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第六話【隠れた愛との出会い】
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家路に着いた私は、すぐパソコンの画面をつける。もちろん手洗いうがいをしてから。早速映画の感想をブログにまとめる。
映画が好きになったのは小学三年生の頃。好きなアニメ映画をお母さんと観に行った事がきっかけだった。大迫力の音、映像、素敵な歌。すぐに心を奪われた。もう一回同じのを観たいと映画館の出口で駄々をこねたのを今でも覚えている。
それからは週に一回日曜日だけ、映画の日をお父さんが作ってくれた。借りてくる映画のセンスは子供向きではなかったけど、それでも毎週嬉しかった。そこから私の映画ライフが始まったのだ。
そして中学二年からはブログを書き始め、定期的に映画の感想や最新情報をアップしている。と言っても、読んでる人も一日十人行けば良い方だし、友達にも親にも言っていない自分だけの秘密の趣味だ。
私は小さい頃から、人との付き合い方が不器用だった。気が小さく、思った事が口に出来ない。そんな些細な事でどれだけ辛い思いをし、そしてさせてきただろう。自信が時とともにどんどん無くなっていく。その焦燥感がたまらなく、置いてけぼりを感じていた。
中三の時、クラスの男子に根暗と馬鹿にされた事があった。いつも休み時間に映画の原作とかばかり読んでいたから仕方ないと思う。酷く苦しい思いをしたけど、それでも一美ちゃんが側にいてくれたから何とか耐えれた。
そんな事もあって、映画やブログの趣味にさらに力を入れた。自分を伝えられないことから逃げている事への理由として。
「お土産とチケットの画像を入れて。よし、これで今日のブログ更新は終了!」
一仕事終えてMe Tubeを見ながらゴロゴロしていると、世中先輩からメッセージが届いた。
『明日、確認したいことがある。昼休み、屋上に来てくれ』
「え、この展開って、もしかして。嘘。でもそんなはずないよね。一回映画観に行ったからって、しかも屋上にって。ひゃー」
私はドキドキしながらしばらくあれこれ考えた。でもよく考えたら、どうしても伝えたい事とか、言わなくちゃいけないこととか、ではなく確認したい事だ。いけないいけない、映画の見過ぎだ。もう遅いし、寝よう。
「おっはよ、美徳実。昨日は楽しかったねって大丈夫? 凄いクマだよ」
「うん、ちょっと寝付けなくて。終いには色んな雑学を調べ始めてて、結局朝になっちゃってた」
嘘ではないが、その半分くらいの時間は妄想に費やしていたとは、流石に言えない。朝の教室はちらほら生徒が増えていき、少しずつ賑やかさが様になってくる。
「知ってた?ペプッシュコーラはもともと胃薬だったんだよ」
「へぇー。あんた何ていうか、そういうの好きよね。雑学とかスピリチュアルとか? 私だったら秒で寝ちゃうわ」
「あはは、私達って似てないとこ多いよね。あっそれ、昨日の映画のクリアファイル?」
「そう。美徳実のカバンに付けてる四葉のもでしょ?」
四葉と言えば、昨日調べた雑学にこんなのがあった。
「うん。昨日調べてて知ったんだけどね。四葉のクローバーには愛が五個も入ってるんだって」
一美ちゃんは分かりやすくハテナを頭の上に出した。
「葉っぱがハートみたいだからでしょ。でも四つじゃない」
「それがね、クローバーって英語で書くと【CLOVER】でしょ?」
「ごめん、知らない」
「えへへ、じゃあちょうど勉強になったね。この文字の中には【LOVE】が隠れてるの」
そう言ってスペルを書いたノートを見せた。おぉ、と目を見開く一美ちゃんはなんと愛くるしいだろう。
「だから愛が五個」
「面白いわね。そういうのなら好きよ、私」
机に座ってた一美ちゃんは、私の目の前の席に座り、改まって聞いてきた。
「ねぇ美徳実。どう思う?」
「どうって、何が?」
「あれよ、あいつの事」
「あぁ、世中先輩? 何だか優しそうな人だよね。昨日だって事故になりそうなところを助けてもらったし」
「そう、そうなのよ。あの時、私。悔しいけど少しドキっとしたわ」
