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第一章
その二
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もしも三日後、行にこの場所まで送ってくれた親切な船長が気まぐれでやってこなかったら、自分達はどうなるのだろう。
鬼月島は完全な無人島だと時夜が言っていた。
だからこそ、奇怪な屋敷があるという噂があるのが不思議なわけであり、屋敷が本当に存在するのか、存在するなら持ち主は誰なのか。
そこには本当に化け物が棲んでいるのかと、マニアックなホラーサイト上で白熱した議論がなされている。
と言っても、晋は実際に鬼月島の書き込みについて見たことはない。
そもそも、興味もない。
このメンバーの中でそんなくだらないことに興味があるのは、ミステリー研究部に所属している時夜ぐらいだ。
女子陣は長い夏休みにちょっと変わった素敵な思い出を添えたいと旅行に参戦したに過ぎないし、自分と圭吾は時夜と仲がいいから一緒に島にやってきただけだ。
和樹だけは何故参加しているのかよくわからない。
薀蓄家であるものの、べつにミステリーやホラーマニアだというわけではないし、自分達と仲がいいわけでもない。
もしかして、美沙が目的なのだろうか。十分にあり得る。
「ほんとに秘島ってカンジでステキだね。時夜くん、ナイス計画だよ」
「サンキュー。美沙ちゃんが喜んでくれて嬉しいぜ」
「この島なら、本当に何か不思議に出くわしそうよね。この森、すでに雰囲気があるわね。まるで緑の迷宮って感じじゃないかしら」
朱里の意見に美沙が大袈裟に頷いて見せる。
「言えてるね。けものみちから少し外れたら、もう戻ってこれなさそう」
不安げな顔をする美沙に、何故か和樹が得意げな顔で言う。
「さながら青木ヶ原樹海みたいだね」
「もう、青木ヶ原樹海なんて、やだぁ。和樹くんったら怖いこと言わないでよ」
「ジョークさ。でも、自殺者の魂の一つや二つ、出くわすかもしれないね」
「やだやだ。トリハダたってきちゃった。アタシ、ホラーはけっこう好きだけど怖いの。お化けとか本当に見たら気絶しちゃう。でてこないで欲しいな」
「何を言っているのよ、美沙。私たちはここに奇妙な館とそこに住む怪物の存在を確かめにきたのよ。何か出てくれなくちゃ来た甲斐がないわよ」
「それはそうだけど、怖いものは怖いもん」
「大丈夫さ、美沙さん。ボクが退治してみせるさ」
めいっぱい和樹がかっこをつけるが、晋には寒々しく見えた。
大口を叩いているが、怪物が出た時にこの中で最も役に立たなさそうなのは女子を除けば和樹だ。
自分と時夜と圭吾はそろって運動神経抜群で体も鍛えているが、和樹は背ばかりひょろりと高いだけで筋肉などついていない。ケンカだってしたことがないのではないだろうか。
「はっ、退治するねぇ。一条、見るからにインテリのオマエにできんのかよ。ぜってームリだな。火を見るよりも明らかだぜ。オレには怪物が出た時にオマエがまっさきに逃げ出したけど、いちばん足が遅いから最初の犠牲者になるってシナリオが浮かぶぜ」
時夜も自分と同じことを考えていたようだ。和樹の言葉を鼻で笑いながら一蹴する。和樹が垂れ下がった眦を吊り上げた。
「なんだと?時夜くん、失敬だなキミは。ボクはこう見えても、スポーツもそれなりにできるのさ。そういうキミこそ、いつもぼんやりヘラヘラした顔をして、運動なんてできるのか甚だ疑問だね」
「オレは運動神経抜群だっつーの。それにオマエみてーにヘロヘロもやし体系じゃねーだろ。背ばっか高いオマエとは違うんだよ。なんならかかってくるか?」
灰色の目を珍しくぎらつかせて、時夜が和樹を見る。いつものらりくらりとしている時夜らしくない。
好戦的な目をする時夜の柔らかな灰色の癖毛に、晋はチョップをいれた。
