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第二章 ~学園~
剣術の試合 その3
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さて、どう攻めていこうか。
とりあえず、軽く打ち込んでみようかな。
相手の力量は分からないが、かなりの手練れだろう。雰囲気や立ち姿から分かる。
考えていても仕方ない。よし、行くか。
タンッ
地面を勢いよく蹴り、相手の懐に入ってから剣を横から打ち込む。
「おおっと。」
相手はバックステップをして避ける。
クソッ、空振ったか。
避けられることは予想がついていたので、なるべく隙を見せないように、すぐに体勢を立て直す。
「いいね、やるじゃん。だけど、まだまだ詰めが甘い!」
唐突に繰り出してきた蹴りを、ギリギリで身体をひねって避ける。
ビュオ
うわっ、蹴りでこの風圧かよ。当たったらだいぶダメージを受けそうだ。
まあ、そんなことより。
「リムト先輩、良いんですか蹴りなんて。剣術の試合なのに。」
そう、これは一応剣術の試合なんだよな。
体術は無しとかは聞いてないけど、暗黙の了解で無しなのかと思ってた。
「いいんだよ。別に先生もダメとは言ってないだろ?だから、やったもん勝ち。」
「はぁ、そうですか。確かにそれはそうかもしれませんが。」
「それに君も、体術の心得くらいあるだろ?なんたってあの団長の訓練を受けてるんだから。」
言葉に棘があった気がする。
団長の訓練を受けてるのは俺だけじゃないのに!
俺以外はみんな、おっさんだったけどな!
「ええ、受けてますよ。では、体術も有りですね。」
体術も有りなら、戦いの幅は広がるな。
「そうこなくっちゃ!んじゃ、次は僕から行くよ。」
言い終えると同時に、今度はリムト先輩の方から飛び込んで来た。
その勢いのまま首を狙った突きを放つ。
俺は自分の剣の表面に相手の剣を滑らすことで攻撃を流す。
そして目の前にある先輩の脇腹をおもいっきり蹴ろうと足を上げる。
それに気付いた先輩は、無理な体勢からバク転をして距離を取った。
「ずいぶん身軽ですね、リムト先輩。」
「そりゃあ、鍛えてるからね。」
身軽ということは、トリッキーな動きが多いな。
しかも、動きが速い。それだけじゃなく、体術の威力も並じゃない。
俺が狙える弱点なんてないじゃないか!
攻められないまま、数合打ち合う。
時間がない。どうにか手口を見つけないと。
そのうちに、ふと違和感を覚えた。
あれ?剣の威力はあんまり無い?
剣の合間に放たれる蹴りなどの威力は凄い。
だが、剣で打ち合うだけであれば、押せることも多かったな。
それなら、蹴りが出せないほど追い詰めればいい。
「フゥーーー。」
一度離れてから、息を吐いて呼吸を整える。
行くか。
ダンッ
キィン キィンキィンキィンキィン キィン
「うわっ、ちょっ、いきなり凄いね。」
「今喋る余裕のある先輩も、なかなかですけどね!」
よし、思った通り!このまま押しきれるか!
頭の片隅でそんなことを考えていた。
だから、油断していたのかもしれない。
気がつくと、リムト先輩がニヤリと笑っていた。
「やっぱり甘い、甘過ぎるよ。小細工はもう終わり。本気で行くよ。」
押されていたように見えたリムト先輩が、急に応戦しだした。
俺の全ての攻撃に対応し、反撃してくる。
蹴りなどの体術は一切なし。純粋な剣技のみだ。
剣でも隙がないなんて、もう敵わないじゃないか!
こうなったら、なりふり構わずやってやる!
ちょうど先輩が剣を打ち下ろしてきた。
ギィン ギチギチギチ
つばぜり合いになった。力は拮抗している。
俺は、一瞬だけ力を抜いた。
急に変わった手応えに、先輩の勢いが乱れる。
そこで、脇腹に蹴りを入れ、怯んだところで首筋に向かって突きを放つ。
リムト先輩が先ほど放ったものと同じ攻撃だ。
だが、視界の隅で先輩の体勢が立て直されているのがうつる。
これは避けられるな。
そこで、頭を低くして素早く回り込み、後ろから首筋に剣を当てた。
ビーーーーー
「そこまで!勝者、ユウト・バラン!」
勝った、、、のか?
「ハァ、僕の負けだね。誇って良いよ、ユウト・バラン。なんたって、3年の主席に勝ったんだから。次は負けない、というか最初から本気で行くからね。」
「分かりました。先輩に負けないように、これからも鍛えていきます。その際は、よろしくお願いしますね。」
「仕方ないな。後輩の頼みだ。こちらこそよろしく頼むよ。」
俺とリムト先輩は握手を交わした。
「おい、お前らもういいか?そろそろ時間なんだが。」
「いいですよ。もう終わりました。」
俺たちは、最初に座っていた位置に戻った。
「では、最後にライナーからの講評だ。よく聞いとけ。」
「ありがとよ、ミゲル。あー、俺からの講評だが、まず1年、よく頑張ったナァ。お前らの歳の1、2年の差は大きい。だが、その差を埋める勢いで果敢に攻めていた。ユウトを除いて勝てはしなかったが、良い試合だったと思うゾォ。俺からは以上だ。3年の講評はミゲル、頼んだぞ。」
「3年は、1年の実力をよく見ていたな。最初は油断していた奴も多かったが、1年を甘く見ない方が良いということは、十分に感じただろう。これからは、相手の力量を正確に測れるように努力するんだな。フム、時間もちょうどいいか。では、解散!」
こうして、剣術の授業は終わりを告げた。
ゴーン ゴーン
うわっ、もう鐘が鳴った。
あと10分しかないじゃないか。急いで着替えなきゃ。
俺は、更衣室へ急いだ。
とりあえず、軽く打ち込んでみようかな。
相手の力量は分からないが、かなりの手練れだろう。雰囲気や立ち姿から分かる。
考えていても仕方ない。よし、行くか。
タンッ
地面を勢いよく蹴り、相手の懐に入ってから剣を横から打ち込む。
「おおっと。」
相手はバックステップをして避ける。
クソッ、空振ったか。
避けられることは予想がついていたので、なるべく隙を見せないように、すぐに体勢を立て直す。
「いいね、やるじゃん。だけど、まだまだ詰めが甘い!」
唐突に繰り出してきた蹴りを、ギリギリで身体をひねって避ける。
ビュオ
うわっ、蹴りでこの風圧かよ。当たったらだいぶダメージを受けそうだ。
まあ、そんなことより。
「リムト先輩、良いんですか蹴りなんて。剣術の試合なのに。」
そう、これは一応剣術の試合なんだよな。
体術は無しとかは聞いてないけど、暗黙の了解で無しなのかと思ってた。
「いいんだよ。別に先生もダメとは言ってないだろ?だから、やったもん勝ち。」
「はぁ、そうですか。確かにそれはそうかもしれませんが。」
「それに君も、体術の心得くらいあるだろ?なんたってあの団長の訓練を受けてるんだから。」
言葉に棘があった気がする。
団長の訓練を受けてるのは俺だけじゃないのに!
