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しおりを挟む「忽那くん、入るわよ」
オートロックの玄関の鍵は、「テーブルの上に鍵あるんで持ってって下さい」と忽那くんから預かっていたのでそれで開錠。
必要な物を買いに行き、シャワーを浴びて着替えて戻ってくるまでにおおよそ2時間程。
電気が点いたままの室内に忽那くんの気配はなく、どうやら大人しく寝ているらしい。
すぐに食べられそうな物は何も入っていない冷蔵庫に、お粥に仕えそうな卵やネギ、味噌、梅干しなどをしまい、ポカリスエットに体温計、冷えピタ等を持って寝室に向かった。
暗い寝室に響く、少し苦しそうな息遣い。
静かに側に寄って額に手を当てると、思ったよりも熱い事に手がぴくっと反応してしまった。
「・・・・・・ん・・・・・・」
無意識なのか、目を開けるよりも先に忽那くんの熱い手が私の手を掴んだ。
「・・・りょ・・・ぅ・・・さん・・・?」
甘えてるからか、何度か私を下の名前で呼ぶ。
初めて呼ばれた時の甘えて縋る声と彼の表情に嫌な気持ちは湧かず、自然と受け入れていた。
・・・私、絆されすぎじゃないかしら・・・
「ごめん、起こした・・・ちょ、スーツのままで寝たの?」
布団から腕を出した忽那くんはワイシャツのままだった。
「・・・・・・あ・・・めんどくさくて・・・そのまま・・・」
ぼんやりした受け答えが返ってくる。
それに、
「・・・あつい・・・着替える・・・」
「ちょっ、ちょっと待ってっ」
私の制止はスルーされ、起き上がった忽那くんはワイシャツを脱ぎ、器用にスラックスも脱いで、ベッドの外に投げ捨てた。
「・・・さむ・・・身体、汗かいた」
「でしょうね!熱が出て汗かいてるのに、一気に脱いだら寒いわよ!いくら真夏といえども!もう・・・汗気持ち悪いならタオル持ってきてあげるから、布団に入ってて。」
・・・落ち着きなさい、私。
あれはただ、熱があるだけの忽那くん。
いちいち動揺するな。
「綾さぁん」
「!!!」
心臓!私の心臓が跳ね散らかす程飛び跳ねて一瞬で呼吸が乱れた。
布団に潜ってて、と言ったのに追いかけて来た忽那くんが、ドアに寄りかかりながら私を呼ぶ。
「・・・・・・身体、拭いて・・・・・・?」
~~~!!
あ~~まぁ~~~え~~~る~~~なぁぁぁッこっちの気持ちも知らないで!!
やめろっその!キュルるん、みたいな目!!
「拭いてくんないなら、シャワー浴びる・・・」
「待って!!下着を脱ごうとするな!!」
ワイシャツもスラックスも脱ぎ捨てて身に着けているのは下着だけ。
先日ホテルで見たばかりの身体、いや、やましいことはしていない、していないけど、こうも明るい電気の下、下着のみの忽那くんを凝視するのはちょっと・・・!
「じゃあ・・・はい。」
・・・・・・・・・は??
忽那くんは立ったまま、私に向かって両手を広げてみせた。
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