「相手にするなよ、時夜。お前の方が強いのは誰の目から見てもあきらかだ。面倒くさいから喧嘩なんざするなよ。ガキじゃあるまいし」
「先にケンカ売ったのは一条だっての」
「いや、今回はお前だ。謝る必要はないけど、それ以上相手にするなよ」
「ヘイヘイ。晋は意外とおふくろタイプだよなー」
「誰がお袋タイプだ、馬鹿が。お前がガキ過ぎるんだよ、時夜」
「そうだよ、時夜くん。時夜くんは黙ってキリっとした顔してればイケてるんだから、あんまり子供みたい拗ねていちゃもったいないよ」
まさに鶴の一声といったところで、美沙の誉め言葉に時夜はさっきまでの和樹への敵意をすっかり忘れてしまったようだ。
しまりのない笑みを浮かべて、美沙や朱里とこの島で起こりそうなオカルトチックな現象についてのトークを始めた。
圭吾もそれに相槌を打つというかたちで加わる。
「森もすでにゲームのダンジョンにでてきそうな迷いの森ってかんじだけど、この島にはさらに不思議な迷宮があるんでしょ、時夜くん」
「そうだぜ。無人島であるはずのこの鬼月島には、迷宮があって、こわーい化け物が現れるって噂だぜ。なんでも、真っ白の蓬髪に二本の角が生えた鬼が出るそうだ。オカルトサイトではちょっと話題になってるんだぜ」
「鬼がでるなんてこわーい。あ、もしかして名前は鬼がでるから鬼月島なのかな?アタシ、鬼月島の怖い話なんて初めて知ったよ。朱里は?」
「私も知らなかったわ。さすがミステリー研究部よね」
「ねー」
「椿木は、興味のないことは全然知らないけど、興味を持ったことに対しては嗅覚が鋭いし、よく知っているからな」
女子たちや圭吾が時夜を褒める。すっかり話から置いてけぼりになってしまった和樹は面白くなさそうに眉間に小さく皺を寄せた。
「ふん。物知りならボクの方が上さ。高校で蘊蓄王と言われていたボクが、みんながお気に召すようなオカルト話をしてあげよう」
空気が読めずに頓珍漢な方向に話を持って行きながらも、和樹も楽しい雰囲気にまざろうと無理やり四人の会話に参加していた。
和樹のせいで話題が時折迷子になりながらも、どんな不思議事に出くわすだろうかとみんな盛り上がっている。
楽しそうな面々に反して、晋は会話に参加せずに一人黙々と歩いていた。言い知れぬ凶兆を感じて眉を顰める。
唯一、自分と同じような表情を浮かべているのは八重子だけだ。彼女は陰鬱とすら思える表情で立ち止まり、ぐるりと島を見回している。その目はどこか虚ろだ。
「島にある迷宮に化け物。まるでクレタ島のミノタウロスの伝説みたい……」
八重子が小さく呟く。芝居じみた台詞に、晋はシンクロめいたものを感じた。
「ミノタウロスって、あのギリシャ神話のか?」
「うん。月島君は物知りなのね」
八重子が晋を褒めると、和樹が面白くなさそうな顔をする。
こいつは美沙や朱里など華やかな女子からのウケを狙っていたのではなかったのか。貪欲に主役の座を欲する和樹に思わず呆れてしまう。
しかし、鈍い和樹は呆れられていることに気付かずにお得意の薀蓄を披露しはじめる。
「晋くんが特別なわけじゃない。ミノタウロスはけっこう有名な話だよ。そのくらいボクだって知っているさ。クレタ王の妃であるパシファエが白い雄牛と交尾して産まれた、頭が牛で身体が人間の化け物だろう」
「そう。凶暴で手に負えない乱暴な怪物。九年ごとにミノタウロスの食料として七人の少年少女が送られたの。今の私達と同じ数だね……」
何故、そんな不吉なことを言い出すのだろう。自分の存在を無視している他のメンバーへの意向返しなのだろうか。
晋は八重子の意図を図ろうと虚ろな目の横顔に視線を遣る。
八重子のつぶらな黒目がちの瞳がじっと晋を見詰めた。真っ黒な瞳をずっと覗き込んでいると闇に吸い込まれる気がしてきて、思わず目を逸らす。
「別に化け物も幽霊もいやしねぇよ、こんな島。いるのは虫だけだ」
