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2.仲間との出会い?
2-2
しおりを挟む時間は経って昼休み。
朝の教室は人目もあるし、もうすぐ朝会がはじまりそうだった。
だから、詳しいことは昼に話そうとおれたちは約束をとりつけたのだ。
当たり前だけど、その間の授業にはまったく集中できなかったぜ……。
おれとマナトは、だれもいない空き教室にいた。
空き教室、とはいっても、油断はできない。
廊下には人が歩いているし、
この教室で弁当を食べようとするヤツがいるかもしれないし……。
今のうちに、瞬間移動で人気(ひとけ)のない山とかにでも行くか?
「待ってろ、今、結界をはる」
そう言って、マナトはブレザーの内側から、
指揮棒のようなものを取り出した。
結界って……、外の人間が、
内側にはいってこれないように区切りをつくるってヤツ?
マンガでもよくあるよな。
マナトは何か図形を描くように、指揮棒……てか、あれが杖なのか?
をふるう。
「おしゃべりシルフのナイショごと。
ヒミツの部屋をつくれ、シェル・フィールド」
歌うようにマナトが呪文を唱えたその瞬間、
ふわっと風が舞い上がったのがわかった。
……え? これで、結界がはれたの?
「この教室と、おれたちの存在が限りなく薄くなるようにした。
……じゃ、話をしようか」
「お、おう」
マナトと、机をはさんで向かい合わせになってイスに座る。
「……」
「……」
き、気まずい。
話すったって、何から話せばいいんだ?
「えーっと、昨日さ、
マナトはどうやっておれにテレパシーを送ったんだ?」
とりあえず、最初にあったことから聞いてみる。
マナトも話の切り出しに困っていたのだろう。
おれの話題提供に、どこかほっとした様子で話し出した。
「念話魔法を使ったんだ。
あ、念話ってのは……、話したい人と心の中で会話することな。
それで、おれの声が聞こえるようになる対象を、
『おれと同じ悩みをもつヤツ』にした」
「『おれと同じ悩みをもつヤツ』?」
「あー……。リキが、その時もってた悩み、何かないか?
それがおれと同じ悩みだったんだよ」
マナトはどこか照れくさそうに、早口になった。
その時もってた悩み?
あの時、おれは何を考えていたっけ……。
あ、思い出した!
どうか、おれと同じさびしさをもつ仲間と出会えますように!
そう、願ってたんだ。
なんだか恥ずかしい。たぶん、顔、赤くなってる。
「そういうことなんですかね?」
と、なぜか敬語になってマナトに聞くと、
「そういうことなんだと思いますよ」とこれまた敬語でかえされた。
「しっかし、『仲間』といっても、まさか魔法使いじゃなくて、
エスパーがひっかかるとはな……」
そうつぶやいたマナトにちょっともやっとする。
「なんだよ、不満なのか?」
「不満っていうか……、魔法に関係のない一般人、だからな。
心を読めるのは、すごいけどさ」
はあ? おれが?
このおれが、一般人だって?
カチンときた。
おれは、エスパーってことにひたすら悩んで、悩んで。
「一般人」とか「普通の人」にあこがれてたっていうのに!
「……おれも、ちょーっとがっかりだな。
『仲間』だと思ってたら、
こんなにエスパーのことを軽く見てるヤツだったなんて」
「いや、軽く見てるワケじゃ……、杖なしで、心を読めるのはすごいと思うってば」
「何? オマエら魔法使いって、杖がないと何もできないの?」
「は?」
おれのひとことに、マナトのまとっていた空気がぴりっとしたものになる。
「お、アタリ?
なんだよ、魔法使いだって、たいしたことないじゃん。
ちなみにおれ、エスパーの能力はひと通りつかえるから」
「ふーん、でも、その能力をつかって、『仲間』のひとりも見つかんなかったんだろ?」
ぐっと言葉につまる。
そう、念写をして、エスパーらしき人が何人かが写りこんだことはあった。
でも、その人たちを探す手段がなかったのだ。
おれは千里眼がつかえる。
いわゆる、その場にいながら、遠くの地のできごとを見れるって能力だ。
ただ……。おれの場合、一度行ったところしか見ることができない。
だから、その人たちに会いに行くことはできなかった。
「探し物もできないなんて、エスパーとして致命的じゃね?」
バカにするように、マナトはふっと鼻で笑った。
あ~、完全に頭にきたわ。
「うるせえ!
魔法使いだって、ちまちま呪文となえて、まどろっこしいじゃねーか!
おれだったらその間に念動力で攻撃できるし!」
「はあ⁉ だったら、勝負するか?」
「望むところだ!」
と、熱くなってたところに、
「まあまあ、落ち着きんしゃい、人の子よ」
とのんきな声が響きわたった。
なんだ⁉
ゆらっとマナトの影が揺れたと思うと、そこからなにかとび出してきた。
ばさっという羽音。
おれたちの間にあった机の上に、それは降り立った。
大きい鳥だ。動物園で見た、ワシくらいか?
つややかな黒い毛並み。
でも、ところどころの羽が、
メッシュのようにカラフルな色をしている。
こんな鳥、見たことない。
「ノワール、勝手に出てくるなよ」
マナトがとがめる。ノワールっていうのか、この鳥。
「ほっほ、ふたりとも、ここで勝負をしかねんかったからな。
いくら結界をはっていても、ここは学校じゃぞ?」
言われて、はっとする。やべ、忘れてた……。
マナトも、気まずそうにしている。コイツも忘れてたんだな……。
「初めましてじゃな、リッキー。わしはノワール。マナっちの使い魔じゃ」
これが、マンガやアニメでよく見る、使い魔……。
魔法使いの、おともってやつか。
いきなりあだ名呼びとか、めっちゃフレンドリーだな。
「放課後、あらためて勝負をしたらどうじゃ?
勝負方法は、わしが決める」
ノワールの提案に、マナトを見ると、うなずかれた。
望むところだ! エスパーの力、見せてやる!
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