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第六章 鬼の國
三日目⑤
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「武志さん!」
呻き声を上げて地面に転がる武志を心配しつつ、光季は矢がとんできた方角に光弾を飛ばした。
光弾が吹っ飛ばした高い木の枝から、集会所の地下室にいた白衣の鬼が飛び出す。
弓を射たのは奴のようだ。
遠距離から攻撃されるのは厄介だ。まずは白衣の鬼を撃とうとした。
だが、餓鬼が武志に襲いかかろうとしていることに気付き、咄嗟に照準を餓鬼に変える。
素早く動き回る餓鬼すべてを逃がすことなく仕留める。
警告のブザーが鳴り響いた。武志の霊力が尽きかけているのだ。
姦しく繰り返される音が神経に触る。否応なく、危険を感じてしまう音だ。
武志が力なく立ち上がる。悔しそうな顔は青褪めていた。
無理もない。異界での霊力切れは死亡宣告も同然だ。
攻撃しなければ暫く霊体を保つことができるし、片足でも走り回ることができる。
しかし、このまま逃げ続けてもいずれは追いつかれるだろう。
今の武志には反撃する術がない。
せめて彼が接近戦にも長けていたなら霊力を消費せずに反撃もできただろうが、彼は銃しか使えない。
虎徹が武志を振り返る。その瞳は冷酷さを帯びていた。
感情の欠けた声で虎徹が告げる。
「武志を置いて俺たちだけ確実に逃げのびるか、全滅覚悟で武志を連れて逃げるか。選択肢は二つだが、さて、どうする?」
虎徹の声のトーンでわかった。彼は武志を置いていこうとしている。
クレバーな選択をするならば、全員で仲良くあの世に行くより、武志を見捨てて逃げるべきなのだろう。それぐらい危機的な状況に陥っているのだ。
自分達は兵士だ。非情な決断が必要な時もある。
それでも、万に一つの可能性があるのなら。
光季は強く拳を握った。
覚悟はできた。死ぬかもしれないことへのではない、自らの決断が仲間を殺すことへの覚悟だ。
光季は顔を上げると、虎徹をまっすぐ見て答える。
「そんな選択肢、あってないようなもんじゃん。決まってるでしょ、武志さんも一緒に逃げる。危険でも逃げ切れる可能性があるなら、そうしますよ」
光季の琥珀色の瞳は強い光を放っていた。虎鉄が観念したように肩を竦める。
「わかった。じゃあそうするか。いいだしっぺのオマエと俺で殿を務める。美作は武志を連れて逃げろ。何があってもこっちは気にせずまっすぐ船へいけ」
「それはいくらなんでも、無茶じゃないですか? 如月さんと水瀬先輩がいくら強くても、二人であの人数を捌くなんて不可能だ」
京弥の蔦色の瞳が不安げに光季を見つめる。
そんな顔されると、余計に守ってやりたくなる。
光季はいつもの強気な笑みを浮かべて、京弥の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「不可能なんてねーよ。おれ、天才だから。京弥、武志さんは任せたぜ。先輩命令だ。ぜったいに二人で船まで逃げきれ」
「先輩。あなたは確かに強い、だけど、この状況では―…」
「はやく行け、美作。アニキを死なせたくはないだろう」
冷たく放たれた虎徹の言葉に京弥が息を飲む。
京弥は蹲る武志の肩に腕を回した。
「すみません、先に行きます。かならず帰って来て下さい。待ってますから」
「おう、任せとけ」
京弥が戦線を離脱した。
二人の背中が遠ざかるのを確認すると、光季は虎徹と並んで立った。
揶揄するような虎徹の灰色の目がじろりとこちらを見る。
「モノ好きなヤツだな。俺は暴れたりないと思っていたからいいが、オマエ残ってよかったのか? 下手したら死ぬぞ」
「はっ、冗談でしょ。おれ、やられる気なんてないですから。全員ぶっ飛ばす」
「ふふん、強気だな。好きだぜ、そういうところ。よし、武志を逃がす時間を稼ぐぞ」
鬼の集団が追いついてきた。光季は浮かせた光弾を一斉に放った。
バラバラに描かれた数えきれない光の放物線が、予定調和のようにすべて鬼の肉体に吸い込まれる。
多様な色彩の血が地面を染め、砕けた体がそこら中に散らばった。
まるきり惨劇だ、これではどちらが鬼だかわからない。
いくら倒してもどこからともなく鬼が沸いてくる。うんざりするような状況だというのに、光季は心の何処かで状況を愉しんでいた。
ここは自分達の世界じゃない、周囲が壊れるのを気にせずに思い切り光弾を放てる。
それは甘美なまでに開放的な気分だった。
