5 / 11
ある村娘のお話
しおりを挟む「何もミーシャまで鍛錬に付き合わなくていいんだぞ?」
「ううん!わたしライルが剣振ってるの見るの好きだから!」
なんだよそれっ。って少し恥ずかしそうに顔を背けて頬をかくライル。
普段とは違った様子に私も思わず頬がゆるんでしまう。
「ミーシャ!ライル!」
「パパ!」
「師匠!」
「ライル!その師匠ってのやめてくれよな~」
そういいつつもライルと同じように顔を背けながら頬をかくパパ!
二人は親子じゃないけど、親子の様にそっくりだ!
-------------------------------------------
小さな頃にママを亡くした私はパパと一緒に暮らしていた。
パパは元々傭兵をやっていて剣はめっぽう強かった。
辺境にある小さな村のはずれでパパと二人。
質素な生活だったけどいつも明るいパパのおかげで寂しい思いはしなかった。
そんな時に出会ったのがライルだ。
両親を事故で亡くしてしまったらしく、元々貧しかったライルはその後孤児として暮らしていた。
小さな村だからこそ団結力も強ければ、その分はみ出した者への風当たりも強い。
村の子たちに怪我をさせたれたライルを見つけた私は嫌がるライルの手を引いて家に連れ帰った。
最初パパは驚いていたけど事情を話せば一緒に住もうと言ってくれた。
元々村のはずれにひっそりと住んでいた私たちもライルと同じはみだし者だ。
でもパパは力自慢の大人だから、特に嫌がらせなどなくお互いに干渉せずといった生活だった。
最初は戸惑っていたライルも徐々に心を開いてくれていったのが嬉しかった。
でも恥ずかしがりやさんだから、いつも照れた時は絶対顔を背けちゃうのよね。ふふ。
やっとこの生活に慣れてきた頃パパとライルはコソコソ話し合ってそれから剣の訓練をする様になったのよね。
ずるい!私も一緒にしたかったのに
「「ミーシャは危ないからだめ!だ!」」と二人から言われてしまったのだ。
ライルは元々剣の素質があった様で、パパも教えがいがあるととても楽しそうだった。
それからこうやって毎日ライルの訓練を見守るの日課。
そんな日々が続き私が16歳になった頃。
近頃魔物が各地で暴れるといった現象が起きているらしい。この村も辺境にある分、もし何かあった際は自分たちで身を守らないといけない。
そんな何かがあんな事になるなんて。
あの日。村へ魔物が大群で押し寄せてきた。
パパとライルはすぐに剣をもってその場へ向かおうとした。
「ライル!お前はくるんじゃない!お前はミーシャを守るんだ!!」
「師匠!」
「パパ!でもパパがっ・・・」
「ミーシャ大丈夫だ。絶対にパパは戻ってくるから。なっ?」
そういって私の頭に大きな手をのせるとライルを見てパパはいったの。
「それまで、ミーシャを頼んだぞライル」
ライルは右腕で目をぬぐったあと大きな声でいっていたわ。
「任せろよ師匠!」
パパはニカッ!と笑うと大きな剣を背負って扉を開け出ていってしまった。
あれから数時間。家の周りにも魔物が何体か現れたのをライルがものすごい勢いで払い倒していく。
私は震えながら窓際でその姿を見守る事しかできなった。
そして夜が明けたの。
朝日に照らされて、あんなに騒騒しかった魔物たちの鳴き声や足音が静かになっていた。
私とライルはほっと息を吐き力が抜ける様に眠りに落ちていた。
目が覚めると日が真上とあがっているが、探している人達が見つからない。
その時いつの間に外に出ていたのか、ライルが帰ってきた。
その顔は何故か青白かった。
「ねえライル!もうおひるになるのにパパがまだ帰ってこないのよ?私たちで迎えにいきましょう?」
そいってライルの手を取るがピクリとも動かず顔を伏せたままだ。
「ねえ、ライル?」
187
あなたにおすすめの小説
氷の王弟殿下から婚約破棄を突き付けられました。理由は聖女と結婚するからだそうです。
吉川一巳
恋愛
ビビは婚約者である氷の王弟イライアスが大嫌いだった。なぜなら彼は会う度にビビの化粧や服装にケチをつけてくるからだ。しかし、こんな婚約耐えられないと思っていたところ、国を揺るがす大事件が起こり、イライアスから神の国から召喚される聖女と結婚しなくてはいけなくなったから破談にしたいという申し出を受ける。内心大喜びでその話を受け入れ、そのままの勢いでビビは神官となるのだが、招かれた聖女には問題があって……。小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
愚か者の話をしよう
鈴宮(すずみや)
恋愛
シェイマスは、婚約者であるエーファを心から愛している。けれど、控えめな性格のエーファは、聖女ミランダがシェイマスにちょっかいを掛けても、穏やかに微笑むばかり。
そんな彼女の反応に物足りなさを感じつつも、シェイマスはエーファとの幸せな未来を夢見ていた。
けれどある日、シェイマスは父親である国王から「エーファとの婚約は破棄する」と告げられて――――?
欲深い聖女のなれの果ては
あねもね
恋愛
ヴィオレーヌ・ランバルト公爵令嬢は婚約者の第二王子のアルバートと愛し合っていた。
その彼が王位第一継承者の座を得るために、探し出された聖女を伴って魔王討伐に出ると言う。
しかし王宮で準備期間中に聖女と惹かれ合い、恋仲になった様子を目撃してしまう。
これまで傍観していたヴィオレーヌは動くことを決意する。
※2022年3月31日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
それでも好きだった。
下菊みこと
恋愛
諦めたはずなのに、少し情が残ってたお話。
主人公は婚約者と上手くいっていない。いつも彼の幼馴染が邪魔をしてくる。主人公は、婚約解消を決意する。しかしその後元婚約者となった彼から手紙が来て、さらにメイドから彼のその後を聞いてしまった。その時に感じた思いとは。
小説家になろう様でも投稿しています。
聖女に負けた侯爵令嬢 (よくある婚約解消もののおはなし)
蒼あかり
恋愛
ティアナは女王主催の茶会で、婚約者である王子クリストファーから婚約解消を告げられる。そして、彼の隣には聖女であるローズの姿が。
聖女として国民に、そしてクリストファーから愛されるローズ。クリストファーとともに並ぶ聖女ローズは美しく眩しいほどだ。そんな二人を見せつけられ、いつしかティアナの中に諦めにも似た思いが込み上げる。
愛する人のために王子妃として支える覚悟を持ってきたのに、それが叶わぬのならその立場を辞したいと願うのに、それが叶う事はない。
いつしか公爵家のアシュトンをも巻き込み、泥沼の様相に……。
ラストは賛否両論あると思います。納得できない方もいらっしゃると思います。
それでも最後まで読んでいただけるとありがたいです。
心より感謝いたします。愛を込めて、ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる