19 / 55
1
19
しおりを挟む
「あ、ごめん、すぐ乾かすねー」
「ん」
動かしながら乾かすってこんな感じ?
難しい、余裕で出来ると思ったんだけどなあ……
「もう終わる?腰死ぬんだけど」
「んー、もちょっとー」
「適当でいいよ」
「皇輝がちゃんと乾かせって言ったんじゃん」
「俺はいんだよ、碧がいっつもテキトーだろうから言ってんの」
「……!」
中腰で屈んだ状態の皇輝の横からドライヤーをかけていたもんだから、急に腰を抱かれて動揺した。
危ない、皇輝の頭にドライヤー落とすとこだった。
物を持ってる時にそんなどきどきしちゃうことするんじゃないよ!
「終わり終わり、まじでこれ腰きっつ」
「もっ……も!」
「何かわいい顔して」
「もおおおお」
「かわいい牛だな」
「!」
ドライヤーを取り上げられて、ついでのようにちゅっとキスをされた。
何それ何それなにそれ何その慣れたような流れ!
嬉しいようなムカつくような、でもやっぱり嬉しくて、怒るに怒れない。
もうそろそろ腹減ったんじゃない、さっきのピザ頼も、と肩を叩かれる。
多分にやけてしまってる顔を見られたくなくて、拗ねたようにそっぽを向くと、そんなことはお見通しと言わんばかりに頬をつつかれた。
なんなの悔しい、でもお見通しとばかりにわかってもらってるのも嬉しい。
何やられても嬉しいんだからもう僕だめだ。
ピザを待ってる間、つけっぱなしだったテレビを並んで観たりして。
ほんとはくっついてみたいんだけど、でもご飯前だしそんな空気になっても困るし、それより何よりなんかちょっと、自分からくっつくのも恥ずかしくて、ちょっとそわそわしてしまう。
ちょいちょいちょっかいを掛けて来たのは皇輝だ、そりゃあ意識してしまってもおかしくない。僕の頭がそういうことばっかなんじゃない。
……そんなにおめでたい頭じゃないんだから。
◇◇◇
「はーピザ久しぶりに食ったわ」
「僕も」
雑談をしながら片付ける。
綺麗な部屋だからしっかり綺麗に片付けなければ、と思ってしまって、自分の家ではしない癖にきっちりテーブルまで拭きあげる。
うん、ぴっかぴかだ。
「俺の部屋行ってて」
「へあ」
「お茶淹れてく、俺今日やる映画観たいんだよな、いい?」
「え、あ、うん」
だよな、もし途中でおばさん達帰ってきてもあれだし、ほら、ねえ?途中で部屋に移動するよりは最初から部屋で落ち着いて観た方がいいからで、そんな、そんな、ねえ、そんな……
「……あーやだ、僕の頭がやばい」
なんか皇輝の行動全部えっちな方向に持ってってない?
思わせぶりな行動しやがって、って思うんだけど、もしかして皇輝からしたら普通のことだったんじゃない?
皇輝じゃなくて、僕がすけべなんじゃないの?
そりゃあ皇輝のこと考えてひとりでしたりしましたよ、ええしました。
でもこんな、家にお邪魔してずっとそんなことばっか考えてる僕の頭がピンク過ぎるんじゃないの、皇輝なんてずっとしれっとした顔してるじゃないか。
「恥ずかしい……」
階段を上がる度にずれそうになるズボンを抑えながら皇輝の部屋に向かう。
……トイレ。
ちらっと見て、一回抜いた方が……と考える。
いやいやいやいや、人様のおうちだぞ、それに皇輝はお茶淹れてるだけだ、すぐにこっちに来る。そんな早業は無理だ。
って馬鹿か、またなんでそんな方向で考えちゃうんだよ、僕の頭と躰は猿になっちゃったのか。
……どうしよ、皇輝の部屋入ったら更に興奮しちゃったりしない?
