あまがみ

り。

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夏休み

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季節は過ぎ夏になった。

そう、待ちに待った夏休みが来た。

勇太は俺を勉強会だと言っては家に誘い、満足いくまで勉強したと思うと俺と性交渉をした。

「勇太っ、も、……無理っ、イくの……っ何度目……ッ」

「ごめ、圭ちゃんのナカ……ッすごくて……!」

ドクンと熱いモノが中いっぱいに広がる。幾度となく繰り返されるキスも首に付けられた噛み跡も、全てが愛おしく思える。こんなに激しくされていても、しっかりと優しさを感じるからだ。勇太の言う"大切"は文字通り愛をかけるという意味でのそれだった。俺はそんな優しさに満ちたこの性交渉が好きだった。好きだったけど……。

「……もう勘弁してください」

「えー!? あと一回!」

「さっきも同じこと言ってた!!」

「い、言った……かも」

勇太は絶倫だった。それに引き換え俺は人と比べて性欲が少ない方だと自負していた。正直なところ俺は、そろそろ体力に限界を感じていた。

※※※

「勇太は俺をもっと大切にするべきだ!!」

「大切だからこそもっと愛したいんだよ!!」

「俺の言う大切は労るの方!!」

「俺の言う大切は労うの方だよ!!」

「俺は同等以下か!!」

「対等だよ!!」

愛故の主張。愛故の諍い。この上なく幸せなことだとは分かりつつも、こればかりは譲れなかった。だって体力が保たないんだもん。もう限界。

「回数を決めます」

ピシャリと言い放つと、勇太は割とすんなりと聞く耳を持った。

「……はい。」

「二回まで」

「せめて三回……!!」

聞く耳を持っただけだった。

「そうやっていつも済し崩しにするでしょ!」

「圭ちゃん俺のこと嫌いなの……?」

「うぐ……っ」

「もう十回もしないから!」

「当たり前だ!!」

「だから、三回まで……!!」

「……分かったよ」

こういうとき、俺は自分のチョロさに腹が立つ。

かくして勇太と俺の性交渉は勇太が三回果てるまで、と決定したのであった。



To be continued.
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