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本編

68話『一方、康煕は・・・』

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※覚醒しエロに勤しんでいる千隼とは対照的に康煕が何を思っているのかを考えたところ、気になってしまいエロ小休憩を挟んでしまえと作者が現実逃避むそうにふけるの小話?を挟んでみた(笑)



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一方、現実世界での康煕はというと・・・

自分の腕の中ですやすやと眠る千隼を見ては心が安心していることに実感し始めていた。


「千隼の寝顔かわいいな」


今はどんな夢を見ているのだろうな・・・。
できることならば、その夢には俺が近くに居るといいな。

幼かった俺が越してきて周囲に何があるのか知っておけば生きていく中で役に立つと思い散策していた頃、パッと見ただけなら女の子にも見紛う千隼に会った。
あの時、俺は一瞬で目を奪われた。
寂しそうに俯いて泣いている姿が、どことなく綺麗だと心が感じ取っていた。

俺の見た目や両親のことばかり気にして声を掛けてくる老若男女に辟易していて、お世辞にもクールだと言われるような素振りは一切みられないほど荒んでいた。
幼少期で荒むとか、普通に言えば一時反抗期くらいだと思われがちだが俺のは度合いが桁違いだった。

言いがかりをつけて寄ってくる輩には「本当に子供か?」と疑問を持たせるほど容赦なく言葉で丸め込み一切の反論をさせないように一つ、また一つ逃げ場を失うように追い詰めていたし、媚び諂う様に擦寄ってくる女には女として生まれたことを後悔させるほどの地獄を見せてやった。

俺自身が最初から生まれ持っていた闇を更に深くしたのが千隼の失踪事件だ。
何かに使う予定はなかった為、ずっと貯めていた貯金を切り崩しながら全国隈なく千隼の行方を捜し回った。
それでも何か一つでも手掛りがあればという思いも虚しく散り、さらに荒れていった。

現在では迷信とまで言われている「神隠し」にでも遭ったんじゃないかと、そう思えて、二度と千隼に会えないのではという不安が押し寄せて心が深い闇に染まり悲鳴を上げていた。
まぁ、本当に「神隠し」に遭っていたとは思わなかったけどな・・・


「千隼と一緒に過ごせるのなら、俺は二度とこの手を離したりはしない」


例えそれが地獄だろうが魔界だろうが、この異世界であろうと心で繋がるこいつを護り愛し続ける。







〔康煕、若干愛情が重い・・・〕


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