照れ臭そうにもハキハキと喋る。あぁ、私はきっと彼女のこういうところに憧れてるんだな。自分の思ったことをハッキリと言えて、ウジウジ隠さない。自分の思ったことに自信が持てなくて、相手が何か反応を起こさなきゃ核心が得られない私とは大違いだ。
私もそんな風に素直に変わりたいな。そう思ったからか、ふいに出た言葉に自分も一美ちゃんも驚いた。
「カッコいいよね。なんか私までドキドキしちゃったの。こんな人に守ってもらえたら嬉しいだろうな、って。このキーホルダーね、実は世中先輩からもらったんだ」
「はぁ、マジで? 何あのタラシ。どんな子にも色目使うなんて有り得ないんですけど! やっぱ今のなし!」
「あはは、色目使ってるわけじゃないと思うよ」
一美ちゃん、良い子なのに、早とちりなとこが玉に瑕なんだよなぁ。でも私だけもらっちゃって良かったのかな? 抜け駆けしたみたいで、ちょっぴり罪悪感があった。
「んー、良く寝た。やっぱり睡眠は美容に良いわね」
「一美ちゃん、まだ先生いるから、しーっだよ」
思いっきり欠伸をして先生に睨みつけられていた。焦った一美ちゃんは急に姿勢を正した。
「やばっ、ついつい。お腹空いたし、やっとお昼だもの、お弁当食べよ」
席から立ち上がり、テーブルをくっつけている一美ちゃんに、私は申し訳なく言った。
「ごめんね、私お弁当忘れちゃったから購買で買ってくる。先食べてて」
私は屋上へと行くため、ちょっと嘘をついた。キーホルダーを私だけ買ってもらって、その本人に昼休み屋上で会うんです、なんて私には言えなかった。
屋上に着くと、先に世中先輩がいた。
「悪いな、呼び出しちゃって、これ」
先輩はメロンパンと牛乳が入ったビニール袋を渡してきた。
「女子が何食うのか良く分かんなかったから、適当に買ってきた」
「あ、ありがとうございます! それで、話って言うのは」
世中先輩は何だかん緊張しているみたい。言いづらそう。え、もしかして。急に私もドキドキしてきた。風に揺れる先輩の髪の毛と制服。太陽に照らされて眩しい空。誰もいない二人だけの屋上。
「田中、俺。お前のこと」
私は思わず持っていたビニール袋を落としてしまった。思わず一歩後退る。
「俺、お前の」
ゴクリと唾を飲み込む音、聞こえてしまっただろうか。もう受け入れるしかないのだろうか。
「俺、お前のファンなんだ!」
映画が好きになったのは小学三年生の頃。好きなアニメ映画をお母さんと観に行った事がきっかけだった。大迫力の音、映像、素敵な歌。すぐに心を奪われた。もう一回同じのを観たいと映画館の出口で駄々をこねたのを今でも覚えている。
それからは週に一回日曜日だけ、映画の日をお父さんが作ってくれた。借りてくる映画のセンスは子供向きではなかったけど、それでも毎週嬉しかった。そこから私の映画ライフが始まったのだ。
そして中学二年からはブログを書き始め、定期的に映画の感想や最新情報をアップしている。と言っても、読んでる人も一日十人行けば良い方だし、友達にも親にも言っていない自分だけの秘密の趣味だ。
私は小さい頃から、人との付き合い方が不器用だった。気が小さく、思った事が口に出来ない。そんな些細な事でどれだけ辛い思いをし、そしてさせてきただろう。自信が時とともにどんどん無くなっていく。その焦燥感がたまらなく、置いてけぼりを感じていた。
中三の時、クラスの男子に根暗と馬鹿にされた事があった。いつも休み時間に映画の原作とかばかり読んでいたから仕方ないと思う。酷く苦しい思いをしたけど、それでも一美ちゃんが側にいてくれたから何とか耐えれた。
そんな事もあって、映画やブログの趣味にさらに力を入れた。自分を伝えられないことから逃げている事への理由として。
「お土産とチケットの画像を入れて。よし、これで今日のブログ更新は終了!」
一仕事終えてMe Tubeを見ながらゴロゴロしていると、世中先輩からメッセージが届いた。
『明日、確認したいことがある。昼休み、屋上に来てくれ』
「え、この展開って、もしかして。嘘。でもそんなはずないよね。一回映画観に行ったからって、しかも屋上にって。ひゃー」
私はドキドキしながらしばらくあれこれ考えた。でもよく考えたら、どうしても伝えたい事とか、言わなくちゃいけないこととか、ではなく確認したい事だ。いけないいけない、映画の見過ぎだ。もう遅いし、寝よう。
