14 / 70
第二章 真夏の再会
過去夢
しおりを挟む
夢魔は倒したはずだ。それなのにどうしてこんな夢を見るのだろう。
澄んだ真っ青な川を眼前に、翡翠色の木々に囲まれて光季は佇んでいた。
どこかで見たことがある場所のような気がするけれど、思い出せない。
姉の美咲が名前を呼んでいるのが聞こえる。
近くて遠い声。
薄い膜を通して聞こえてくるようだった。
顔を上げると、川の向こうで美咲が手をふっていた。
ふと、彼岸という言葉が過る。
嫌な予感がしながらも、光季は川の中に入った。
静かな水面と反する、うねるような流れに足をとられて前に進めない。
モタモタしているうちに、美咲の姿が消えた。
「こっちよ、光季」
今度はすぐ下から声が聞こえた。
不思議に思いながら川の中に視線を落とすと、長い亜麻色の髪を漂わせて、川底から美咲がこちらを見上げていた。
蒼白い顔に虚ろな目。まるで死人だ。
恐ろしいのに目が離せない。
美咲の手がゆっくりと伸びてくる。石像のように冷たくて固い手が足首を掴んだ。
刹那、奈落のような暗い水底に沈んでいく。
光の届かない夜の世界。明るかったはずなのに、いつのまにか薄闇色の帳が降りていた。
水の中から見上げた空には蛍が飛んでいた。
濃紺に塗られた空と影の森を、目映い光がふわりふわりと不規則に行交う。
眼下には底なしの闇と、朽ちかけた美咲の姿があった。
酸素の供給を断たれて腐敗した体。バクテリアに犯され黒ずんだ皮膚。髪が抜け、目玉が落ちかけた恐ろしい顔。健康的な美人だった美咲の面影はない。
「アタシを殺したのは、アンタよ。光季」
澄んだ真っ青な川を眼前に、翡翠色の木々に囲まれて光季は佇んでいた。
どこかで見たことがある場所のような気がするけれど、思い出せない。
姉の美咲が名前を呼んでいるのが聞こえる。
近くて遠い声。
薄い膜を通して聞こえてくるようだった。
顔を上げると、川の向こうで美咲が手をふっていた。
ふと、彼岸という言葉が過る。
嫌な予感がしながらも、光季は川の中に入った。
静かな水面と反する、うねるような流れに足をとられて前に進めない。
モタモタしているうちに、美咲の姿が消えた。
「こっちよ、光季」
今度はすぐ下から声が聞こえた。
不思議に思いながら川の中に視線を落とすと、長い亜麻色の髪を漂わせて、川底から美咲がこちらを見上げていた。
蒼白い顔に虚ろな目。まるで死人だ。
恐ろしいのに目が離せない。
美咲の手がゆっくりと伸びてくる。石像のように冷たくて固い手が足首を掴んだ。
刹那、奈落のような暗い水底に沈んでいく。
光の届かない夜の世界。明るかったはずなのに、いつのまにか薄闇色の帳が降りていた。
水の中から見上げた空には蛍が飛んでいた。
濃紺に塗られた空と影の森を、目映い光がふわりふわりと不規則に行交う。
眼下には底なしの闇と、朽ちかけた美咲の姿があった。
酸素の供給を断たれて腐敗した体。バクテリアに犯され黒ずんだ皮膚。髪が抜け、目玉が落ちかけた恐ろしい顔。健康的な美人だった美咲の面影はない。
「アタシを殺したのは、アンタよ。光季」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる