<第一章完結>聖女は自分を呼んだ異世界を嘲笑う

詩海猫(8/29書籍発売)

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プロローグ

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休日、原宿にいたら急に地面の感覚がなくなり、何か凄い光に包まれた。


 一瞬後、(どこだここは?)私は、知らない場所にいた。



 中世ヨーロッパみたいな格好の人がいっぱいいて周りを囲んでる。皆一様に嬉しそうだ。
「おぉっ!成功だ!」
 1人が叫んで皆隣り合ってる人と抱き合って喜んでる。

どっかで見たな、こういうの。

そうそう、某スポーツでホイッスル間際に逆転勝利、みたいな。あんな感じ。
「間に合ってよかった…!」
 感極まって涙ぐんでるのは神官さんだろうか……てか、これって成功なの?
 確かに私達の足元にあるのはどう見ても魔方陣、、だけどさ?
「ようこそこちらの世界に来て下さいました、聖女候補の皆様…」
 神官の1人が恭しく頭を下げた。

 全員候補ってそんなんアリか?

 私と同じ魔方陣にいたのはざっと20人。
 まあ、良くある聖女召喚なのだが、ここの世界の魔方陣は少々不完全で、聖女1人をピンポイントで召喚する事は出来ず”一定の範囲内にいる聖女の可能性のある人物全員”を召喚するしか出来ないそうだ。
 で、確認方法はというと。
「聖女様の力の顕現を待つ」
 って、どれくらい?
 「早ければその場ですぐに顕現した人もいるが数年かかった例もある」
 数年⁉︎数年もこの人数を候補として住まわせるのかっ、余裕あるなこの国!!

 

ーーま、どうでもいいけど。
 そんなこんなで今は聖女召喚成功祝賀パーティー中だ。
好きなのをどうぞ、なーんて女官さんが言ってくれたが自分がモブな容姿なのはよーーく知ってるので地味なのを選んだ。
 目立ったってしょうがなくない?
 このパーティー、色んな人がいるけど聖女候補は当然すぐわかる。
 候補は左腕に必ず見える様にブレスレットを付ける決まりがあるのだ。この世界での身分証明みたいなもの。
 魔方陣にいた時から思ってたけど、ほんとバラバラ。
聖女は年齢も職業も容姿も関係なく、条件は女性である事のみ。
 だから小学生から50才前後のオバ様までいるよ……実際かなり高齢のお婆さんだった事もあるみたいだから誰も変に思ってないとこが逆に凄い。

 ただ、広間の光景は笑える。
まだ誰も聖女の力なんて欠片もないのに18才前後だろうか、いかにも私、街歩いてるとよくスカウトされるんだよねっ! タイプの美少女に皆群がってる。
「本人もこの面子なら私しかいないわよねっ!」
 とでも思っているのか自信満々だ。美少女コンテストやってる訳じゃないのにね?
 他の候補者はというと、美少女と年は同じくらいだけど所在なさげにキョロキョロしてる少女、多分20半ばの秘書っぽいおねーさんは割と普通?会社のパーティーとか経験済みっぽい。
オバ様はなんかこの世界の未亡人ぽく溶け込んでる。
小学生は、お付きの人と共にデザートを制覇している。

因みに私はアラサーだ。
 
このパーティーは壁際に座る用の椅子やソファがずらりと並んでいるのでそこに座ってそれらを観察していた。
 だって面白くない?この世界が滅びようが救われようが私にはどうでもいいし、仮に聖女がわかっても具体的に何をやらされるかもわからない。他の候補は聖女がわかれば帰してくれるって言うけど本当に五体満足で帰してくれる保証もない。
聖女がわかるまでの生活は保証されるし出来るだけ希望に沿うとは言ってくれてるけどーーねぇ?

 考えたくはないが、聖女が神に捧げる生贄って可能性だってあるじゃない?
 その聖女が役目を放棄したり拒否したらどうするのか?
 「……そのような心配はございません」
 て真顔で言われたけど。
 それ、聖女認定されたら逃がさないって事よね?

 力の顕現方法だってまちまちで、治癒魔法だったり攻撃魔法だったりするそうだが、何か顕現すれば役目に合わせて自在に使う事が出来るそうだ。
 要するに適した器探しみたいにきこえるけど。ま、いいか。
 誰も私の存在を気にしてないこの会場で、傍観者Aの立場を楽しもう。

 
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