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それぞれの愛の形

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まあ、この国では近親婚が認められている。
さすがに、その子供まで近親婚をすることは許されていないものの、体に影響が出ない範囲内でのそれならば許されるのだ。

それにこれは血を濃くするためではなく、相思相愛の状況での結婚だ。

祝福は、できる。 
ちょっと思うこともあるけどね。

この十数年後に、いつかの自分たちと全く同じ顔をした男女が結婚するのかと思うと・・・ちょっと変な感じだ。

「二人とも、今日は王子殿下が遊びに来られる日よ、王女様方もね」

マクシミリアン殿下はあの後、昔からそばで支えてくれた乳姉妹でもある幼馴染の伯爵令嬢を妻に迎えた。
まあ結ばれるまでの過程にだいぶ巻き込まれたりしたんだけどね、まさか彼女と一緒に大規模な誘拐団に誘拐されてオークションにかけられた挙句ステフとマクシミリアン殿下が物理的に壊滅に追い込むとは私だって思わなかったの。
本当よ?

それで、私が双子を産んだ年に同じく王子殿下を産み落とされた。
名前はランスロット・ステンランド。
綺麗な黒髪に紫水晶の瞳を持つ、正真正銘の皇帝の血筋だ。

あの子が生まれた時のマクシミリアン殿下の喜びようは凄まじかったわ。

そんなランスロット王子の栄えある最初のお友達に選ばれたのがこの双子だった。

ああ、横恋慕とかはこの子達の世界には無い。
王子殿下は超達観され(ただし双子に限る)、幼いながらに優秀な妹王女様方はまるで新手の恋愛小説でも読んでいるかの如く二人の熱狂的なファンなのだ。

妹しかいない王子殿下は妹殿下たちの熱量にいつも押されており可愛そうである。

「・・・そういえば」
「・・・そうだった」

相変わらずの仲の良さ。
しっかり握りあってる手を見るに、このあとも延々とくっついて王子殿下に諦めさせ、王女様方を喜ばせるんだろう。

三人で連れ立って戻ると、お兄様がアリシアを抱き上げてこちらを見ていた。

「お兄様、どうされたの?」
「いや・・・あのさ、エル・・・アリシアなんだけど・・・その」

・・・ちょっと?なんなんですの?

「お母様!アリーね、まほうつかいになるの!」
「・・・うん??」

口篭りながら説明するお兄様曰く?アリシアにはとんでもない魔力が眠っていたらしい。
それはそれは巨大で、濃密で・・・お父様を軽く超える魔力が。

「だから、この病弱の原因は、魔力に性能が極振りされているせいかもしれない・・・あと、この環境に体が合ってないんだ」

そんなことを語ったあと、お兄様はある提案をした。

「だから・・・学園に、預けてみない?」

魔法学園三十三代目学園長レイツァザルト。
この国で初めて同性の伴侶を得て、今や最凶と呼ばれる学園を築き上げた彼の言葉に、私は快く頷いた。

「わかりました」
「・・・え、そんな簡単でいいの?」
「まあ・・・このことがなくてもいつか言い出しそうでしたし?」

最近学園は魔力を持たない人々にも門を開き始めた。
伯父様が大好きなアリシアがそれに目をつけないとは考えられない。
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