【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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8. 虹隕石とタイムカプセル探しのゆくえ

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 あの後、マナトが魔力切れで体調悪そうにしてたから、
 おれたちは学校から近いおれの家に引き上げてきた。
 父さんたちは、今もまだタイムカプセルを探しているだろう。
 見つかるかわからないが、まあ、がんばれ。
 ……もしダメだったら、家に帰ってきてから教えてやろう。

「あ~、いっそのこと、ノワールがいたことにするか……」

 おれの部屋で、ベッドにうつぶせに転がりながら、
 マナトはスマホに指をすべらせていた。
 魔法界の幻獣保護局に出すために、報告書を打ってるんだと。
 ちょっと前、
 「魔法界って、中世ヨーロッパみたいな感じ?」
 とマナトに聞いたことがある。
 だって、魔法ってそんな感じじゃん。杖だし、ホウキだし。
 「羊皮紙に、インクに羽ペンで書類を書くのか?」って言ったら、
 「そこまでファンタジーじゃねーよ」とあきれられたっけ。
 なんでも、魔法界はこちらと同じように近代化されてるらしい。
 パソコンもタブレットもスマホも、普通にあるんだとか。
 魔法も科学技術もあるなんて、楽しそうだな……。

「マナト、無理すんなよ? もう具合はいいのか?」

「おう。さっきは昼飯ありがとな。
食べたら元気になった」

 昼ご飯は、母さん特性のサンドイッチだった。
 マナトは「うまい!」と言いながら、がつがつと食ってたっけ。
 あとで、母さんにそう伝えとこう。

「ならいいけどさ。でも、報告書とか、明日でよくね?」

「いや、今日やっちまう。
ハッキリ覚えてるうちに書かないと……。
あ、もちろんオマエのことはナイショにしとくからな」
 
「お、サンキュー」

「おう!」

 おれのことをナイショにするってことは、
 報告書にウソとかごまかしも書かなきゃならないってことだろう。
 それでも、マナトは文句ひとつ言わずに書いていく。

「あ、そうだ。
おまえ、ジュエルドラゴンのウロコどうした?」

「ん? 持ってるけど」

 おれはポケットからウロコを取り出した。
 見る角度をかえると、
 きらめきながらさまざまな色に変化して、
 やっぱりきれいだ。

「取り扱いには気をつけろよ~。
それ、なんでも五千億円くらいするらしいから」

「ごせっ……!」

 五千億円⁉ どういうことだ⁉

 マナトはすいすいとスマホを操作して、ある画面を見せてくれた。

「宇宙からもたらされた神秘……。
幻の『虹隕石』?」

 どこかの特集ページらしい。
 おれはマナトのスマホを借り受け、読み進めていく。

 ――虹隕石は、いまだ解明されていない、
 未知の物体からなっている。
 この石を構成している物質は、地球上には存在していないのだ。
 それゆえ、宇宙からの贈り物である隕石とされている――。

 ……ああ、ジュエルドラゴンのウロコは魔法界のものだからな。
 人間界ではそれを解明できない。
 だから、「隕石」って扱いになってんのか。

 ――とても希少なものであり、
 時の権力者たちはこぞってこの石を求めた。
 この虹隕石を手にしたものは、
 絶対の成功を手に入れるとされた。
 値段は、とてもつけられないが、
 つけるとしたら五千億円以上だと学芸員の井上さんは話してくれた――。

 ……マジだ。五千億円。
 宝くじの前後賞つきの一等賞よりも、もっとずっとデカイ金額。
 画像の虹隕石は、おれのよりも小さいから……。
 おれのはヘタすると五千億円以上?

「どうする? 売るか?」

 マナトは軽く、でも真剣な口調で聞いてきた。
 だから、こっちも真面目に返す。

「売らねーよ。
これはジュエルドラゴンの信頼の証だし……。
おれとオマエの、努力の結晶だろ?」

 ちょっと、クサいセリフだったかな? 
 と思ったが……。
 
「ん。そっか」

 マナトはからかうこともせず、満足そうに、ニカッと笑った。

「これ、どこの特集だ?」

 なんだか気恥ずかしくなって、
 マナトのスマホを返しつつ、話題をふる。

「ん? 
今、国立博物館でやってる、宝石展ってやつ。
超警備が厳重な部屋に、虹隕石が展示されてるみたいだな。
虹隕石は、昔から宝石として扱われてきたんだと。
たまたまゲートをぬけてきたジュエルドラゴンが、
ウロコをおとしていったんだろうな」

 宝石展かあ……。
 なんか、怪盗とかにねらわれそうだな。
 ……そういや、怪盗みたいに予告状は出さないけど、
 超高額のお宝を盗んでいくやつらがいるんだっけ。
 確か、名前は……。ナントカ・シーフ? 
 シーフは、盗賊、どろぼうって意味だ。
 前テレビで特集してたけど、忘れちまったな。

「は~、それにしても、これが五千億円……。
さすが、魔法界の物質」

 おれがウロコを光にすかしている間に、
 マナトはまたスマホをいじると、「おっ」と声を上げた。

「見てみ。
この『カリナン』って名前をつけられたダイアモンド……。
もし原石の状態だったら、約二千六百億円もするらしい。
今はイギリス王室に、いくつかカットされた状態であるんだと」

 スマホの画面には、でっかなダイアがば~んっと表示されている。

「金額大きすぎて、実感わかんわ!」

 思わずツッコミをいれると、マナトがふきだし、
 そのままおれたちは笑い合った。
 その時、おれたちは知らなかったんだ。
 まさか、このウロコのせいで、また騒動にまきこまれるなんて。
 
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