皇輝の匂いや、ベッドを見てしまって平気でいられる?考え方もっと暴走しない?
「あれ、まだ入ってなかったの」
「!」
「丁度良かった、ドア開けてよ」
「う、うん」
扉の前でもだもだしていたからか、皇輝に追いつかれてしまったようだ。
皇輝は両手にマグカップ、脇にスナック菓子を抱えていた。トレイを使え、確かあったぞ、見たぞ。
「どっか適当に座って」
「うん……」
促されて、ベッドを背もたれにしてクッションの上に座ることにした。
ベッドの上はだめです、爆発します。
皇輝も隣に座って、テレビをつける。
まだ映画が始まるには少しだけ早くて、テレビには広告だけが流れていた。
「観たことある?今日のやつ」
「ない、ホラーだっけ」
「そう、碧と観れて丁度良かった」
「……僕が怖がると思ってる?」
「いや、俺が」
「え」
「だって広い家にひとりでホラー観るって結構怖くない?」
「……確かに」
でもそんなこと言われたら僕も怖くなるやつでは?そもそも別にホラー得意って訳でもないし、なんならこわいのはちょっとお断りだし……やっぱりやめないかな。やめないか。
「こわかったらこわ~いってくっついてきてもいいからな」
「しないよ!」
「電気消す?」
「消さない!」
本当はこわくないだろ、電気消すって!
いつもいつもこうやっておちょくるんだからな、わかってるんだからな!
「皇輝が!こわいなら!くっついてきてもいいけど!」
「あー、じゃあこわかったら碧にくっつくわ」
「……ひぇ」
「引くなよ」
引いたけどきゅんとしちゃったじゃないか、皇輝が僕にくっつきたくてくっつくんなら嬉しいって思っちゃうんだぞ、今の僕はもう恋愛脳になっちゃってる。我ながらうざい。
「ん」
動かしながら乾かすってこんな感じ?
難しい、余裕で出来ると思ったんだけどなあ……
「もう終わる?腰死ぬんだけど」
「んー、もちょっとー」
「適当でいいよ」
「皇輝がちゃんと乾かせって言ったんじゃん」
「俺はいんだよ、碧がいっつもテキトーだろうから言ってんの」
「……!」
中腰で屈んだ状態の皇輝の横からドライヤーをかけていたもんだから、急に腰を抱かれて動揺した。
危ない、皇輝の頭にドライヤー落とすとこだった。
物を持ってる時にそんなどきどきしちゃうことするんじゃないよ!
「終わり終わり、まじでこれ腰きっつ」
「もっ……も!」
「何かわいい顔して」
「もおおおお」
「かわいい牛だな」
「!」
ドライヤーを取り上げられて、ついでのようにちゅっとキスをされた。
何それ何それなにそれ何その慣れたような流れ!
嬉しいようなムカつくような、でもやっぱり嬉しくて、怒るに怒れない。
もうそろそろ腹減ったんじゃない、さっきのピザ頼も、と肩を叩かれる。
多分にやけてしまってる顔を見られたくなくて、拗ねたようにそっぽを向くと、そんなことはお見通しと言わんばかりに頬をつつかれた。
なんなの悔しい、でもお見通しとばかりにわかってもらってるのも嬉しい。
何やられても嬉しいんだからもう僕だめだ。
ピザを待ってる間、つけっぱなしだったテレビを並んで観たりして。
ほんとはくっついてみたいんだけど、でもご飯前だしそんな空気になっても困るし、それより何よりなんかちょっと、自分からくっつくのも恥ずかしくて、ちょっとそわそわしてしまう。
ちょいちょいちょっかいを掛けて来たのは皇輝だ、そりゃあ意識してしまってもおかしくない。僕の頭がそういうことばっかなんじゃない。
……そんなにおめでたい頭じゃないんだから。
◇◇◇
「はーピザ久しぶりに食ったわ」
「僕も」
雑談をしながら片付ける。
綺麗な部屋だからしっかり綺麗に片付けなければ、と思ってしまって、自分の家ではしない癖にきっちりテーブルまで拭きあげる。
うん、ぴっかぴかだ。
「俺の部屋行ってて」
「へあ」
「お茶淹れてく、俺今日やる映画観たいんだよな、いい?」
「え、あ、うん」
だよな、もし途中でおばさん達帰ってきてもあれだし、ほら、ねえ?途中で部屋に移動するよりは最初から部屋で落ち着いて観た方がいいからで、そんな、そんな、ねえ、そんな……
「……あーやだ、僕の頭がやばい」
なんか皇輝の行動全部えっちな方向に持ってってない?
