアランがこっちを向いて、また小さくロザリー様を呼ぶ。
完全にあの毒気が抜けている。
ロザリー様の言った、貴方の私への気持ちは貰っていってあげる、怨みは全部持っていく、という言葉は、ロザリー様への想いのあまりに、ジルたちへの怒りや怨みといった負の気持ちを全部持っていったということなのだろうか。
「アラン」
「……っ」
「大丈夫だよ、おれ、……怒ってないし」
びく、と揺れた肩に、なんて言えばいいかわからなかった。
あまりにも見た目が子供過ぎて。
中身はあの少年なのか、どう扱えばいいのか。
「……こっちの世界にいさせてくれてありがとう」
「……だって、ロザリーが、ゆったから……」
「うん」
「……」
「……?」
「いなくなっちゃった……」
ぽつりと呟いて、また目許を潤ませるのは間違いなく小さな子供で、慌ててその小さな躰を抱き締める。ロザリー様がしていたように。
冷静になった頭では、お前はあの魔女になんてことをしてるんだ、殺されるぞ、と考えられるのに、心の方が子供の涙に痛んでしまう。
「ロザリー様も言ったじゃないですか、ね、皆と仲良くしろって」
「……」
「さみしくさせません」
あの適当に言ってしまった、子供相手へかのような言葉を、また、子供になってしまったアランへ向ける。
「魔女は寂しがり屋なんですよね」
「……うん、さみしい……」
「一緒にいたらもうさみしくないよ」
結構無責任な言葉だ。
でもそう言うしかなくて、このかわいそうな小さな魔女を慰めて、どうにか泣き止んでほしかった。
「……魔女?この子供が?」
「……子供、よね」
優希から聞いたイメージと違う、と遥陽が瞳を丸くして、興味深そうにシャノン様が覗き込む。
アランがおれに隠れるようにする仕草が、もう本当に一々子供で、おれの怯えた魔女はそこにはいない。
ロザリー様と出会った時の純粋な、捻くれてない優しい子に戻ってしまった、ということなんだろうか。
おれとしてはそっちの方が大分ありがたいけれど。
あの背中がぞくぞくするような思いはもうしたくない。
「なんか……説明は難しいんだけど……小さくなっちゃった」
「……優希、説明が雑すぎだよ」
「ロザリー様の名前が出てきたのだけれど」
「えっと……話が長くなりそうだし、取り敢えず部屋、入らない?」
おれが消えてどれだけ経ったのかはわからないけど、外はもう真っ暗で、皆の吐く息が白い。
あたたかい部屋で、あたたかいお茶でも飲みながら、話を聞いてほしい。
「待って」
「遥陽」
「話はどんだけでも聞くけど……先に……優希はこっちに残れる、ってことで、いい……?」
「……多分」
「多分て」
「うん、大丈夫、だと、思う……」
遥陽に笑ってみせて、それから俯くアランを抱き上げて、小さな冷えた躰をあたためるように背中を撫でる。
ぎゅうと回された腕が、あ、やっぱり中身まで子供になってしまったようだ、と思った。
「ジル、行こ」
「あ、ああ……大丈夫か、重くないか」
「大丈夫……良かった」
「……ああ、良かった」
「まだこっちに居れるみたい」
「……うん」
呆けているジルに声を掛けた。
はっとしたようにおれの横に並び、しがみつくアランに目をやる。
なんだかジルに渡すのも……双方嫌がりそうだったし、抱きつくアランを手放すのもだめな気がして、そのままおれが抱くことにした。
優しい声に、撫でてくれる手に安心する。
うん、おれまだここにいていいみたい。
なんかばたばたして、それどころじゃなくなった感が強いんだけど。でも大丈夫みたい。
まだまだジルと遥陽といれるみたい。
「……ありがとう」
元はといえば元凶はアランなんだけど、でもつい呟いてしまう。
ぎゅっとアランの腕の力が強くなったのがわかる、どうやらちゃんと伝わったようだ。
……捻くれてないアランかわいいな、これ、元に戻ったりするんだろうか。
子供の泣き声と、ざわざわとしたものを感じる。
……夢みたいだった、夢みたいなものだった。亡くなったロザリー様と、あんなに話が出来るなんて。まだぼおっとした心地だ。
「ユキ!」
「良かった、居た……!」
「……あれ」
ざわざわとしていたのは、皆がおれを探していたからだったようだ。
いつの間にか噴水のところにいたおれに、泣きそうな顔の遥陽が勢いよく抱きついてくる。
魔女の……アランの魔法がとけたのだろうか。
どうやら消えていたのは遥陽たちではなくおれだったようだ。
「……その子供は?」