「おっはよ、美徳実。昨日は楽しかったねって大丈夫? 凄いクマだよ」
「うん、ちょっと寝付けなくて。終いには色んな雑学を調べ始めてて、結局朝になっちゃってた」
嘘ではないが、その半分くらいの時間は妄想に費やしていたとは、流石に言えない。朝の教室はちらほら生徒が増えていき、少しずつ賑やかさが様になってくる。
「知ってた?ペプッシュコーラはもともと胃薬だったんだよ」
「へぇー。あんた何ていうか、そういうの好きよね。雑学とかスピリチュアルとか? 私だったら秒で寝ちゃうわ」
「あはは、私達って似てないとこ多いよね。あっそれ、昨日の映画のクリアファイル?」
「そう。美徳実のカバンに付けてる四葉のもでしょ?」
四葉と言えば、昨日調べた雑学にこんなのがあった。
「うん。昨日調べてて知ったんだけどね。四葉のクローバーには愛が五個も入ってるんだって」
一美ちゃんは分かりやすくハテナを頭の上に出した。
「葉っぱがハートみたいだからでしょ。でも四つじゃない」
「それがね、クローバーって英語で書くと【CLOVER】でしょ?」
「ごめん、知らない」
「えへへ、じゃあちょうど勉強になったね。この文字の中には【LOVE】が隠れてるの」
そう言ってスペルを書いたノートを見せた。おぉ、と目を見開く一美ちゃんはなんと愛くるしいだろう。
「だから愛が五個」
「面白いわね。そういうのなら好きよ、私」
机に座ってた一美ちゃんは、私の目の前の席に座り、改まって聞いてきた。
「ねぇ美徳実。どう思う?」
「どうって、何が?」
「あれよ、あいつの事」
「あぁ、世中先輩? 何だか優しそうな人だよね。昨日だって事故になりそうなところを助けてもらったし」
「そう、そうなのよ。あの時、私。悔しいけど少しドキっとしたわ」
照れ臭そうにもハキハキと喋る。あぁ、私はきっと彼女のこういうところに憧れてるんだな。自分の思ったことをハッキリと言えて、ウジウジ隠さない。自分の思ったことに自信が持てなくて、相手が何か反応を起こさなきゃ核心が得られない私とは大違いだ。
私もそんな風に素直に変わりたいな。そう思ったからか、ふいに出た言葉に自分も一美ちゃんも驚いた。
「カッコいいよね。なんか私までドキドキしちゃったの。こんな人に守ってもらえたら嬉しいだろうな、って。このキーホルダーね、実は世中先輩からもらったんだ」
「はぁ、マジで? 何あのタラシ。どんな子にも色目使うなんて有り得ないんですけど! やっぱ今のなし!」
「あはは、色目使ってるわけじゃないと思うよ」
一美ちゃん、良い子なのに、早とちりなとこが玉に瑕なんだよなぁ。でも私だけもらっちゃって良かったのかな? 抜け駆けしたみたいで、ちょっぴり罪悪感があった。
「んー、良く寝た。やっぱり睡眠は美容に良いわね」
「一美ちゃん、まだ先生いるから、しーっだよ」
思いっきり欠伸をして先生に睨みつけられていた。焦った一美ちゃんは急に姿勢を正した。
「やばっ、ついつい。お腹空いたし、やっとお昼だもの、お弁当食べよ」
席から立ち上がり、テーブルをくっつけている一美ちゃんに、私は申し訳なく言った。
「ごめんね、私お弁当忘れちゃったから購買で買ってくる。先食べてて」
私は屋上へと行くため、ちょっと嘘をついた。キーホルダーを私だけ買ってもらって、その本人に昼休み屋上で会うんです、なんて私には言えなかった。
屋上に着くと、先に世中先輩がいた。
「悪いな、呼び出しちゃって、これ」
先輩はメロンパンと牛乳が入ったビニール袋を渡してきた。
「女子が何食うのか良く分かんなかったから、適当に買ってきた」
「あ、ありがとうございます! それで、話って言うのは」
世中先輩は何だかん緊張しているみたい。言いづらそう。え、もしかして。急に私もドキドキしてきた。風に揺れる先輩の髪の毛と制服。太陽に照らされて眩しい空。誰もいない二人だけの屋上。
「田中、俺。お前のこと」
私は思わず持っていたビニール袋を落としてしまった。思わず一歩後退る。
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