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8 そろそろ来ますよ?
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だがセルトの絶望はここで終わらなかった。
萎れて部屋へ戻ると、部屋じゅうがピンクに染まっていた。
「なっ……?!」
正しくは部屋中をピンクにしている最中というか、まずカーテンからベッドカバー等布類がピンク色のものに変えられていたほか、用意されている茶器もピンク、お茶もピンク、水差しの中身も何故かピンク(何を入れた?!)、極め付けは部屋の壁を今現在塗り替えているメイドと従僕だ。
服装でそうだとわかるが、顔が妹に見える。
それが「あ お戻りですかセルト様!申し訳ありません、まだ壁の塗り替えが……」とおそらくメイドが言い、「すぐ終わらせますから!」と壁に向き直ったのが多分従僕。
互いに変に思わないのだろうか。
いや、壁を塗るのに夢中で互いの顔など見ていないのか。
「誰に、こんな事をしろと言われた……?」
答えは分かりきっているが一応訊いてみると、
「え セルト様ですけど?」
と予想外の答えが返ってきた。
「俺が、いつ?」
「いつって先程ですよ!忘れちゃったんですか?!自分は公爵様のとこに行くから、それまでに部屋中をピンクにしておけって命令してったじゃないですか?!」
「__はぁあ?!」
「驚きはしましたけど、まあいつものことでもありますんで。急いで行商人を呼んで、変えられるものは変えて__けど壁紙は流石にすぐには。今急いで取り寄せてもらってもらってますので」
言いながらも手を止めない従僕はある意味天晴れだが、
「キャンセルだ。すぐ元通りにしろ」
このひと言にフリーズした。
「__は?」
「それはロザ、いや、とにかく俺の意思ではない。早急に元に戻せ」
「えぇっ?!」
従僕よりメイドの方が先に悲鳴をあげたがセルトはそれに頓着する余裕はなかった。
「ロザリンダめ……」
そう悪態を吐くセルトの言葉が聞こえたわけではないが、従僕やメイドの目に“気紛れな暴君“と映ったのは間違いないだろう、そう呟く間に二人の魔法は解けていたので無駄に驚くことなく、顔を見合わせてため息を吐いた。
因みにセルトが仕込んだ強力な睡眠薬は公爵夫人付きのメイドの一人が飲んでおり、セルトはロザリンダの姿をした母に大目玉をくらった。
「私付きのメイドに薬を盛るなんて!代わりに貴方付きのメイドは私の所へまわします!良いですね?!」
「はい……」
本当は妹に盛るつもりだったなどと言えるわけもなく、項垂れているところにセルト(の姿をしたロザリンダ)が手配した壁紙業者が到着したものだから、
「こんな時に部屋の改装だなんて、それも外部の人間を呼ぶなんて何を考えているの?!違約金を払って直ぐ帰ってもらいなさい!お金は貴方のポケットマネーから払うように!」
「そ、そんな……」
先程慰謝料も自分の予算からさっ引くと言われたばかりだ。
「自分がやらかしたことでしょう、メイドがいない間自分の身の周りくらい、自分で何とかなさい!今外部から人間を雇うことは出来ないんですからね、どこから秘密が漏れるか……」
歯軋りする母の仕草はよく知る母のものなのだが、いかんせん顔がロザリンダのままなのでギャップがありすぎる。
「相手をよく知っている人ならば看破できる」と妹は言っていたそうだが、本当にそうなのだろうかと思うくらいぱっと見区別がつかない。
口を開けば口調は母のものだが、逆に黙って座っていればロザリンダそのものだ。
セルトの予想は半分当たっている。
この術は魔力量により効果に差が出るがもうひとつ、「近い血縁者ほどそっくりにみえる」という特性がある。
効果も時間と共に薄れて行き、徐々に解けていくものなのだが、ロザリンダは同じ邸内にいるのを良い事に効果が薄まる前に重ね掛けをし、夫人があの姿を保つよう仕向けている。
だから夫人は“見た目ロザリンダのまま“なのである。
魔法への探究心の薄い公爵家でこの事を知る者がいないのを良いことにロザリンダは自身への保険として大いに活用したのである。
そしてロザリンダの時間稼ぎの結果は公爵家、ひいては王家に対しても大きな爪痕となって残ることとなる。
まず嵐の襲来があったのは他でもない王宮だった。
ロザリンダからの手紙を受け取った院長はまず王宮に押し入、、いや謁見を申し出てから国王を怒鳴りつけ、馬鹿その一にあたる王太子の首根っこを引っ掴み、そのままラクシエル公爵家に襲来…、ではなく訪問した__ただし、ノックはなしで。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
気付けばひと月以上も空いてしまい、申し訳ありません!
こちらも書きつつ、なろうにて「ヒロインはゲームの開始を回避したい」の全年齢向けの公開を始めたためそちらと交互に更新となるかと思いますが合わせてよろしくお願いします!
