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ある平民のお話
しおりを挟むここの領主様はこの国の英雄様だ。
英雄様は元平民ながらも
幼い頃からその才能と弛まぬ努力で誰にも
負けない力を身に着け
成人と共に小さな村から王都へと出てきたらしい。
その頃丁度この国は魔物被害が尋常ではなく
魔物討伐の為に平民貴族関係なく力ある者を騎士へと募っていた。
何故英雄様がその討伐に参加したのかはわからないが
力が認められ討伐隊の最前線を任せられる事になった彼の方は、聖女の力を持った王女様と王都騎士団を含む少数精鋭の仲間と共に旅立った。
それから沢山な村や街を巡り魔物を討伐しながら
最後の目的。
魔物が活発化してしまった原因である深淵の森で
アルヴァムートを英雄様の剣で薙ぎ払ってその旅を終えたらしい。
その期間約3年。
短い様で長く、決して愉快ではなかったであろうその旅で
英雄様と聖女様は惹かれあった。
そして、旅から戻ると国王様も国の英雄と聖女である王女様との婚姻を認め国を挙げて盛大に祝われる事になった。
いくら英雄といえども元平民だ。
平民が王女様を娶るなんて夢物語の様な話が現実におこって俺も含め男達皆が夢膨らんだのを今でも覚えている。
今回の魔物討伐と二人の婚姻を祝う為のパレードには多くの者が国中から駆け付けた。
俺もその中の一人だ。
あのとき見たパレードは今でも忘れない。
馬車の中から手を振る王女様は透ける様なゴールドパールの髪に白魚の様な透ける肌、その隣に座る英雄様もまるで王女様の髪に対になる様透ける様なシルバーブロンドで少し焼けた肌が色気を漂わせる。
まあ、要するに美男美女だって事だ。
本当にこの二人が恐ろしい魔物なんかと戦っていたのかと疑いたくなる程だった。
その後英雄様は王女様と婚姻するにあたって伯爵という地位と土地を授与され、俺たちの領主様になってくれた。
「いやあ。本当に領主様夫婦は仲がいい。」
「お2人の様に愛し愛されの運命の人ってロマンチックよね」
2人を讃え羨む声はもはや日常の一部だ。
元平民だってこともあってか、英雄様はよく街に降りてはこの土地を良くしようと自ら動いてくれた。
そのかいあってか、今ではこの街も国で栄えるおおきな街の一つとして認められる様になった。
王女様も聖女の気質なのかの、孤児院や慈善事業に力を入れ、貧しいこどもたちへ自ら施しを与える程物腰やわらかい方だった。
休みの日にはよく2人で街へおりては、寄り添う姿を見かけた。
それは、一年たっても、3年たっても、領主様たちに子供が産まれても変わらなかった。
これを運命の人と呼ばなくてなんと呼ぶ?だろ?
あれから何十年。
既に子供が成人を迎えそれでも、領主様夫婦の仲の良さは変わらない。
それでもやっぱり。
人間ってのはいつかは年老いていくもんなんだな。
聖女様が病に倒れてしばらく。
今日
その魂が迎えられた鐘の音が街中に
悲しく
切なく
鳴り響いた。
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