神様、ごめんね

ロヒサマ

文字の大きさ
4 / 30

第四話【お返しとの出会い】

しおりを挟む
「一美ちゃんいないですね。どこ行っちゃったんだろう。ちょっと探して来ますね」
 LIMEのメッセージも見てないし、電話にもでない。私は二人を残して、とりあえず一美ちゃんが行きそうとこを回った。トイレにはいない。大好きなソフトクリーム売り場にもいない。一番豪華で広そうな休憩所の椅子に、もいない。
「んー、そんなに怒ってたのかな?」
 こうなった一美ちゃんは引き下がらないとは思ってたけど、こんなにいないと流石に気になる。メッセージもまだ読んでないな。ふむふむどうしたものかと腕を組み、ふと目線を上げると窓から向かいのコンビニが見えた。そしてその入り口に吸い込まれる一美ちゃんを見つけた。
「いた!」

 私は急いで映画館から出て、横断歩道越しにソフトクリームを食べながらコンビニを出る一美ちゃんを、手を振りながら呼んだ。
「おーい。みんな待ってるよー」
「げ、美徳実。ちょっと信号越しに大声出さないでよ、恥ずかしい」
 青になった歩道を駆け抜け、私もコンビニの前まで到着した。やっぱりソフトクリーム食べてた。
「みんな心配して待ってるよ、行こう?」
「ごめんね。行きたい気待ちはあるにはあるけど、ほら、あんなことがあった上に、ゲーム好きの人とでしょ。罰が悪いわ」
「そっか、一美ちゃんが別れたのってゲーム好きの人だったんだよね。ごめんね」
「いや、美徳実が謝ることじゃないし。元はと言えばあの世中って奴がいたせいでこうなったんだわ。思い出したらまた腹たってきた」
「まぁまぁ、世中先輩の誤解も解けたし、丸山先輩だってそんな事情知らないし、、、あ」
「あって何? もしかしてあんた、別れた事喋ったの?!」
「ご、ごめん。話の流れでつい。うぁ、やっちゃった」
「最悪、マジで凹むわ」
「ごめんね。今度タピオカ奢るから許して」
 私は両手を合わせお願いした。あちゃぁ、火に油注いじゃったかな? 手の隙間からチラリと様子を伺う。でもそこに見えたのは、前を向いたいつもの強い一美ちゃんだった。
「まぁ、私もそろそろスッキリしたいと思ってたし。こんなんじゃダメよね。ウジウジなんて私らしくない。そうよ、そんなこと知られたって別にどうってことないわ。私は私だもの。なんだか変なタイミングだけど、吹っ切れたわ。よし、美徳実、映画見に行くわよ!」
 一美ちゃん、やっと笑ってくれた。やっぱり私は一美ちゃんのこういうとこに惹かれちゃうな。サバサバしてるけど、ちゃんと女の子。引っ張ってくれる強さも、自分を認める力もある。羨ましいな。私なんかと大違い。
「ほら、美徳実、置いてくわよ」
 一美ちゃんに呼ばれて、はっと我に返る。浸りすぎた。想像力は豊かだが、こんな人前で考え事は良くないよね。そう思って顔を上げると、信号が赤に変わった瞬間だった。一美ちゃんは気付かずに私の方を見ながら進んでる。横からは車が走って来てる。
「待って一美ちゃん、ダメ!」

 私は目を疑った。横断歩道が赤になった瞬間、一美ちゃんが飛び出しいく。車が横から走ってくる。どうしよう、ぶつかる! と思った瞬間。一美ちゃんの腕が思いっきり誰か引っ張られる。一美ちゃんの身体と車はギリギリかすった。大きいクラクションの音と、私の胸の音と、どちらが大きい音で鳴っていたか分からないほど、焦った。
「危ねぇだろ。ちゃんと信号見ろ。失恋したからって自殺は良くないぞ」
 ギリギリだった。もう少しで一美ちゃんが轢かれるところだった。私は助けてくれた人にお礼を言うためにその人の顔を見上げた。
「ありがとうございます、助かりまし、え、えぇー?!」

 私は重ねてドキドキした。世中先輩と一美ちゃんが、抱き合ってる? いや、一美ちゃんを背中から包むように抱いている? 会ったばがりの二人がそんな。危機から救った王子様が今まさにナニをしようとしてるの?!
「いや田中、何をドキドキハラハラしいる。俺はこいつが轢かれそうになったから引っ張った。そしてたまたまこういう格好の着地点だっただけだ」
「なるほど! 理解しました。って、ありがとうございます! 助かりました。いつの間に?」
「いや、あんまり遅いからコンビニで飲み物でも買おうと思って来てみたら、大きな声で話す女子高生がいたもんだから来てみたら、だ」
「ってか、ちょっとあんた。早く退きなさい! いつまで私の身体を堪能してる気よ」
「あ、悪い悪い」
「てかドサクサに紛れて失恋とか言ってんじゃないわよ。私から振ったの。勘弁してよ」
「おま、それが助けてもらった人への態度かよ」
 あれ? 喧嘩なのか、助かったのに助かってないぞ? ガミガミ言い合う二人に割って入った。
「ちょっと一美ちゃん。そんな事より、ね? ちゃんとお礼言って」
 一美ちゃんは一歩下がって、ちょっと頬を染め急にしおらしくなった。

「その、あ、ありがとうございます。先輩」
 なんだろう、すごく可愛い。一美ちゃんのこんな感じ私も久々に見たかも。
「じゃあ、一件落着。世中先輩、ありがとうございました。ちょっとジュース、買ってきますね」
 そう言ってスタスタとコンビニへ向かった。

「あと、これ。この際だから渡して置くわ。はい」
「なんだこれ?」
 一美から強志に手渡されたのは、三千六百円だった。
「映画のチケット代。美徳実と一緒に話したの。やっぱり二人分は出そうって。私もこの映画割と楽しみしてたし」
「いやでも、俺ら学生料金だから二人だと三千円だぞ? まさかさっきの衝撃で頭を」
「馬鹿。説明しなきゃ分かんないの? 六百円はこの前の分」
「六百円。何か貸したっけか? いやそもそもちゃんと会うのは初めてだし、落とした訳でも」
「もう、鈍すぎ! この前のプリクラ、ちょっと勢いで多くもらい過ぎたから」
「おう、なんだ。可愛いとこあるじゃん」
「何よその言い方」

「お待たせー。ってもう、また喧嘩してる」
 私は再度二人の間に入る。そして買ってきた人数分のジュースを半分、世中先輩に渡した。
「これ丸山先輩と分けてください」
「え? 良いの? ありがとう」
「いえ、親友の命の恩人ですから。このくらいは当たり前なのです。さぁ、ちょうど信号も青ですし、〈けど元気〉観に行きましょう!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

彼女が望むなら

mios
恋愛
公爵令嬢と王太子殿下の婚約は円満に解消された。揉めるかと思っていた男爵令嬢リリスは、拍子抜けした。男爵令嬢という身分でも、王妃になれるなんて、予定とは違うが高位貴族は皆好意的だし、王太子殿下の元婚約者も応援してくれている。 リリスは王太子妃教育を受ける為、王妃と会い、そこで常に身につけるようにと、ある首飾りを渡される。

神楽坂gimmick

涼寺みすゞ
恋愛
明治26年、欧州視察を終え帰国した司法官僚 近衛惟前の耳に飛び込んできたのは、学友でもあり親戚にあたる久我侯爵家の跡取り 久我光雅負傷の連絡。 侯爵家のスキャンダルを収めるべく、奔走する羽目になり…… 若者が広げた夢の大風呂敷と、初恋の行方は?

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

処理中です...