転生したので、とりあえず最強を目指してみることにしました。

和麻

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第一章  ~騎士団~

団長の家へ

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こうして俺は、団長の養子になることが決まった。

「すまん、1つだけ言い忘れていたことがある。」

「なんだよ?」

「貴族の子どもってのは、みんな12歳になると学園に通うことが義務づけられている。めんどくせぇんだが、行ってもらえるか?」

あと、2年あるから、通いたくなくてもなんとかなるしな、とつぶやいた。

学園か。俺も興味があるし、行くぶんには何の問題もない。

むしろ、喜んで通わせてもらう。

ただなぁ、貴族の子どもばっかりなのかぁ。

団長は、俺の心を読んだかのように答える。

「安心しろ。少数ではあるが、優秀ならば商人の子や平民の子も入れるから。」

それを聞いて、多少は安心した。

やっぱり、貴族ばかりだと息が詰まりそうだもんな。

「あっ、そうそう。学園に入るにあたって、教育を受けてもらう。字が読めなかったりしたら困るからな。」

それは助かる。正直、この世界に来てから文字を見てないからな。

まぁ、見ていたとしても気付いてないだけかもしれないが。

でも、勉強か、、、。

気が重い。

「あっ、忘れる前に言っておくが、お前鑑定使うの禁しな。さっきみたいにボロを出したら困るし。何がきっかけでバレるか分からないからな。」

ごもっともです。確かに、油断してたら直ぐにボロを出しそうだな。

他のスキルもバレないように、気を付けよう。

「あと、後で俺の妻に会わせたいと思う。一応お前の義理の母親になる人だ。美人だぞ。」

うわっ、さすが団長。

さりげなくノロケるとは。

俺には真似できねぇ。

でも俺真似する以前に、地球にいた頃から彼女居たことないしな。

でもまだ、10歳だ!

希望はあるよな!

1人でウンウン頷いている俺を団長がいぶかしげな顔で見ていた。



~~~~~~


次の日、俺は団長の家に行くことになった。

団長は普段、この宿舎で暮らしている。

休みの日ぐらいしか帰れることはないそうだ。

だが、最近は忙しくて休みが取れてないらしい。

ちなみに、副団長を筆頭として全員ここの寮に住んでいるらしいぞ。

まあ、ここは設備が充実してるし、わざわざ外に出る必要はないよな。

そんなことを考えてたら、門に着いた。

ここに来たときは気がついたら部屋にいたし、それ以降も忙しくて門まで来なかったから、門の付近まで来たの今日が初めてだ。

立派な鉄の扉があり、塀が建物を囲っている。

やっぱり要塞みたいな造りをしてんな。

ふと気がつくと、門の側には馬車があった。

団長と御者らしき人は何か話しているようだ。

と、団長がこっちへ気付き俺を呼ぶ。

「おい、ユウト。紹介する。ウチの家令のセバスだ。」

セバス!!家令なのにセバス!!!!

執事通り越して偉いのにセバス!!!!!!

やべっ、吹きそう。

フゥー、我慢しろ。団長の家の人に変な印象を与えないようにしないと。

俺はつとめて平穏を装って挨拶した。

「初めまして、ユウトです。先日から、団長の養子となりました。よろしくお願いします。」

セバスさんは微笑んだ。人の良いお爺さん見たいな笑みだ。

しかし、騙されちゃいけない。

この人、目の奥が笑ってないんだ。

俺を、よくよく品定めしていることが分かる。

めっちゃ怖ェー。

この人怒らせないようにしよ。

俺まだ死にたくないし。

セバスさんの反応を、内心ビクビクしながら、表面平静を装ってうかがった。

すると、目の奥をフッと緩ませ

「合格です。いい子を見つけてきましたね旦那様。ユウト様、こちらこそこれからよろしくお願いしますね。」

と、言ってくれた。

良かったぁ~~~~。

あれ?これ不合格だったら俺、どうなってたんだろう、、、。

考えてたら、恐ろしくなってきた。

もう考えんのやめよ。合格したからいいじゃん。

うん。気にしたら負けだ。突っ込んじゃいけない気がする。

悶々としているうちに、いつのまにか座席に放り込まれ馬車は出発していた。

えっ、ちょっ、いつのまに。

早業はやわざ過ぎて、分からなかった、、、。

見た目、紳士なお爺さんなのになぁ。

そんな挙動不審な俺を見て、団長はいきなり笑い出した。

「アッハッハッハッ。そうだよなぁ、怖いよなぁ。俺もいまだにセバスには逆らえねぇ。」

笑った後に、声を潜めて

「だからお前も、セバスを怒らせないように気をつけろよ。」

と言った。

「聞こえてますよ。旦那様、小さい子を脅すようなことを言うのはお止めくださいませ。帰ったら奥様に報告させて貰います。」

「えっ、おい、待て!言わんでいい、そんなこと!」

団長が焦り出す。

あれ?さっきノロけたよな?もしかして団長、恐妻家?

マジかよ。団長を尻に敷いちゃうとかどんな奥さんだよ。

俺はまだ見ぬ奥さんに、ビクビクと怯えるのであった。


