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本編

38話『忘れていた効果』☆彡

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彼からのくちづけに酔いしれていると、下腹部から甘い痺れが走る。
夢の中で散々乱暴にされ、それなのに感じまくってしまった躯。
その時の快感とは違い、心を許してる相手からの快楽の波が千隼の気持ちを無視して押し寄せてくる。
スラックスの中から『ぐちゅっ』という音がした。


「っ・・・・・・!」


千隼は着替えるため離れようとしたが、それよりも早く康煕の腕が躰を抱きしめた。


「は、離してっ」


眼に涙を湛え真っ赤になりながら告げるも、彼は抱きしめをきつくするばかりで離してくれない。
また、快楽に溺れて何もわからないまま流されるのだけは嫌だった。
夢のように、あの人に襲われ貫かれ、怖くて痛いはずなのに躰は貪欲に肉欲に溺れる。
そんなことが康煕の前で曝され、そして軽蔑されるのが何よりも怖い。


「いや!離して‼」


腕の中で踠き暴れる千隼の唇に舌を忍ばせ、拒絶の紐を解いていく。
口腔では康煕の舌が暴れ「くちゅっくちゅっ」と音をたて、嚥下できず互いの唾液が口の端から零れ顎へ首へと垂れていく。


「は・・・む・・・っ、ん・・・ンっ」


康煕からのキスに弱い千隼は、身体から力が抜けていく感覚に震えた。
身も心も彼を求めてしまう。


「まっ、待って・・・・・・っや、だめ・・・・・・っ」


キスをしながら器用に下着ごと太腿のあたりまで摺り下げられて、足の間に手が伸びる。


「あっ、や・・・・・・っ、あっ」

「あぁ、感じているな」


笑いを含んだ声で康煕が言う。

感じることは別に悪いことではない。
だが、千隼は『はしたない僕は、康煕に嫌われてしまう』と思い込んでいる。
それは、育ってきた環境や女神から授かったスキルによる効果で穢れていると感じているからだろう。









康煕は、隠れスキルにより千隼のスキル《夢精》を細かく解析しており理由を言わずとも知ることが出来た。
本人に伝えないのは、間違いなく「知ってたなんて酷い!」と大粒の涙を流して怒ると思ったからだ。







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