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
萎れて部屋へ戻ると、部屋じゅうがピンクに染まっていた。
「なっ……?!」
正しくは部屋中をピンクにしている最中というか、まずカーテンからベッドカバー等布類がピンク色のものに変えられていたほか、用意されている茶器もピンク、お茶もピンク、水差しの中身も何故かピンク(何を入れた?!)、極め付けは部屋の壁を今現在塗り替えているメイドと従僕だ。
服装でそうだとわかるが、顔が妹に見える。
それが「あ お戻りですかセルト様!申し訳ありません、まだ壁の塗り替えが……」とおそらくメイドが言い、「すぐ終わらせますから!」と壁に向き直ったのが多分従僕。
互いに変に思わないのだろうか。
いや、壁を塗るのに夢中で互いの顔など見ていないのか。
「誰に、こんな事をしろと言われた……?」
答えは分かりきっているが一応訊いてみると、
「え セルト様ですけど?」
と予想外の答えが返ってきた。
「俺が、いつ?」
「いつって先程ですよ!忘れちゃったんですか?!自分は公爵様のとこに行くから、それまでに部屋中をピンクにしておけって命令してったじゃないですか?!」
「__はぁあ?!」
「驚きはしましたけど、まあいつものことでもありますんで。急いで行商人を呼んで、変えられるものは変えて__けど壁紙は流石にすぐには。今急いで取り寄せてもらってもらってますので」
言いながらも手を止めない従僕はある意味天晴れだが、
「キャンセルだ。すぐ元通りにしろ」
このひと言にフリーズした。
「__は?」
「それはロザ、いや、とにかく俺の意思ではない。早急に元に戻せ」
「えぇっ?!」
従僕よりメイドの方が先に悲鳴をあげたがセルトはそれに頓着する余裕はなかった。
「ロザリンダめ……」
そう悪態を吐くセルトの言葉が聞こえたわけではないが、従僕やメイドの目に“気紛れな暴君“と映ったのは間違いないだろう、そう呟く間に二人の魔法は解けていたので無駄に驚くことなく、顔を見合わせてため息を吐いた。
因みにセルトが仕込んだ強力な睡眠薬は公爵夫人付きのメイドの一人が飲んでおり、セルトはロザリンダの姿をした母に大目玉をくらった。
「私付きのメイドに薬を盛るなんて!代わりに貴方付きのメイドは私の所へまわします!良いですね?!」
「はい……」
本当は妹に盛るつもりだったなどと言えるわけもなく、項垂れているところにセルト(の姿をしたロザリンダ)が手配した壁紙業者が到着したものだから、
「こんな時に部屋の改装だなんて、それも外部の人間を呼ぶなんて何を考えているの?!違約金を払って直ぐ帰ってもらいなさい!お金は貴方のポケットマネーから払うように!」
「そ、そんな……」
先程慰謝料も自分の予算からさっ引くと言われたばかりだ。
「自分がやらかしたことでしょう、メイドがいない間自分の身の周りくらい、自分で何とかなさい!今外部から人間を雇うことは出来ないんですからね、どこから秘密が漏れるか……」
歯軋りする母の仕草はよく知る母のものなのだが、いかんせん顔がロザリンダのままなのでギャップがありすぎる。
「相手をよく知っている人ならば看破できる」と妹は言っていたそうだが、本当にそうなのだろうかと思うくらいぱっと見区別がつかない。
口を開けば口調は母のものだが、逆に黙って座っていればロザリンダそのものだ。
セルトの予想は半分当たっている。
この術は魔力量により効果に差が出るがもうひとつ、「近い血縁者ほどそっくりにみえる」という特性がある。
効果も時間と共に薄れて行き、徐々に解けていくものなのだが、ロザリンダは同じ邸内にいるのを良い事に効果が薄まる前に重ね掛けをし、夫人があの姿を保つよう仕向けている。
だから夫人は“見た目ロザリンダのまま“なのである。
魔法への探究心の薄い公爵家でこの事を知る者がいないのを良いことにロザリンダは自身への保険として大いに活用したのである。
そしてロザリンダの時間稼ぎの結果は公爵家、ひいては王家に対しても大きな爪痕となって残ることとなる。
まず嵐の襲来があったのは他でもない王宮だった。
ロザリンダからの手紙を受け取った院長はまず王宮に押し入、、いや謁見を申し出てから国王を怒鳴りつけ、馬鹿その一にあたる王太子の首根っこを引っ掴み、そのままラクシエル公爵家に襲来…、ではなく訪問した__ただし、ノックはなしで。
*・゜゚・*:。. .。:*・゜゚・*
気付けばひと月以上も空いてしまい、申し訳ありません!
こちらも書きつつ、なろうにて「ヒロインはゲームの開始を回避したい」の全年齢向けの公開を始めたためそちらと交互に更新となるかと思いますが合わせてよろしくお願いします!
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