思わせぶりな行動しやがって、って思うんだけど、もしかして皇輝からしたら普通のことだったんじゃない?
皇輝じゃなくて、僕がすけべなんじゃないの?
そりゃあ皇輝のこと考えてひとりでしたりしましたよ、ええしました。
でもこんな、家にお邪魔してずっとそんなことばっか考えてる僕の頭がピンク過ぎるんじゃないの、皇輝なんてずっとしれっとした顔してるじゃないか。
「恥ずかしい……」
階段を上がる度にずれそうになるズボンを抑えながら皇輝の部屋に向かう。
……トイレ。
ちらっと見て、一回抜いた方が……と考える。
いやいやいやいや、人様のおうちだぞ、それに皇輝はお茶淹れてるだけだ、すぐにこっちに来る。そんな早業は無理だ。
って馬鹿か、またなんでそんな方向で考えちゃうんだよ、僕の頭と躰は猿になっちゃったのか。
……どうしよ、皇輝の部屋入ったら更に興奮しちゃったりしない?
皇輝の匂いや、ベッドを見てしまって平気でいられる?考え方もっと暴走しない?
「あれ、まだ入ってなかったの」
「!」
「丁度良かった、ドア開けてよ」
「う、うん」
扉の前でもだもだしていたからか、皇輝に追いつかれてしまったようだ。
皇輝は両手にマグカップ、脇にスナック菓子を抱えていた。トレイを使え、確かあったぞ、見たぞ。
「どっか適当に座って」
「うん……」
促されて、ベッドを背もたれにしてクッションの上に座ることにした。
ベッドの上はだめです、爆発します。
皇輝も隣に座って、テレビをつける。
まだ映画が始まるには少しだけ早くて、テレビには広告だけが流れていた。
「観たことある?今日のやつ」
「ない、ホラーだっけ」
「そう、碧と観れて丁度良かった」
「……僕が怖がると思ってる?」
「いや、俺が」
「え」
「だって広い家にひとりでホラー観るって結構怖くない?」
「……確かに」
でもそんなこと言われたら僕も怖くなるやつでは?そもそも別にホラー得意って訳でもないし、なんならこわいのはちょっとお断りだし……やっぱりやめないかな。やめないか。
「こわかったらこわ~いってくっついてきてもいいからな」
「しないよ!」
「電気消す?」
「消さない!」
本当はこわくないだろ、電気消すって!
いつもいつもこうやっておちょくるんだからな、わかってるんだからな!
「皇輝が!こわいなら!くっついてきてもいいけど!」
「あー、じゃあこわかったら碧にくっつくわ」
「……ひぇ」
「引くなよ」
引いたけどきゅんとしちゃったじゃないか、皇輝が僕にくっつきたくてくっつくんなら嬉しいって思っちゃうんだぞ、今の僕はもう恋愛脳になっちゃってる。我ながらうざい。
32
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦
雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、
隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。
しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです…
オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が
なかたのでした。
本当の花嫁じゃない。
だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、
だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という
お話です。よろしくお願いします<(_ _)>
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。
はぴねこ
BL
高校生の頃、片想いの親友に告白した。
彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。
もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。
彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。
そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。
同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。
あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。
そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。
「俺もそろそろ恋愛したい」
親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。
不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる