2 / 7
遭遇
しおりを挟む龍太郎は森へと足を踏み入れた。森の中は少し薄暗く、野鳥や虫の鳴き声がたくさん聞こえた。木と木の間から漏れる木漏れ日が微かに足元を照らし、神秘的にも魅せていた。少し歩いたが、自分以外、人は見当たらない。カメラには木の映像と野鳥たちの鳴き声しか入ってない。もうそろそろ父さんのタバコも終わってしまう時間だ。
「戻らないと!」
スマホのカメラを切り、引き返そうと、振り返った瞬間、何かにぶつかった。龍太郎は一瞬めまいがしたが、すぐに立ち直った。見上げると、身長2メートルはあるかという、大男が立っていた。体はかなりの筋肉質だ。身につけているボロボロのスポーツウェアからは「筋トレこそ我が生涯」というキャッチコピーさえ浮かんでくる。その大男は龍太郎を軽々と持ち上げて、顔を近づけ、じっと眺めた。そして一言、
「似ている…。」
まるで何かを探し当てたかの様な笑みさえあった。龍太郎は
(うわっ!やべぇ奴に絡まれた!逃げないと!)
しかし大男の力は強かった。全く持ち上げた手を離さない。もがいてもびくともしない。龍太郎は咄嗟にスマホのカメラを向けた。
「くそがっ!てめぇ!SNSに晒してやるからな!」
カメラを向けた瞬間、龍太郎の体は宙を舞っていた。その数秒後には地面に叩きつけられていた。
「痛ってぇな…あれ…?スマホ…?」
スマホは龍太郎が大男に放り投げられたときに手から離れてしまった。しかしスマホ探す余裕はなかった。大男が龍太郎の方へ迫ってきていた。龍太郎はすぐに立ち上がって走った。足の速さには自信があった。大男と距離をとることが出来たが、まだ追いかけて来る!
(LINEの着信音)
龍太郎
「!?」
大男
「!?」
2人とも足が止まった。今度はLINE電話の着信音だ。
(マズイ…!父さんからだ…!俺を探してる!)
スマホはちょうど龍太郎と大男の間にあった。大男は標的を変えたかの様に、スマホめがけて走ってきた。大男がスマホを拾い上げようとした瞬間、目の前には龍太郎の足があった。龍太郎はすぐに大男の方へ走り込み、スマホを駐車場側へ蹴飛ばした。その足は偶然、そのまま大男の鼻に当たった。よほど強く蹴ったのか、鼻に当たった衝撃で、大男は呻きながら後ろに少しよろめいた。
スマホが飛んでいった場所は見えていた。龍太郎は走ってスマホ拾い上げ、振り返らずに休憩所へと逃げていった。車の近くまで来ると、幸祐が心配そうな顔で周辺を見回していた。
「どこにいたんだ!!待っていなさいと言っただろう!?」
「父さんのタバコ、いつも長げぇだろ?だからそこの森でインスタにあげれそうな写真を撮ってた。」
龍太郎は森の方を振り返ったが、さっき自分を襲ってきた大男は姿を現さなかった。
「龍太郎!服が汚れてるじゃないか!どうしたんだ?」
「何でもない。写真撮ってたらつまずいただけ。」
「じゃあ、お前、どうやったら脇なんか汚すんだ?」
龍太郎の服の脇は黒く汚れていた。
(アイツ!手が汚れていたのかよ!めんどくせぇ…)
「わかんねぇよ!転んで汚れたんだろ?」
大男のことに襲われたことは一切話さなかった。
0
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
意味がわかると怖い話
邪神 白猫
ホラー
【意味がわかると怖い話】解説付き
基本的には読めば誰でも分かるお話になっていますが、たまに激ムズが混ざっています。
※完結としますが、追加次第随時更新※
YouTubeにて、朗読始めました(*'ω'*)
お休み前や何かの作業のお供に、耳から読書はいかがですか?📕
https://youtube.com/@yuachanRio
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる