俺の恋路を邪魔するなら死ね

ものくろぱんだ

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◆殺し損ねた天使

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「・・・」

やっぱり。
あれはあの男ですね・・・。

私は結婚会場である大聖堂の広間に身を潜めていた。

その過程でかつての主が愛した女性との間に生まれた子供を見て涙腺が緩んだりしたが、そんなところを見せたら最愛の妻に笑われると思って耐えた。

私の妻もなので、前世の記憶は無いが私に惹かれてくれた。
おかげで彼女と今世も暖かい家庭を築くことが出来たが・・・やっぱり何度転生しても私が尻に敷かれる運命は変わらないらしい。

そんな家族と父との生活を投げて、ここまで駆け付けた理由・・・アデル・シーフィルドを見る。

見れば見るほどウルド様を襲おうとして私が切り捨てた使そっくり。
もはや目眩がする。

どうやら私は、やはりあの男を消し去ることに失敗していたようだ。

誰が何の目的であの男を蘇らせたのかは知らないが・・・ああしてあいつが自由にしているのを見るに、大方殺されたに違いない。

悪魔より悪魔らしいともっぱらの評判だった、あの男なら。

ええ、やりかねないと思います。

「・・・?」

ふと視界に白が映りこんだ。

真っ白な髪を長く伸ばし、群青色の瞳を手に持つ皿の上に固定する、そんな姿も絵になる美青年。

その後ろに、二つあるはずの黒の片割れが居ない。

小さい方の・・・そう、長い時の果てで、私を認識し、ある者を止めたいと願った白き王。
彼の人の・・・おそらくは生まれ変わり。

初めて見た時から気になっていた。

一体どこに・・・。 

おもむろに周囲に視線を向けた私の目に、通路の奥に消えていく彼の人の姿は映らなかった。
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