晋は自分に言い聞かせるように吐き捨てると、暗闇のような瞳から逃げるように八重子を抜いて、ずんずんと森を進む。
背中に彼女の暗い視線が突き刺さっているような気がして、酷く居心地が悪かった。
鬼月島は完全な無人島だと時夜が言っていた。
だからこそ、奇怪な屋敷があるという噂があるのが不思議なわけであり、屋敷が本当に存在するのか、存在するなら持ち主は誰なのか。
そこには本当に化け物が棲んでいるのかと、マニアックなホラーサイト上で白熱した議論がなされている。
と言っても、晋は実際に鬼月島の書き込みについて見たことはない。
そもそも、興味もない。
このメンバーの中でそんなくだらないことに興味があるのは、ミステリー研究部に所属している時夜ぐらいだ。
女子陣は長い夏休みにちょっと変わった素敵な思い出を添えたいと旅行に参戦したに過ぎないし、自分と圭吾は時夜と仲がいいから一緒に島にやってきただけだ。
和樹だけは何故参加しているのかよくわからない。
薀蓄家であるものの、べつにミステリーやホラーマニアだというわけではないし、自分達と仲がいいわけでもない。
もしかして、美沙が目的なのだろうか。十分にあり得る。
「ほんとに秘島ってカンジでステキだね。時夜くん、ナイス計画だよ」
「サンキュー。美沙ちゃんが喜んでくれて嬉しいぜ」
「この島なら、本当に何か不思議に出くわしそうよね。この森、すでに雰囲気があるわね。まるで緑の迷宮って感じじゃないかしら」
朱里の意見に美沙が大袈裟に頷いて見せる。
「言えてるね。けものみちから少し外れたら、もう戻ってこれなさそう」
不安げな顔をする美沙に、何故か和樹が得意げな顔で言う。
「さながら青木ヶ原樹海みたいだね」
「もう、青木ヶ原樹海なんて、やだぁ。和樹くんったら怖いこと言わないでよ」
「ジョークさ。でも、自殺者の魂の一つや二つ、出くわすかもしれないね」
「やだやだ。トリハダたってきちゃった。アタシ、ホラーはけっこう好きだけど怖いの。お化けとか本当に見たら気絶しちゃう。でてこないで欲しいな」
「何を言っているのよ、美沙。私たちはここに奇妙な館とそこに住む怪物の存在を確かめにきたのよ。何か出てくれなくちゃ来た甲斐がないわよ」
「それはそうだけど、怖いものは怖いもん」
「大丈夫さ、美沙さん。ボクが退治してみせるさ」
めいっぱい和樹がかっこをつけるが、晋には寒々しく見えた。
大口を叩いているが、怪物が出た時にこの中で最も役に立たなさそうなのは女子を除けば和樹だ。
自分と時夜と圭吾はそろって運動神経抜群で体も鍛えているが、和樹は背ばかりひょろりと高いだけで筋肉などついていない。ケンカだってしたことがないのではないだろうか。
「はっ、退治するねぇ。一条、見るからにインテリのオマエにできんのかよ。ぜってームリだな。火を見るよりも明らかだぜ。オレには怪物が出た時にオマエがまっさきに逃げ出したけど、いちばん足が遅いから最初の犠牲者になるってシナリオが浮かぶぜ」
時夜も自分と同じことを考えていたようだ。和樹の言葉を鼻で笑いながら一蹴する。和樹が垂れ下がった眦を吊り上げた。
「なんだと?時夜くん、失敬だなキミは。ボクはこう見えても、スポーツもそれなりにできるのさ。そういうキミこそ、いつもぼんやりヘラヘラした顔をして、運動なんてできるのか甚だ疑問だね」
「オレは運動神経抜群だっつーの。それにオマエみてーにヘロヘロもやし体系じゃねーだろ。背ばっか高いオマエとは違うんだよ。なんならかかってくるか?」
灰色の目を珍しくぎらつかせて、時夜が和樹を見る。いつものらりくらりとしている時夜らしくない。
好戦的な目をする時夜の柔らかな灰色の癖毛に、晋はチョップをいれた。
「相手にするなよ、時夜。お前の方が強いのは誰の目から見てもあきらかだ。面倒くさいから喧嘩なんざするなよ。ガキじゃあるまいし」
