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「……」
暫く無言で、お互い手を握ったり離したり、指をなぞったり、相手がちゃんとそこにいるのを確認するように、何度も手に触れた。
すぐ横ではアランが寝息を立てている。
やらしい雰囲気になんてなりようがなかったけど、でも、確かめることくらいはしたくて。
「ん……」
「良かった、本当に」
「……お騒がせしました」
「そんなの……気にしないでいい、ユキが今ここにこうしていられたら、それで」
頬に触れる指先が、やっぱりロザリー様の触れ方に似ていて、こういう風に撫でてもらっていたのかな、と思ってしまう。
優しい優しい触れ方を、そうやって習ったのかなって。
「あのね」
さっきは皆の前だから言いにくかったんだけど、とどれだけロザリー様がジルの心配をしてたか、いちばんたいせつにしてたかをゆっくり話す。
アランのことも心配してたけど、ジルがやっぱりいちばんなんだよって。
「……そう」
「あれ、あんまり嬉しくない?……そうだよね、やっぱり直接会いたかったよね、おれたちだけ……おれとか全然関係ないってのに……ごめんね」
「いや、ううん、嬉しいよ、嬉しい。ただその……俺が原因でもあるというのが、なんというか……ユキにも皆にも申し訳ないのが勝ってしまって」
「ジルのせいじゃないよ、全部タイミングとか運とか……そんなんが悪かっただけだよ、ジルはただ、ロザリー様が、ちゃんと……母親に愛されてただけだよ」
不器用な愛し方だっただけ、ロザリー様はその時はそれがいちばんだと思ってただけで、でもそれが間違ってるとはいえないし。
「……その魔女がユキを狙ったのも俺が憎いからじゃないか」
「アランだよ」
「……」
「アラン。ロザリー様が名前を呼んであげてって。さっきも言ったじゃん、アランだってロザリー様やキャロルみたいに被害者で……ロザリー様みたいに次の呪いに巻き込まれないように出来るだけ長生きしようとして、今までずっとさみしい思いをしてきたんだよ、多分、おれ以外には何もしてないんじゃないかな」
「よりにもよってユキ、じゃないか」
「……でも結果的には助かったじゃん、ロザリー様や……ジルたちが助けてくれたよ」
「俺は何も……」
何も出来なかった、それが悔しい、と言う。
馬鹿だなあ。
「おれ、ジルに助けて貰ってしかないよ……ロザリー様が、ジルのたいせつな子って言ってくれたのが、なんか嬉しかったんだ、はは、お母さん認定だよ、恥ずかしいけど」
アランがんん、とむずがるのを見て、首元まで毛布を掛ける。
弟……まではいかないけど、親戚の子を預かってるような気分。かわいいものだ。
そんなおれを見て、ジルは少し困ったように、でも口元や瞳は優しいままで、仕方なさそうに溜息を吐いた。
「……アランの身元を隠してここで面倒を見るか、魔女だと公表するか」
「公表するとまずい、よね?」
「信頼出来る者には話して置いた方が良いか」
「そうだね……バレた時問題あるよね」
「頭が固いじいさん達は反対するだろうな、あとは……魔女を飼ってると思われるかもしれない」
「飼う……ペットみたいだな」
「首輪をしてると思われるかもしれない、そう思われたら面倒だな」
「魔女の力を使うと思われるってこと?」
「そう」
「……出来れば使わせたくないなあ、悪いことには」
なんでも出来ると戦争に駆り出されてもいやだし、狙われたって困る。
純粋なままでいてほしいし、でも警戒だってさせないといけない。
……子育てって結構神経使うんだな。
「おれ、今日……明日からフード被るのやめようかな」
「?」
「こわがられるの嫌だったけど……皆にこの髪、慣れてもらったら、ちょっとくらいイメージかわらないかな、アランは自分で髪の色かえられるみたいだけど」
何かいい事する度にアピールして、黒髪でもこわくないですよ!って。ちょっとずつ魔女の話とか……しない方がいいかな?