ジルの言葉に振り向くと、小さく丸くなってしゃくりあげる子供がそこにはいた。
……何故まだその姿なのだろう。
ロザリー様が幼い時に会った「お兄さん」だと思った、当時のロザリーより大きくて、でもおれたちからみたら十分小さい子供の姿。キャロルより幾らか大きいくらいの。
「……アラン」
「アラン……?誰?」
きょとんとする遥陽の腕を解いて、まだ泣いている子供のアランに近付く。
肩を叩いて、名前を呼ぶと顔をぐしゃぐしゃにして泣く幼いアランがこっちを向いて、また小さくロザリー様を呼ぶ。
完全にあの毒気が抜けている。
ロザリー様の言った、貴方の私への気持ちは貰っていってあげる、怨みは全部持っていく、という言葉は、ロザリー様への想いのあまりに、ジルたちへの怒りや怨みといった負の気持ちを全部持っていったということなのだろうか。
「アラン」
「……っ」
「大丈夫だよ、おれ、……怒ってないし」
びく、と揺れた肩に、なんて言えばいいかわからなかった。
あまりにも見た目が子供過ぎて。
中身はあの少年なのか、どう扱えばいいのか。
「……こっちの世界にいさせてくれてありがとう」
「……だって、ロザリーが、ゆったから……」
「うん」
「……」
「……?」
「いなくなっちゃった……」
ぽつりと呟いて、また目許を潤ませるのは間違いなく小さな子供で、慌ててその小さな躰を抱き締める。ロザリー様がしていたように。
冷静になった頭では、お前はあの魔女になんてことをしてるんだ、殺されるぞ、と考えられるのに、心の方が子供の涙に痛んでしまう。
「ロザリー様も言ったじゃないですか、ね、皆と仲良くしろって」
「……」
「さみしくさせません」
あの適当に言ってしまった、子供相手へかのような言葉を、また、子供になってしまったアランへ向ける。
「魔女は寂しがり屋なんですよね」
「……うん、さみしい……」
「一緒にいたらもうさみしくないよ」
結構無責任な言葉だ。
でもそう言うしかなくて、このかわいそうな小さな魔女を慰めて、どうにか泣き止んでほしかった。
「……魔女?この子供が?」
「……子供、よね」
優希から聞いたイメージと違う、と遥陽が瞳を丸くして、興味深そうにシャノン様が覗き込む。
アランがおれに隠れるようにする仕草が、もう本当に一々子供で、おれの怯えた魔女はそこにはいない。
ロザリー様と出会った時の純粋な、捻くれてない優しい子に戻ってしまった、ということなんだろうか。
おれとしてはそっちの方が大分ありがたいけれど。
あの背中がぞくぞくするような思いはもうしたくない。
「なんか……説明は難しいんだけど……小さくなっちゃった」
「……優希、説明が雑すぎだよ」
「ロザリー様の名前が出てきたのだけれど」
「えっと……話が長くなりそうだし、取り敢えず部屋、入らない?」
おれが消えてどれだけ経ったのかはわからないけど、外はもう真っ暗で、皆の吐く息が白い。
あたたかい部屋で、あたたかいお茶でも飲みながら、話を聞いてほしい。
「待って」
「遥陽」
「話はどんだけでも聞くけど……先に……優希はこっちに残れる、ってことで、いい……?」
「……多分」
「多分て」
「うん、大丈夫、だと、思う……」
遥陽に笑ってみせて、それから俯くアランを抱き上げて、小さな冷えた躰をあたためるように背中を撫でる。
ぎゅうと回された腕が、あ、やっぱり中身まで子供になってしまったようだ、と思った。
「ジル、行こ」
「あ、ああ……大丈夫か、重くないか」
「大丈夫……良かった」
「……ああ、良かった」
「まだこっちに居れるみたい」
「……うん」
呆けているジルに声を掛けた。
はっとしたようにおれの横に並び、しがみつくアランに目をやる。
なんだかジルに渡すのも……双方嫌がりそうだったし、抱きつくアランを手放すのもだめな気がして、そのままおれが抱くことにした。
優しい声に、撫でてくれる手に安心する。
うん、おれまだここにいていいみたい。
なんかばたばたして、それどころじゃなくなった感が強いんだけど。でも大丈夫みたい。
まだまだジルと遥陽といれるみたい。
「……ありがとう」
元はといえば元凶はアランなんだけど、でもつい呟いてしまう。
ぎゅっとアランの腕の力が強くなったのがわかる、どうやらちゃんと伝わったようだ。
……捻くれてないアランかわいいな、これ、元に戻ったりするんだろうか。
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