上 下
42 / 58

*貴方を愛した罪

しおりを挟む
ながいながい、夢をみていた。

わたしが、おとなになる夢だ。

キレイになって、美しいヒトと結ばれて、しあわせになる夢。

かわいい女の子が生まれた。
白いはねをもったかわいい子。



まっしろなやわらかいベッドの上で、目がさめた。

「・・・ここ、どこ?」

外からさしこむ天上の光が、キレイだ。

懐かしい・・・

そう思ってから、はたときづいた。

「わたし、天上から出たことはないわ」

そう、そのはずだ。

やわらかいベッドからとびおりて、小さい体に見あわないほど大きなふくをきていることに気がついた。

しかもかみもみょうに長くて、くろいかみがこんがらがってほどけない。
しばらくかくとうしてみるも、キレイにならなくてあきらめた。

それより、ここはどこだろう。



ガチャリと、音がひびいた。

入ってきたのは、みおぼえのある、はいぎんいろのかみをした女の人。

すごくキレイな人で、きらきらとした翠の目をしている。

・・・あの色が、うらやましかった気がする。

「・・・起きられましたか、シュツァーニア様」

たんたんとした声、かんじょうのないひとみが悲しい。
わたしの知るあの子は、いつもわらっているけど、この人は何もない。

「・・・えれいん・・・?」
「っぇ?」
「・・・ちがう?」

ずっとなかよくなりたかった女の子。
夢の中では大きなっていたけど、わたしはけっきょくなかよくはなれなかった。

そういえば、夢の中ではかのじょにはこどもがいた。
美しい子。
かわいくて、わたしのむすめだった女の子となかがよくて、だきしめあう二人を見るのがすきだった。

二人がずっとずっと小さいころに、あったことがあることをしっているのはわたしだけだったけど、ひみつをもっているのがとても好きだった。

「・・・私を、覚えておいででしたか・・・」

ふるえる声。
なんで泣いているのかわかんなくて、そばに行って頭をなでてあげた。

「どうしたの?だいじょぶ?」
「っ・・・ぅっ・・・ふ、ぅ・・・っ大、丈夫、です・・・私は、許されないことを、してっ・・・あなたに、ずっと、ずっと、謝り、たくて・・・」

大切だったのに、あなたにずっと焦がれていたのに、誤解をとくことすらしなかった、あなたの悲しみに気がつけなかった。
本当にごめんなさい・・・本当に、本当に。

そうくりかえすエレインを、たくさんたくさんなでてあげた。

ことばのいみは分からない。
これからもきっと分からない。
何がただしくて、なにがわるいのかも、きっときっと分からない。

でも、とびらから入ってきて、なみだをこぼれさせたミルクティーブロンドのかれを見て、そのうでが、エレインごとだきしめてくれたときに、なんだかとっても幸せだったから。

なんだかもういいやって、そう思った。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

主役達の物語の裏側で(+α)

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,107pt お気に入り:43

桜の季節

恋愛 / 完結 24h.ポイント:312pt お気に入り:7

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

恋愛 / 完結 24h.ポイント:4,032pt お気に入り:110

月が導く異世界道中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:58,007pt お気に入り:53,910

王子に転生したので悪役令嬢と正統派ヒロインと共に無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:411pt お気に入り:276

婚約破棄されないまま正妃になってしまった令嬢

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,861pt お気に入り:2,915

処理中です...