「……あまり気にしなくていいよ、受け入れる人も多いと思うけど、否定する者も一定数いるんだ、俺はユキが傷付かないならそれで」
「大丈夫!びびってたけど、もういいっていうか……ここで生きてくならずっと隠す訳にもいかないし、その、何かあっても……皆が守ってくれるんだろうなって、変な自信ついちゃったし」
「ユキ……」
「だからこわくないよ」
こわくない訳はない。けど、口ではそう言っておく。
本当に皆が心配してくれたのはわかるから、だから、少しくらい傷付いたって、いいんだ、おれのすきなひとたちが、おれを認めてくれるんだから。
「ん、」
ジルの指が頬を撫で、唇をなぞる。
思わず吐息が漏れてしまって、隣にアランがいるのに、と少し睨んでしまう。
ジルは微笑んで、触れるだけの軽いキスをして、もう一度、消えるような声で、良かった、と呟いた。
「ユキが消えた時、俺も消えてしまいたくなった」
「……ジル」
「ハルヒもだ、真っ青な顔で……でも、ユキの気配や魔力は消えてないとセルジュが言うから、皆して必死で探して……あそこも何度も探した筈なんだけど」
「ごめんね」
少し弱く感じる声に、胸がきゅっとなった。
こんなに大きなひとが弱々しく感じてしまうなんて。
暫く無言で、お互い手を握ったり離したり、指をなぞったり、相手がちゃんとそこにいるのを確認するように、何度も手に触れた。
すぐ横ではアランが寝息を立てている。
やらしい雰囲気になんてなりようがなかったけど、でも、確かめることくらいはしたくて。
「ん……」
「良かった、本当に」
「……お騒がせしました」
「そんなの……気にしないでいい、ユキが今ここにこうしていられたら、それで」
頬に触れる指先が、やっぱりロザリー様の触れ方に似ていて、こういう風に撫でてもらっていたのかな、と思ってしまう。
優しい優しい触れ方を、そうやって習ったのかなって。
「あのね」
さっきは皆の前だから言いにくかったんだけど、とどれだけロザリー様がジルの心配をしてたか、いちばんたいせつにしてたかをゆっくり話す。
アランのことも心配してたけど、ジルがやっぱりいちばんなんだよって。
「……そう」
「あれ、あんまり嬉しくない?……そうだよね、やっぱり直接会いたかったよね、おれたちだけ……おれとか全然関係ないってのに……ごめんね」
「いや、ううん、嬉しいよ、嬉しい。ただその……俺が原因でもあるというのが、なんというか……ユキにも皆にも申し訳ないのが勝ってしまって」
「ジルのせいじゃないよ、全部タイミングとか運とか……そんなんが悪かっただけだよ、ジルはただ、ロザリー様が、ちゃんと……母親に愛されてただけだよ」
不器用な愛し方だっただけ、ロザリー様はその時はそれがいちばんだと思ってただけで、でもそれが間違ってるとはいえないし。
「……その魔女がユキを狙ったのも俺が憎いからじゃないか」
「アランだよ」
「……」
「アラン。ロザリー様が名前を呼んであげてって。さっきも言ったじゃん、アランだってロザリー様やキャロルみたいに被害者で……ロザリー様みたいに次の呪いに巻き込まれないように出来るだけ長生きしようとして、今までずっとさみしい思いをしてきたんだよ、多分、おれ以外には何もしてないんじゃないかな」
「よりにもよってユキ、じゃないか」
「……でも結果的には助かったじゃん、ロザリー様や……ジルたちが助けてくれたよ」
「俺は何も……」
何も出来なかった、それが悔しい、と言う。
馬鹿だなあ。
「おれ、ジルに助けて貰ってしかないよ……ロザリー様が、ジルのたいせつな子って言ってくれたのが、なんか嬉しかったんだ、はは、お母さん認定だよ、恥ずかしいけど」
アランがんん、とむずがるのを見て、首元まで毛布を掛ける。
弟……まではいかないけど、親戚の子を預かってるような気分。かわいいものだ。
そんなおれを見て、ジルは少し困ったように、でも口元や瞳は優しいままで、仕方なさそうに溜息を吐いた。
「……アランの身元を隠してここで面倒を見るか、魔女だと公表するか」
「公表するとまずい、よね?」
「信頼出来る者には話して置いた方が良いか」
「そうだね……バレた時問題あるよね」
「頭が固いじいさん達は反対するだろうな、あとは……魔女を飼ってると思われるかもしれない」
「飼う……ペットみたいだな」
「首輪をしてると思われるかもしれない、そう思われたら面倒だな」
「魔女の力を使うと思われるってこと?」
「そう」
「……出来れば使わせたくないなあ、悪いことには」
なんでも出来ると戦争に駆り出されてもいやだし、狙われたって困る。
純粋なままでいてほしいし、でも警戒だってさせないといけない。
……子育てって結構神経使うんだな。
「おれ、今日……明日からフード被るのやめようかな」
「?」
「こわがられるの嫌だったけど……皆にこの髪、慣れてもらったら、ちょっとくらいイメージかわらないかな、アランは自分で髪の色かえられるみたいだけど」
何かいい事する度にアピールして、黒髪でもこわくないですよ!って。ちょっとずつ魔女の話とか……しない方がいいかな?
「……あまり気にしなくていいよ、受け入れる人も多いと思うけど、否定する者も一定数いるんだ、俺はユキが傷付かないならそれで」
「大丈夫!びびってたけど、もういいっていうか……ここで生きてくならずっと隠す訳にもいかないし、その、何かあっても……皆が守ってくれるんだろうなって、変な自信ついちゃったし」
「ユキ……」
「だからこわくないよ」
こわくない訳はない。けど、口ではそう言っておく。
本当に皆が心配してくれたのはわかるから、だから、少しくらい傷付いたって、いいんだ、おれのすきなひとたちが、おれを認めてくれるんだから。
「ん、」
ジルの指が頬を撫で、唇をなぞる。
思わず吐息が漏れてしまって、隣にアランがいるのに、と少し睨んでしまう。
ジルは微笑んで、触れるだけの軽いキスをして、もう一度、消えるような声で、良かった、と呟いた。
「ユキが消えた時、俺も消えてしまいたくなった」
「……ジル」
「ハルヒもだ、真っ青な顔で……でも、ユキの気配や魔力は消えてないとセルジュが言うから、皆して必死で探して……あそこも何度も探した筈なんだけど」
「ごめんね」
少し弱く感じる声に、胸がきゅっとなった。
こんなに大きなひとが弱々しく感じてしまうなんて。
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