【完結】人魚姫は今世こそ結ばれたい

鯖猫ちかこ

文字の大きさ
39 / 55
2

39

しおりを挟む
 自分の出したものと皇輝の出したものとローションが混じって、それはもうすごいことになっていた。

「なんかすげええろい」
「……恥ずかしいからやめてよ」
「ん、もう終わり終わり、綺麗にして寝よ」

 慣らすの終わり?と訊くと、今日はな、と返ってくる。
 次はいつなんだろう、また時間を空けると元に戻ってしまうんじゃないだろうか。いつちゃんと最後まで出来るんだろうか。
 もういっそ、無理にでも挿入て貰った方が……

「終わり」
「ありがと……」
「水飲む?」
「のみたい……」
「タオル片付けてくるから、ちょっと待ってて」
「うん……」
「寝ててもいいよ」
「……おきてる」

 頭を撫でて、皇輝が部屋を出ていく。階段を降りる音。
 開けたままの扉から廊下の明かりが入って眩しい。
 階下の音が少しだけ、する。皇輝ばっかり動かせて申し訳ない。
 でも僕の為に動いてくれるのが嬉しかったりもする。
 だいじにされてるじゃん、って。

 疲れた。
 昼間はいっぱい歩いたし、魔女とも出会ってしまった。それだけで考えることが多くて悩んでしまうのに、夜まで体力を使って。
 そりゃ疲れる。眠たいに決まってる。躰はまた熱くて、怠くて、皇輝の匂いがして、心地良く眠れそう。

「……寝た?」
「まだ寝てない……」
「ほら、水」
「ありがと……」

 戻ってきた皇輝から水受け取り、上半身を起こして口にする。
 からっからの喉に水分がしみる。おいしい。
 ゆっくり飲め、と呆れたような声が降ってきた。
 空になったグラスを返すと、口の端を拭われる。そんな零れたのに気付かないほど喉が渇いていたんだろうか。

「碧、相談なんだけど」
「なにー?」

 詰めて、とベッドの奥に追いやられて、皇輝も横に入ってくる。
 さっきまでやらしいことしておいて、それでも一緒に寝ることにどきっとしてしまう。

「俺、大学の近くに住むんだよね」
「えっ、卒業したら?」
「うん」
「こっからでも通えるのに」

 流石金持ちは違う。普通は他県とか行くから仕方なくひとり暮らしするとかなのに。
 そんなに遠くないのに、ここからでも。
 まあ皇輝だし、ひとり暮らしのスキルはあるだろうし、色々便利なんだろうけど。

「碧も一緒に住まない?」
「えっ」

 どどどど同棲ってやつでは!それ!
 眠気が飛んでしまうほどびっくりした。え、いいの、いいの?考えたこともなかった。だって大学は近くの付属先だって決まってたし。
 家でまで皇輝と一緒とか夢みたいじゃん。
 毎日皇輝と一緒……

「あっでも親、だめかも、絶対家近いんだからここから通えって言う」
「でもどうせ碧入り浸りになるんだから一緒じゃない?」
「否定出来ない」

 絶対皇輝んち泊まっちゃう。
 でもそんな、やっぱり勿体ない気がする……

「まあおばさんに訊いてみてよ」
「うん……だめでも泊まりには行っていいよね?」
「当たり前じゃん」

 そう笑って、軽くキスをして、僕にしっかりと布団をかけた。
 どうしよう、めちゃくちゃしあわせだ。

「おやすみ」
「うん……今日、ありがと」
「今日?」
「僕と佐倉に付き合ってくれて」
「ああ」

 思い出したように頷いて、自分にもいい経験になったからいいよ、と言ってくれた。
 文化祭に行っただけでそれは大袈裟だから、皇輝も気を遣ってくれたんだろうな、と思う。
 僕は結構楽しかった。プールも確認出来たし、文化祭ならではのチープな屋台も結構すき。
 佐倉も楽しそうだったし。

 佐倉がいいよと言っても、やっぱり王子様を取ってしまったことに罪悪感がある。
 妙な仲間意識もあるし、単純に佐倉が良い奴なのもあって、どうにも佐倉のしあわせを願いたい。手伝えることは手伝いたい。
 幸い、大学までは一緒だから、きっと何か……まあ話を聞くくらいは出来るだろう。
 今日の打ち上げ、楽しんでくれたかな。あのボーカルの先輩に恋してるとかはわからないし、純粋に憧れかもしれないけど。

 そこまではふわふわとした楽しい気分だった。
 連鎖的に、なんで忘れてたんだとばかりに赤髪の魔女を思い出す。
 佐倉は魔女に気付いてないから大丈夫だと思ってしまったけど、魔女が佐倉に気付いてないとは確証がない。
 何せ魔女だ。お姫様の佐倉や、王子様の皇輝のことを知っていても、あの時気付いてもおかしくない。魔女ってそういうもんでしょ、いや知らないけど。

 どうしよう、いや、でも佐倉なら、結構大丈夫かもしれない。
 この物語も前世もわかってて、皇輝に恋愛感情はない、他のひとを見つけたいと言ってたくらいだから、何か揉めさせようとしても揉めないだろう、あのすっきりした性格だ、ずばっと何かひとつ言い返しくらいしそうだ。
 でも魔女の性格が……現世のあのひとの性格がわからないから。
 どうしよう、佐倉が傷付けられたらどうしよう。
 傷付いてほしくない。自分の為に誰かが傷付けられるのはいやだ。ましてあんなに優しいひとが。

 ……明日、落ち着いたら佐倉に連絡を入れてみよう。
 昨日?楽しかったよ~、と明るい返事が返ってくることを願おう。
 今は……頭があんまり回らない。

「碧?寝た?」

 寝てない。目を閉じてるだけ。もう瞼、上がらないけど。
 ふわふわしてるし多分、もう半分夢の中だ。

「……ごめんな」

 だからそう聞こえたのも、多分、夢か気の所為なんだと、思う。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~

青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」 その言葉を言われたのが社会人2年目の春。 あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。 だが、今はー 「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」 「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」 冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。 貴方の視界に、俺は映らないー。 2人の記念日もずっと1人で祝っている。 あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。 そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。 あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。 ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー ※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。 表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

処理中です...