【完結】エス★まほ ~エスパーと魔法使い、出会う~

みなづきよつば

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12.マジシャン・シーフとの戦い

12-3

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「大丈夫か、エマ」

「リキくん! それにマナトくんも……。
助けに来てくれたん?」

 涙声のエマに、「ああ」とそれぞれうなずくと、
 エマは「うわああん」と泣き出した。

「こわかったあああ! 
なんなんこの人! 
『虹隕石を探せ。
言うことをきかないと、
ルームメイトのみんなを傷つけてやる』
っておどしてきて……」

 そうか、
 それでエマはコイツの言うことを聞いていたのか。

「そうなるとやっかいだな……」

 霧浦のことを警察にひきわたしても、
 きっと瞬間移動で刑務所から脱出してしまうだろう。
 それに、自分を倒したおれたちに復讐しに来るかもしれない。

「リキ、霧浦には、とっておきの魔法をかけてやる。
だから、安心しろ」

 どんっと自分の胸をたたいてみせたマナトに、
 エマが涙をぬぐいつつ話しかける。

「魔法……。
さっき戦ってる時も、そう言っとったよね? 
もしかして、マナトくんって魔法使いなん?」

 あ。そうだ、
 エマはマナトが魔法使いだって、知らないんだった。

「それに、リキくん! 
やっぱりエスパーだったんね! 
すごかった! 
念動力に、瞬間移動、テレパシーまでつかえるん⁉」

 あ~……、完全にバレちまった。
 そうだよな、思いっきり能力使いまくってたからな。

「でもさ、エマ。
おれがこうやって能力使う前に、
おれのことエスパーだって見抜いてたよな。
なんでだ?」

 エマは、
「それが、ちょっと申し訳ないんやけど……」
 と前置きして話し出した。

「ほら、ウチ、タイムカプセル探しで、
みんなの情報を読み取ったやん? 
あの時、ヘンな声がまじって聞こえたんよ」

「……ヘンな声?」

「そう。
『リキヤ、もしダメそうなら、
超能力でサポート頼むぞ』。
『この子も、リキくんと同じ、
本物のエスパーなのかしら』、
ってね」

「……」

 はい、あきらかにうちの父さんと母さんの声ですね。
 って、エマのやつ、あんなにたくさんの声から、
 この声をひろいあげたのか……。
 すごいな。

「ウチ、その『エスパーを知ってる人の声』に集中して、
『エスパーをみつけたい』って思ったん。
そしたら、リキくんの姿が頭にうかんできたんだ」

 「勝手に情報を読んでごめんね」とエマは手を合わせた。

「それにしても、ふたりで、
スーパーエスパーに、魔法使い⁉ 
ウチのしょぼい探査能力より、ずっとずっとすごい!」

 エマは興奮でほほを赤く染めながら、
 手をぱたぱた上下させている。
 こうも素直に信じてくれて、
 しかも能力をほめられると照れくさくなるよな。

「オマエの能力、しょぼくなんてねーよ。
おれのところに虹隕石があるって、探し当てたんだろ?」

「あ、あれは、
リキくんがもってるってことしかわからんくて。
そしたら、アイツがリキくんに会って、探してこいって……」

「いや、それでもすごいと思うぞ。
あれだけの声と映像を分析して、探しものをするなんて。
フツーのヤツなら、ぶっ倒れてるよ。
……実はおれ、タイムカプセル探しの時、
探査能力をつかってる時のオマエの心を読んでたんだ。
でも、あまりにも情報がいっぱいで、気分が悪くなったもん」

「えへへ~。そう? 
……あ! 一番大切なこと忘れとった!」

 うれしそうな声から一転。
 あわてたようなエマの声色に、思わず身がまえる。

「ふたりとも、助けてくれて、ありがとうございました」

 そう言って、エマは深々と頭を下げた。
 それに、思わずおれとマナトは顔を見合わせて、
 笑ったのだった。
 さて、あとはマナトが霧浦に、
 「とっておきの魔法」をかけてくれれば、この事件は解決だ。
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