~~~~~~


馬車が止まり、大きな屋敷の門前に着いた。

中にはいると庭が広がっている。

昔テレビで見たヨーロッパの屋敷みたいだ。

「お帰りなさい、ガル。」

へっ!?俺は出てきた人物を思わず二度見したしまった。

そう、屋敷の扉から出てきたのは男装の麗人だった。

確かに美人だ。団長にはもったいない。

ただ、なぜ男装?

「あら?その子がガルの言ってた子かしら。確かに将来有望そうね、後で手合わせ願おうかしら。」

ん?なんか今、貴族の奥方に似つかわしくない言葉が聞こえたような気が、、、。

「気のせいじゃないぞ。ウチの奥さんは戦闘狂だ。気をつけろよ?」

団長こそこそ俺に耳打つ。

「あなた、聞こえてますよ?」

奥さんは、冷たい声を出して微笑んだ。

「後でシメます。」

えっ?今のはさすがに聞き間違いだよね?

団長を見ると、真っ青な顔で震えている。

奥さん強し。

というか団長も戦闘狂いだし、似た者夫婦なのね。

なんか俺、拒否られてないようで良かった。

「奥様、ユウト様が困ってらっしゃいます。ひとまず自己紹介を致しませんか?」

「それもそうね。ごめんなさいね自己紹介が遅れてしまって。」

団長は、助かったとホッとしてる。

「旦那のことは後でシメるとして、私はサイリ・バランよ、よろしくね。」

あっ、団長の顔色が青に戻ってる。

自業自得だよな。

それより俺も自己紹介しないと。

「ユウトです。この度は、養子として受け入れてくださって、ありがとうございます。」

「そんなに畏まらないで。親子になるんだもの。もっとフランクにいきましょ。」

サイリさんは、とても気さくないい人だった。

うん、本当に団長にはもったいない。

だけど、、、

「あら?なにかしら?私が男装している理由が気になる?」

その言葉に、ひょっとして声になっていたのかと焦る。

「あら?違ったかしら。ここに来る人はだいたい気になっていたようなのだけど。」

良かった。心の声が漏れていた訳ではないようだ。

「えっ、ええ。俺もとても気になりました。よろしければ、理由を聞いても?」

「だから、敬語はやめなさい!敬語をやめたら話してあげる。」

うっ、そうきたか。

理由も気になるし、敬語もキツイからもういっか。

「分かった。これでいい?」

それで良いのよ、と鷹揚に頷いた。

「で、私が男装をしている理由ね。それは、私が昔王族の騎士をしていたからよ。」

話すと長くなるから中に行きましょうか、と中へ案内してくれた。

連れて来られたのは談話室らしき部屋だ。

「じゃっ、さっきの続きだけどね。この国では、女性でも騎士に為れるのよ。だけど、その数はとても少ない。だからね、女性の王族の方につくことになったのよ。」

男性でも近衛になるのは難しいだろうに、女性でなるなんてスゴいな!

「護衛するのにヒラヒラしたドレスなんて邪魔でしょ?それ以来、男装していることが多くなって癖になっちゃった。」

と、かわいらしい様子で話してくれた。

えっ、ぶっちゃけ後半が本音なんじゃないですか?

そう思ったけれど、サイリさんの顔が笑ってないような気がして、深く突っ込むのは止めておいた。

そんな俺を見て、団長は安心したようだ。

「だいぶ打ち解けられたようだな。良かった良かった。」

「アナタ、良い話っぽくまとめて流そうとしてるけど、まだシメてないからね。」

団長は、行きましょう、と笑顔の奥方に庭へ引きずられて行った。

本当に、奥さんは強し。
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