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第五章 音無の村
神隠しの村①
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会議室に今回の特別任務に参加する隊員が集まった。
狭霧が任務の内容を告げる。
「今朝、音無村の村長から電話で調査の依頼があった」
調査するのは近郷で立て続けに起きている集団神隠しの事件だ。
舞台は六堂市の隣の鳴沢村を越えた山間の集落の音無村。
初めに事件が起こったのは一カ月程前。
集落に住む子供二人と両親の一家全員が忽然と姿を消したそうだ。
一家は半年前に父がリストラして闇金融に手を出し、借金地獄に陥っていた。
夜逃げだと考えるのが妥当なのだが、どうにも状況が可笑しかったらしい。
何の連絡もなしに子供二人が登校しなかったことを不審に思った教師が警察に通報して失踪が発覚した。
当時、一家の家に踏み込んだ警官はこう語ったそうだ。
「どうにも、妙な様子でした。家に荒れたところはなく、中は不気味なくらいしんとしていました。
茶の間に踏み込むと、食卓には白いご飯とみそ汁、野菜がはいった大きな卵焼きが並んでいたんです。
食事は食べかけで、机には箸が転がっていました。
まるで、さっきまでそこで食事をしていて、そこから人だけを消しゴムで消したみたいでした」
奇妙な出来事ではあったけれども、借金を苦にした蒸発ということで事件はいったん片付いた。
その十日後、二つ目の失踪が起こった。
生徒が両手で数えられるほどしかいない来年廃校になる予定の小さな中学校で、五限目の音楽の授業の最中に全校生徒が音楽教師と共に消えてしまったのだ。
六限目になっても誰も教室に来ないのを不審に思った理科教師が音楽室へ行くと、そこには誰もいなかった。
机にノートや教科書が広げられたままで、シューベルトの魔王が流れていたそうだ。
行方不明になった人は誰ひとり見つかっていない。
初めは警察に頼っていた村長は、これは魔物の仕業ではないかと思い始めた。
その矢先に三つ目の事件が起きた。
農村で働き心を癒す、ゆったりライフというツアーの参加者がいなくなったのだ。
前に起きた失踪事件の続きに違いないと思った村長が、夜鴉に怪事の解決を依頼したというわけだ。
「急で申し訳ないが、今夜バスで音無村に行ってもらう。
期間は五日間、三つ目の事件が起きている保養所に宿泊してもらう。
それぞれの学校にはこちらから欠席を伝えておく。
君達は今からすぐに家に帰って準備をしてくれ。午前十二時に基地から出発する」
任務の説明が終わると、光季はまっすぐ家に帰った。
不謹慎かもしれないが、暫く家に帰らなくてもよい大義名分を得たことが嬉しかった。
家に帰って五日間任務で留守にすると母に伝えると、光季は嬉々として宿泊の準備を始めた。
狭霧が任務の内容を告げる。
「今朝、音無村の村長から電話で調査の依頼があった」
調査するのは近郷で立て続けに起きている集団神隠しの事件だ。
舞台は六堂市の隣の鳴沢村を越えた山間の集落の音無村。
初めに事件が起こったのは一カ月程前。
集落に住む子供二人と両親の一家全員が忽然と姿を消したそうだ。
一家は半年前に父がリストラして闇金融に手を出し、借金地獄に陥っていた。
夜逃げだと考えるのが妥当なのだが、どうにも状況が可笑しかったらしい。
何の連絡もなしに子供二人が登校しなかったことを不審に思った教師が警察に通報して失踪が発覚した。
当時、一家の家に踏み込んだ警官はこう語ったそうだ。
「どうにも、妙な様子でした。家に荒れたところはなく、中は不気味なくらいしんとしていました。
茶の間に踏み込むと、食卓には白いご飯とみそ汁、野菜がはいった大きな卵焼きが並んでいたんです。
食事は食べかけで、机には箸が転がっていました。
まるで、さっきまでそこで食事をしていて、そこから人だけを消しゴムで消したみたいでした」
奇妙な出来事ではあったけれども、借金を苦にした蒸発ということで事件はいったん片付いた。
その十日後、二つ目の失踪が起こった。
生徒が両手で数えられるほどしかいない来年廃校になる予定の小さな中学校で、五限目の音楽の授業の最中に全校生徒が音楽教師と共に消えてしまったのだ。
六限目になっても誰も教室に来ないのを不審に思った理科教師が音楽室へ行くと、そこには誰もいなかった。
机にノートや教科書が広げられたままで、シューベルトの魔王が流れていたそうだ。
行方不明になった人は誰ひとり見つかっていない。
初めは警察に頼っていた村長は、これは魔物の仕業ではないかと思い始めた。
その矢先に三つ目の事件が起きた。
農村で働き心を癒す、ゆったりライフというツアーの参加者がいなくなったのだ。
前に起きた失踪事件の続きに違いないと思った村長が、夜鴉に怪事の解決を依頼したというわけだ。
「急で申し訳ないが、今夜バスで音無村に行ってもらう。
期間は五日間、三つ目の事件が起きている保養所に宿泊してもらう。
それぞれの学校にはこちらから欠席を伝えておく。
君達は今からすぐに家に帰って準備をしてくれ。午前十二時に基地から出発する」
任務の説明が終わると、光季はまっすぐ家に帰った。
不謹慎かもしれないが、暫く家に帰らなくてもよい大義名分を得たことが嬉しかった。
家に帰って五日間任務で留守にすると母に伝えると、光季は嬉々として宿泊の準備を始めた。
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