俺以外はみんな、おっさんだったけどな!
「ええ、受けてますよ。では、体術も有りですね。」
体術も有りなら、戦いの幅は広がるな。
「そうこなくっちゃ!んじゃ、次は僕から行くよ。」
言い終えると同時に、今度はリムト先輩の方から飛び込んで来た。
その勢いのまま首を狙った突きを放つ。
俺は自分の剣の表面に相手の剣を滑らすことで攻撃を流す。
そして目の前にある先輩の脇腹をおもいっきり蹴ろうと足を上げる。
それに気付いた先輩は、無理な体勢からバク転をして距離を取った。
「ずいぶん身軽ですね、リムト先輩。」
「そりゃあ、鍛えてるからね。」
身軽ということは、トリッキーな動きが多いな。
しかも、動きが速い。それだけじゃなく、体術の威力も並じゃない。
俺が狙える弱点なんてないじゃないか!
攻められないまま、数合打ち合う。
時間がない。どうにか手口を見つけないと。
そのうちに、ふと違和感を覚えた。
あれ?剣の威力はあんまり無い?
剣の合間に放たれる蹴りなどの威力は凄い。
だが、剣で打ち合うだけであれば、押せることも多かったな。
それなら、蹴りが出せないほど追い詰めればいい。
「フゥーーー。」
一度離れてから、息を吐いて呼吸を整える。
行くか。
ダンッ
キィン キィンキィンキィンキィン キィン
「うわっ、ちょっ、いきなり凄いね。」
「今喋る余裕のある先輩も、なかなかですけどね!」
よし、思った通り!このまま押しきれるか!
頭の片隅でそんなことを考えていた。
だから、油断していたのかもしれない。
気がつくと、リムト先輩がニヤリと笑っていた。
「やっぱり甘い、甘過ぎるよ。小細工はもう終わり。本気で行くよ。」
押されていたように見えたリムト先輩が、急に応戦しだした。
俺の全ての攻撃に対応し、反撃してくる。
蹴りなどの体術は一切なし。純粋な剣技のみだ。
剣でも隙がないなんて、もう敵わないじゃないか!
こうなったら、なりふり構わずやってやる!
ちょうど先輩が剣を打ち下ろしてきた。
ギィン ギチギチギチ
つばぜり合いになった。力は拮抗している。
俺は、一瞬だけ力を抜いた。
急に変わった手応えに、先輩の勢いが乱れる。
そこで、脇腹に蹴りを入れ、怯んだところで首筋に向かって突きを放つ。
リムト先輩が先ほど放ったものと同じ攻撃だ。
だが、視界の隅で先輩の体勢が立て直されているのがうつる。
これは避けられるな。
そこで、頭を低くして素早く回り込み、後ろから首筋に剣を当てた。
ビーーーーー
「そこまで!勝者、ユウト・バラン!」
勝った、、、のか?
「ハァ、僕の負けだね。誇って良いよ、ユウト・バラン。なんたって、3年の主席に勝ったんだから。次は負けない、というか最初から本気で行くからね。」
「分かりました。先輩に負けないように、これからも鍛えていきます。その際は、よろしくお願いしますね。」
「仕方ないな。後輩の頼みだ。こちらこそよろしく頼むよ。」
俺とリムト先輩は握手を交わした。
「おい、お前らもういいか?そろそろ時間なんだが。」
「いいですよ。もう終わりました。」
俺たちは、最初に座っていた位置に戻った。
「では、最後にライナーからの講評だ。よく聞いとけ。」
「ありがとよ、ミゲル。あー、俺からの講評だが、まず1年、よく頑張ったナァ。お前らの歳の1、2年の差は大きい。だが、その差を埋める勢いで果敢に攻めていた。ユウトを除いて勝てはしなかったが、良い試合だったと思うゾォ。俺からは以上だ。3年の講評はミゲル、頼んだぞ。」
「3年は、1年の実力をよく見ていたな。最初は油断していた奴も多かったが、1年を甘く見ない方が良いということは、十分に感じただろう。これからは、相手の力量を正確に測れるように努力するんだな。フム、時間もちょうどいいか。では、解散!」
こうして、剣術の授業は終わりを告げた。
ゴーン ゴーン
うわっ、もう鐘が鳴った。
あと10分しかないじゃないか。急いで着替えなきゃ。
俺は、更衣室へ急いだ。
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