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12.マジシャン・シーフとの戦い
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しおりを挟むバキンッ、バチッ。
ん? なんだ、この音。
見ると、地面に落ちていた石が、
ばちっと音をたててわれた。
次々と石はわれ、そのたびに音がする。
「ひっ!」
エマは悲鳴をあげ、おれとマナトは声を失った。
霧浦が、立ち上がっていた。
長い髪はみだれてぼさぼさ。
がくがくと体をけいれんさせながら、それでも立っている。
「あんたたちなんかあああぁぁぁ、
いなくなればいいんだあああ!」
また、バチバチバチッと石が砕け、
今度は木々も音をたてて折れだした。
やべ、アイツ、念動力が暴走してる!
霧浦は念動力をつかって、
こっちの腕を折ったり、足を折ったりしなかった。
それは、優しさか、過去に何かあったのか……。
それは、わからない。
でも、今は能力の暴走で、周り中のものを曲げたり、
はじけさせたりしている。
こっちにその能力がとんでくれば、
骨折、内臓破裂は間違いなしだ!
霧浦の念動力で、周囲の石や、
折れた木が浮かび上がり、ぐるぐると渦を巻きだした。
「リキくん、今、テレパシー能力オフにしとる?
てか、オフにできるん?」
「エマ? いきなりなんだ?」
「こたえて!」
必死の声に
「オフにしてる。オンにした方がいいのか?」
と返す。
「ううん! そのままオフにしとって!
わたし、探査能力使うから!」
そう言うと、エマは目を閉じて、
手にしていた虹隕石をにぎりしめた。
「う……ぐ、あああ!」
霧浦が頭を押さえて苦しみだす。
「あああ、頭がっ、うあ、あああぁぁぁ!」
……、そうか、コイツ、テレパシーをオフにできないんだ!
つねに、近くにいるヤツの心の声を
かたっぱしからひろってるんだな。
エマの探査能力に含まれる大量の声や映像も、
コイツは全部読み取っている!
「やめてえええ!
もう、頭が、こわれ、る」
がくん、と霧浦がひざをつき、
念動力で浮いていたものがいっせいに地面におちた。
今度は本当の本当に、完全に気絶したようだ。
「ウチを誘拐したことのバツ。
あ~、スッキリした!」
エマはべーっと霧浦にむかって舌を出した。
「すっげえ、エマ!
まさか、探査能力でアイツを倒しちまうなんて!」
「呪文をとなえるヒマがなかったから、助かったよ」
おれたちに向かい、エマは照れ顔でピースサインした。
「最初、ウチが能力つかった時、
アイツ、うめき声を出したかと思ったら、
いつの間にか部屋からいなくなってたんよ。
次につかおうとした時は、
さっさと部屋から出ていった。
不思議に思ってたんだけど……。
さっきの、リキくんの言葉で納得できたわ。
アイツ、ウチの能力つかってる時の心を読んで、
気分悪くしてたんね」
すごい観察力だ。
それが、能力にも活かされているのかもしれない。
「さて、じゃあ、今のうちだな」
マナトが杖を振り、呪文をとなえる。
長い長いそれは、
戦いの間ではとてもとなえられなかっただろう。
「……ロゼッタ・ワーン。
このものの記憶を、すべて消し去りたまえ!」
カッと霧浦の体が光ると、マナトはふうと息をついた。
「これ、忘却の魔法なんだ。
霧浦のヤツ、自分が超能力をつかえることも、
いや、自分がどこのだれかも忘れちまったよ」
「すごいけど……、やりすぎじゃない?」
エマがこわごわとマナトに向かって聞いた。
ぶっちゃけ、おれもちょっと引いてる。
これまで生きてきた全部の記憶を、桐浦は失ったってことか……。
「え? そう?
魔法使いの犯罪者とかには、みんなこうやってるよ」
きょとんとするマナトに、
おれは人間界と魔法界の違いを、あらためて知ったのだった。
……まあ、なにはともあれ、これで大団円だ!
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