「先にケンカ売ったのは一条だっての」
「いや、今回はお前だ。謝る必要はないけど、それ以上相手にするなよ」
「ヘイヘイ。晋は意外とおふくろタイプだよなー」
「誰がお袋タイプだ、馬鹿が。お前がガキ過ぎるんだよ、時夜」
「そうだよ、時夜くん。時夜くんは黙ってキリっとした顔してればイケてるんだから、あんまり子供みたい拗ねていちゃもったいないよ」
まさに鶴の一声といったところで、美沙の誉め言葉に時夜はさっきまでの和樹への敵意をすっかり忘れてしまったようだ。
しまりのない笑みを浮かべて、美沙や朱里とこの島で起こりそうなオカルトチックな現象についてのトークを始めた。
圭吾もそれに相槌を打つというかたちで加わる。
「森もすでにゲームのダンジョンにでてきそうな迷いの森ってかんじだけど、この島にはさらに不思議な迷宮があるんでしょ、時夜くん」
「そうだぜ。無人島であるはずのこの鬼月島には、迷宮があって、こわーい化け物が現れるって噂だぜ。なんでも、真っ白の蓬髪に二本の角が生えた鬼が出るそうだ。オカルトサイトではちょっと話題になってるんだぜ」
「鬼がでるなんてこわーい。あ、もしかして名前は鬼がでるから鬼月島なのかな?アタシ、鬼月島の怖い話なんて初めて知ったよ。朱里は?」
「私も知らなかったわ。さすがミステリー研究部よね」
「ねー」
「椿木は、興味のないことは全然知らないけど、興味を持ったことに対しては嗅覚が鋭いし、よく知っているからな」
女子たちや圭吾が時夜を褒める。すっかり話から置いてけぼりになってしまった和樹は面白くなさそうに眉間に小さく皺を寄せた。
「ふん。物知りならボクの方が上さ。高校で蘊蓄王と言われていたボクが、みんながお気に召すようなオカルト話をしてあげよう」
空気が読めずに頓珍漢な方向に話を持って行きながらも、和樹も楽しい雰囲気にまざろうと無理やり四人の会話に参加していた。
和樹のせいで話題が時折迷子になりながらも、どんな不思議事に出くわすだろうかとみんな盛り上がっている。
楽しそうな面々に反して、晋は会話に参加せずに一人黙々と歩いていた。言い知れぬ凶兆を感じて眉を顰める。
唯一、自分と同じような表情を浮かべているのは八重子だけだ。彼女は陰鬱とすら思える表情で立ち止まり、ぐるりと島を見回している。その目はどこか虚ろだ。
「島にある迷宮に化け物。まるでクレタ島のミノタウロスの伝説みたい……」
八重子が小さく呟く。芝居じみた台詞に、晋はシンクロめいたものを感じた。
「ミノタウロスって、あのギリシャ神話のか?」
「うん。月島君は物知りなのね」
八重子が晋を褒めると、和樹が面白くなさそうな顔をする。
こいつは美沙や朱里など華やかな女子からのウケを狙っていたのではなかったのか。貪欲に主役の座を欲する和樹に思わず呆れてしまう。
しかし、鈍い和樹は呆れられていることに気付かずにお得意の薀蓄を披露しはじめる。
「晋くんが特別なわけじゃない。ミノタウロスはけっこう有名な話だよ。そのくらいボクだって知っているさ。クレタ王の妃であるパシファエが白い雄牛と交尾して産まれた、頭が牛で身体が人間の化け物だろう」
「そう。凶暴で手に負えない乱暴な怪物。九年ごとにミノタウロスの食料として七人の少年少女が送られたの。今の私達と同じ数だね……」
何故、そんな不吉なことを言い出すのだろう。自分の存在を無視している他のメンバーへの意向返しなのだろうか。
晋は八重子の意図を図ろうと虚ろな目の横顔に視線を遣る。
八重子のつぶらな黒目がちの瞳がじっと晋を見詰めた。真っ黒な瞳をずっと覗き込んでいると闇に吸い込まれる気がしてきて、思わず目を逸らす。
「別に化け物も幽霊もいやしねぇよ、こんな島。いるのは虫だけだ」
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