徒然なる恋の話

焔 はる

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四夜【藍の深淵】

4-4

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「・・・うん、行く・・・。」

「明日仕事は?」

「休み。」

「椎娜の家寄るから、必要なもの持っておいで」

「・・・なんか・・・慣れてる」

「え!なにが・・・??」

「・・・」

「・・・言っておくけど、家に女の子が来た事はないし、この車は最近買い換えたから助手席は椎娜しか乗ってないよ。・・・なに、その、めちゃくちゃ意外って顔」

桜太はそう言って笑う。

だって、めちゃくちゃ意外だったから。

「正直・・・」

「うん・・・?」

「結構遊んでると思ってた」

苦笑いとも、笑っているだけともとれる顔で桜太は否定も肯定もせず、少し言葉を選びながら話し始めた。

「遊んでるっていう基準だけど・・・彼女はいたけど、ここ1年位は特定の彼女っていう存在を作らなくなってたりもした。それが、いわゆるセフレみたいな・・・。」

・・・ズキン・・・

明確な言葉を改めて聞くと、少し胸が痛くなり、痛みによって、桜太を好きな自分が確かにいると自覚をした。

「家に入れないのは、付き合っているうちに<特別>とか<この先も一緒にいたい>って存在から離れていくから。・・・居座られたらめんどくさいし、生活空間に入られるのが嫌だったから、かな・・・」

「桜太は気にしないで私の家に来てたのに」

「それ言われるとなぁ・・・そうなんだけど」

バツが悪そうに笑う。

「・・・ずっと、椎娜だけは特別だった。都合がいい話だけど、見守りたいっていうのと、誰にも渡したくないっていうせめぎ合いがあった。」

・・・バレるとカッコわる・・・と笑う。

「だから、家も車も、椎娜が初めて。さっき、必要なものとっておいでよって言ったのも、このまま俺の家に行ったらメイク落としとかもないし、部屋着とか着慣れたものを持っておいでっていう意味。あ・・・でも、俺のを着てるのもいいな・・・。椎娜が聞きたかった答えかはわからないけど、モヤモヤ消えた・・・?」

「・・・消えた。」

よかった、と桜太は笑う。

誤魔化さないで教えてくれる。

ショックかどうか、というよりも、私にも桜太じゃない人と過ごした過去じかんがあって、桜太にもそれはあることで、聞きたくないだろうとか隠されるより、教えてくれたことが嬉しかった。


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