徒然なる恋の話

焔 はる

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一夜【 淡き光 】

1-1~said by 椎梛 ~

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「なんでお前ってそんなに可愛げないわけ?寂しいとか会いたいとか、一言も言えないんだな。物分り良すぎてつまんねぇ。」



付き合って1年が経とうという日に、どうやら私はフラれたようだ。



仕事帰りに待ち合わせをして、食事をする為にレストランへと向かうネオンの下、5歳上の彼が、私の誕生日に出張が入り、前々から予定を立てていた旅行へは行けなくなったと話し始めた。



そっか、仕方ないね。



その言葉に不満を抱いたのは彼だった。



「なぜもっと我儘を言わないんだ」だの「お前はクールすぎるもっと笑え」だの、挙げ句、俺はもっと可愛らしい服装が好きだと言い始めた。



そして、言いたいだけ言い終えると、「じゃあな」と言って背を向けた。



一人取り残された私は、さてどうしたものか。



こんな風に男と別れるのは初めてではなかった。



大体皆、同じようなことを言い、去ってゆく。



彼らは、私を通りすぎた彼らは、私に何を求めていたのだろうか。



そして私は、彼らに何を求めていたのだろうか。



共に過ごした時間があっても今心には何も残らず、ひとりになっても心にはひとつのさざ波すら立ってはいなかった。



まるで、最初からヒトリだったかのように。



幾度肌を重ねた夜も、その温もりが私の深部へと刻まれることはなかったのだ。



「秋の風・・・」



夏の終わりを含んだ肌を撫でる風。



まるでそれに似ていた。



楽しそうな顔、疲れた顔、人混みに紛れ、私は家路についた。



1年という時間、一緒にいた人を失っても、麻痺したように何も感じない心を引きずって。



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