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五夜【甘い戯れと赦し】
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2人でいる。
2人でいるのに、一方通行、その寂しさに心はどんどん冷えていって、そんな自分を知らない自分が見下ろす感覚。
馬鹿みたい、滑稽だね、本物を探しながら、偽物に縋って、諦めが悪くて滑稽だね。
薄ら笑いを浮かべて、冷たく寒い海の底に沈めようとするあの頃の自分がいつもどこかにいた。
重ねた身体と、心を切り離すのが癖になり、抱かれていても『無心』に近い冷えた感覚。
・・・あぁ・・・また違った。
それは私の勝手な都合で、相手にも申し訳ない事。
理由も告げずに別れを告げれば、プライドを傷付けられた男は罵って、怒りをぶつけその身を返す。
切れた関係にあるのは虚しさと、もう続けなくていい安堵感だった。
それがあの日、初めて、ソレに意味が生まれて、温もりを感じて、離れた心が身体を見下ろす感覚ではなくて、身体に心を置いたまま、私を見下ろす淡いブルーを見上げた。
頬を伝って落ちた涙が波紋を広げる。
重く重く固いしこりとなって傷む記憶が、少しずつ軽くなってゆく。
「・・・身体を重ねても、寂しくない、って・・・初めて、思えた・・・」
「うん・・・」
「・・・桜太と、いたいから、大切にしてみよう、って・・・」
「っ・・・」
伝う涙が溢れる。
いくつもいくつも波紋は広がり、私を腕に閉じ込めた桜太の動きで、大きく水面は揺らぐ。
誰かに愛される事ばかり探して欲しがって、傷を癒してくれる誰かを探して、本当に欲しかった答えはいつも近くにあったことにも気付かずにどれだけ遠回りしたんだろう。
・・・でも、今、ここにある温もり、生きる存在、それだけは確かで・・・。
桜太の腕に抱かれて再び瞳が交われば、どちらともなく重なる唇。
触れるだけのキスは角度を変え、上唇を啄み、下唇を食んで、少し開いた隙間から捩じ込まれた熱い舌に捕まった。
2人でいるのに、一方通行、その寂しさに心はどんどん冷えていって、そんな自分を知らない自分が見下ろす感覚。
馬鹿みたい、滑稽だね、本物を探しながら、偽物に縋って、諦めが悪くて滑稽だね。
薄ら笑いを浮かべて、冷たく寒い海の底に沈めようとするあの頃の自分がいつもどこかにいた。
重ねた身体と、心を切り離すのが癖になり、抱かれていても『無心』に近い冷えた感覚。
・・・あぁ・・・また違った。
それは私の勝手な都合で、相手にも申し訳ない事。
理由も告げずに別れを告げれば、プライドを傷付けられた男は罵って、怒りをぶつけその身を返す。
切れた関係にあるのは虚しさと、もう続けなくていい安堵感だった。
それがあの日、初めて、ソレに意味が生まれて、温もりを感じて、離れた心が身体を見下ろす感覚ではなくて、身体に心を置いたまま、私を見下ろす淡いブルーを見上げた。
頬を伝って落ちた涙が波紋を広げる。
重く重く固いしこりとなって傷む記憶が、少しずつ軽くなってゆく。
「・・・身体を重ねても、寂しくない、って・・・初めて、思えた・・・」
「うん・・・」
「・・・桜太と、いたいから、大切にしてみよう、って・・・」
「っ・・・」
伝う涙が溢れる。
いくつもいくつも波紋は広がり、私を腕に閉じ込めた桜太の動きで、大きく水面は揺らぐ。
誰かに愛される事ばかり探して欲しがって、傷を癒してくれる誰かを探して、本当に欲しかった答えはいつも近くにあったことにも気付かずにどれだけ遠回りしたんだろう。
・・・でも、今、ここにある温もり、生きる存在、それだけは確かで・・・。
桜太の腕に抱かれて再び瞳が交われば、どちらともなく重なる唇。
触れるだけのキスは角度を変え、上唇を啄み、下唇を食んで、少し開いた隙間から捩じ込まれた熱い舌に捕まった。
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