転生したので、とりあえず最強を目指してみることにしました。

和麻

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第二章  ~学園~

入学式

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『Sクラス、入場。』

司会の声に合わせて、王太子殿下から順に入場していく。

俺も一応伯爵位なので、だいたい真ん中よりも前くらいかな。

指定された席に全員が座ったところで、式が始まった。

式の内容は、やっぱり日本と大差ない。

しいて言うなら、王様の祝辞があったくらいか。

まあね、一応国立だからね、しかも貴族の子供全員が通ってるしね。

この国の学校は1つしかないからね、ホントに少ないよな。

庶民は学園なんて通わない。というか通えないってくらい狭き門だし。

そう考えるとルーナって凄いな。

貴族は幼少の頃から教育を受けてるから、試験にはそれなりの問題を出される。

だから、試験の問題は通常庶民には解けない。

解けるとしたら、貴族と同じように幼少の頃から教育を受けた裕福な子供か、本当の天才だ。

もしかしたら、没落した貴族だったのかもな。

ふと我に返ると、王太子殿下の挨拶が始まっていた。

ヤベッ、話まったく聞いてなかった。

まっ、いいか。

もう話も中盤を過ぎ、終わりに差し掛かっていた。

『私はこの学園の一生徒として、身分に捕われず、学友と共に対等な立場で歩んでいければいいと思っております。』

確かに、教師も身分の差などは考慮しないって言っていたな。

フッ、ちゃんちゃら可笑しいね。

俺はひっそりとわらう。

なにが身分に捕われないだ。まず、入学式に身分の高い順に入場している時点で身分の差を強調しているだろ。

王太子殿下はまだ成人してないから仕方ない。だが、いい大人が笑わせてくれる。

『以上をもって、私からの挨拶を終了させていただきます。』

そんなことを考えていたら、いつのまにかに終わっていた。

『続いて、生徒代表の言葉。第64回生徒会長 ナタリー・ノード』

えっ、まだ挨拶が続くの!?

寝ずに話を聞いているのも、もう限界に近づいてきた。

あー、眠い。こういう式の話ってのは、どうして眠くなるんだろうな。

『ご紹介に預かりました、生徒会長のナタリー・ノードです。この度は、ご入学おめでとうございます。』

その言葉を最後に、俺のまぶたは完全に閉じてしまった。

~~~~~~~~

「はっ!」

気がつくと、式はもう終わりにさしかかっていた。

ヤッベ、俺完全に寝てたわ。

まぁ、いっか。話が長いのが悪い。

『以上を持ちまして、第64回入学式を終了とさせていただきます。』

おー、やっと終わったか。

『Sクラス、退場。』

掛け声に合わせて席を立ち、順に教室へ戻っていく。

にしても、生徒会長の顔をチェック出来なかったのは痛いな。

俺としては、この学園の生徒会長がどんなもんか見ておきたかったんだがな。

まっ、寝ちゃったもんは仕方ないか。

次の機会に見ればいい。

俺はとりあえず指示にしたがって、教室へ戻るのであった。

~~~~~~~~~

「みんなー、式お疲れ様ー。んじゃ、朝にも言ったように簡単な自己紹介をしたら解散にしよっかー。それじゃ、君からどーぞー。はい、起りーつ。」

指されたのは、教室の扉側に座る生徒だ。

「おっ、俺からですか。」

「なにか問題でもー?」

「いや、別にいいですけど。」

いやぁ、1番最初って大変だよな。

後に続く人もそれに合わせて自己紹介をするし。

俺は、同情の目でそいつを見た。

「えー、俺の名前はラロルド・スチュアードです。得意なことは剣術で、苦手なものは座学です。趣味は、剣を集めることです。よろしくお願いします。」

おおっ、無難にまとめたな。

続く生徒も、ラロルド君の自己紹介を手本にして、同じようにまとめていく。

おっ、俺の番か。

席を立ち、前を見据える。

「ユウト・バランです。得意なことは剣術で、苦手なものは魔法です。。趣味は読書です。よろしく。」

教室がざわめき、視線が集まる。

まぁ、このくらいの視線なんざ痛くも痒くもないがな。

「はいはい、静かにー。んじゃ、次どーぞ。」

それ以降、変化のないまま自己紹介が続いたが、あるとき急に静かになった。

なんだ?急に静かになるなんて、なんかあったのか?

とりあえず状況を確認するために振り向くと、王太子殿下が立っていた。

「クイード・ランセルだ。私はいずれこの国の王になるが、挨拶でも言ったように皆と平等に接して欲しい。よろしく頼む。ああ、あとユウト・バラン。今回はお前に首席を奪われたが、次はないぞ。覚悟しておくんだな。」

うわっ、俺名指し!?

王子様直々のライバル宣言とかいらない!

俺があたふたしていると、次に移っていた。

「次は俺か。俺はラスティール・ナイドだ。得意なものはいくつかあるが、苦手なものは特にない。よろしくな!」

自己紹介を終えると、歯をキラリと輝かせて座った。

うわぁ、相変わらず歯をキラキラさせてんなぁ。

関わらないようにしよ。

それからまた何人か続き、俺はそれをボーッとしながら聞いていた。

すると、聞き覚えのある声が耳に飛び込んできた。

「ルーナ・オルホォードです。得意なことは支援魔法や回復で、苦手なものは剣術です。よろしくお願いします。」

ルーナ?ルーナってあの!?前に店で会ったあのルーナか。

驚いたな、貴族だったのか。

でもなんで、貴族なんかが店で働いてたんだ?

疑問に思っていると、クラスメート達がザワザワと囁いている声が聞こえた。

『オルホォードって、あの?』

『そうそう、没落したあの家よ。』

『もはや貴族でもないのに図々しく名字を名乗っているだけでなく、学園に入るとは一体どんな汚い手を使ったのかしら。』

なるほどな、没落したのか。

だが、没落してもSクラスに居るってことはとても優秀なんだろう。

パンパン

ナキリ先生が手を叩き、次の生徒を促した。

あとは何の問題もなく、無事に最後の生徒まで終わった。

「みんなやったよねー。じゃあ、解散にしよっかー。明日は8時30分までにこの教室に座っててねー。授業は時間割とか配られた紙を見といてねー。それにいろいろ書いてあるからー。」

そう言ってから、ドアまで歩いていき外に出ようとしているナキリ先生。

えっ、この後の説明は!?ないのか?

俺の心の声に気づいたのか、ナキリ先生は一度教卓へ戻ってきた。

「あー、忘れてたー。この後のことだけどー、寮に帰って自室待機でもいいし、家族と最後の挨拶をしに行ってもいいよー。ただ、門限は守ってねー。破ったら、キツイお仕置きが待ってるからー。」

そうして今度こそ、本当に解散したのだった。
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