『死にたがりの僕は異世界でのんびり旅をする』

鴻上 紫苑

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本編

56話

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ヴァルに頼んだ服が人数分出来上がるまでに、戦える人を選別しておく。
どんな武器が使えて、どんな魔法が使えるのかを知っておけば魔道具作成に移行できるもんね。

それにしても、アレイさん以外 名前が何というか・・・
僕の好きな食べ物を短縮したような名が多いんだよね。

アレイさんの右腕に位置するグランさんは、情報収集が趣味らしくてお休みの日でもあちこち出掛けて行っては真新しい情報を持ち帰ってくると言ってた。

そのグランさんから齎された内容には、ブルード国では最近 飢饉の一歩手前に陥っていて国に発展する前の荒くれ者を寄せ集めては他国で略奪を繰返して凌いでるということらしい。
らしいって言うのは、情報収集するグランさんも実際に見ていなくてブルード国住民から聞いたことを僕に伝えてくれたから断言できない。

しかも、チェリミにとっては朗報になる武器の資源だけど 明日も生きて過ごせるか分からない状態では集めることも怪しい状況だという。

そうなる前に、他国や周囲の町や村。王都に赴く商人と上手に付き合っていけば問題も そこまで大きくなることはなかったと思うのは僕の気のせいかな。

いや、気の所為じゃないよね・・・

資源がストップ状態ならば、こちら側の装備を万端にしておけば簡単に崩れてくれる。

あ~、よかった。僕、死に場所探してるくらいには争い事苦手なんだよね・・・。



『アオイ出来たぞ』

「あ、ありがとう。助かったよ~。僕のスキルじゃ無理があったからね」

『ああ、そうだな・・・』

「ヴァル。僕のスキル内容知ってるからって、そんな憐れむような目で見つめないでくれる・・・? 僕だってショックなんだから・・・」


一人いじけている僕をよそに作り終えた装備を住民に手渡していくアレイさんとグランさん。

ここで短刀を扱えそうもない獣人がいる。
小柄な鼠人族にとって短刀は長くて大きい為、真っ先に目を付けられる危険性が出てきてしまった。


「ねぇ、グランさん。鼠人族って、もしかして魔法が得意だったりする・・・? 」

「はい。得意というよりも、魔法しか扱えません」

「え・・・。魔法しか使えないの? 護身術とかは? 」

「戦闘スタイルを好まない為、真っ先に狩られたと現・鼠族族長から伺っております」

「弱い者を先に落として戦力強化してってこと? でも、それなら味方につけたほうが確実に戦力アップするよね」

「アオイ様は我々獣人族が消えるのを良しとしないのでしょうか」

「何を当たり前のこと言ってるの。僕は元々弱い人間だよ。最初は挑戦したけど何度も挫折を繰り返す毎に心が折れて、最終的にはどうでもよくなって逃げた」





――その結果、僕は命を投げ捨てた。楽になれると思ったから――







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