『死にたがりの僕は異世界でのんびり旅をする』

鴻上 紫苑

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本編

63話

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いつか訪れるだろう結末に僕自身が怯えているのだから少なくても生きようと思えるのかもしれない。
だからといってすぐに変わるわけでもない思考の持ち主だから、無理なものは無理だとはっきりと口に出してすっきりしてしまおう。

楽観視かな?と思うこともなくはないけどね。


「ヴァル、ありがとね」という僕の言葉に意味が分からず首を傾げている。
ちょっとした仕種は動物のそれと同じで何故だか可愛く思えて仕方がない。

今もお礼を言われた意味が分からず、キョトンとしている姿はヴァルを幼く見せていた。


「なんでもない。それより、この水膜は僕の意思で操作できるんだよね? それなら、浮上して戻りたいって思えば戻れるのかな?」

「それは我にも分からぬ。だが、碧䒾が心の底から願うのであれば叶うのではないか。我はこれからどんなことが起ころうとも碧䒾と共にる。離れたりせぬゆえ安心して願うが良い」


これ以上ないほど優しい声音と顔で言われてしまえば、さっきまでの不安はどこへいったのか分からない。
ただ、慣れてないだけだなんて言い訳で片付けられないくらいどっぷりとヴァルの心に寄り添ってしまい、もう一人で過ごして生きていくことが出来ないだろうことにも気づいてしまった。


「ね、ヴァル。 僕にもう少しの勇気があって、ヴァルの横に並んで歩けるようになったら聞いてほしいことがあるの。 それまでは、何も聞かないって約束してくれる? 」

「今話せば良いであろう? 」

「今はまだ無理。 僕自身、まだ覚悟が足りないから。 だから、今は何も聞かないで」


そう言って見つめれば、少しの間考えて何とか納得してくれた。
本当は問い詰めたい気持ちでいっぱいなんだろうことも分かるけど、得策ではないと思ったのか息を吐いて「解った」とだけ答えてくれた。




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