おれ、やっぱり頭が変なのかな。
ふと、心の片隅で不安を覚えた。
夜鴉として妖怪と命懸けで戦うたびに現実味が薄れ、ゲーム感覚が強くなっている。
死なない為に分泌されている脳内麻薬が、敵を叩きのめすことへの爽快感や全能感にすり替わっている気がする。
ちらりと横目で虎徹を見遣る。彼もまた、嬉々と顔をしている。
根っから命懸けのスリルを愛している男の顔だ。
彼を見ていると、自分が状況を愉しんでいることはそんなに異常じゃないと思えた。
それに、恐怖で縮こまって戦えずに死ぬより、笑って戦って生き残る方がいいに決まっている。
今は凶悪な笑みを浮かべた彼が頼もしい。このまま襲ってくる鬼を二人で殲滅できる気がした。
戦況は光季と虎徹が押していた。だが妖怪化した村人が二人の優位を揺らがせる。
虎徹は鬼だろうが元村人だろうがかまわず切り倒していた。
しかし、光季は元村人を攻撃することができなかった。
「くそっ、下がってろよ。死にたくねーだろ」
光季の声に元村人が答えることはなく、声に反応して襲ってくる始末だ。
その筆頭に北村の姿があった。
「死ねぇ、夜鴉どもめ。殺す、殺してやる」
「おい、北村。人間だったっていう記憶があるのか?おれのこと、覚えてるのか?」
「人間、だとぉ?この、オレサマが、そんな下等な生物なわけ、ないだろっ!死ね、クズどもがぁっ、ひゃははっはぁぁっっ!」
北村に人間だった頃の記憶はないようだ。ただ、夜鴉に対する憎悪だけが強く残っているようで、他の連中よりも、下手すると鬼よりもずっと獰猛だった。
耳まで裂けた口を開き、北村が光季の脇腹に喰らいつく。
「うぐぁっ、つっ……くっ」
長く鋭い牙が無防備な細い腹に食い込む。内臓ごと引き千切られてしまいそうだ。
霊体の状態ならば内臓が飛び出るほどの怪我を負っても死なないが、ダメージが嵩めば換装が解けてしまう。肉体に戻れば、死は必至だ。
やらなければやられる。頭で理解していても、体が攻撃することを拒絶していた。
妖怪は気にせずに撃てるのに、人間はどうしても撃てない。
「何をやっている、死にたいのか?」
虎徹が責めるように言いながら、北村の首を刎ねた。断末魔が辺りに響く。
赤い血飛沫を上げて北村の首が地面に転がった。
頭を失った胴体が痙攣しながら血の海で激しくもんどり打ち、やがて糸が切れたようにぴたりと動きを止めた。
呻き声を上げて地面に転がる武志を心配しつつ、光季は矢がとんできた方角に光弾を飛ばした。
光弾が吹っ飛ばした高い木の枝から、集会所の地下室にいた白衣の鬼が飛び出す。
弓を射たのは奴のようだ。
遠距離から攻撃されるのは厄介だ。まずは白衣の鬼を撃とうとした。
だが、餓鬼が武志に襲いかかろうとしていることに気付き、咄嗟に照準を餓鬼に変える。
素早く動き回る餓鬼すべてを逃がすことなく仕留める。
警告のブザーが鳴り響いた。武志の霊力が尽きかけているのだ。
姦しく繰り返される音が神経に触る。否応なく、危険を感じてしまう音だ。
武志が力なく立ち上がる。悔しそうな顔は青褪めていた。
無理もない。異界での霊力切れは死亡宣告も同然だ。
攻撃しなければ暫く霊体を保つことができるし、片足でも走り回ることができる。
しかし、このまま逃げ続けてもいずれは追いつかれるだろう。
今の武志には反撃する術がない。
せめて彼が接近戦にも長けていたなら霊力を消費せずに反撃もできただろうが、彼は銃しか使えない。
虎徹が武志を振り返る。その瞳は冷酷さを帯びていた。
感情の欠けた声で虎徹が告げる。
「武志を置いて俺たちだけ確実に逃げのびるか、全滅覚悟で武志を連れて逃げるか。選択肢は二つだが、さて、どうする?」
虎徹の声のトーンでわかった。彼は武志を置いていこうとしている。
クレバーな選択をするならば、全員で仲良くあの世に行くより、武志を見捨てて逃げるべきなのだろう。それぐらい危機的な状況に陥っているのだ。
自分達は兵士だ。非情な決断が必要な時もある。
それでも、万に一つの可能性があるのなら。
光季は強く拳を握った。
覚悟はできた。死ぬかもしれないことへのではない、自らの決断が仲間を殺すことへの覚悟だ。
光季は顔を上げると、虎徹をまっすぐ見て答える。
「そんな選択肢、あってないようなもんじゃん。決まってるでしょ、武志さんも一緒に逃げる。危険でも逃げ切れる可能性があるなら、そうしますよ」
光季の琥珀色の瞳は強い光を放っていた。虎鉄が観念したように肩を竦める。
「わかった。じゃあそうするか。いいだしっぺのオマエと俺で殿を務める。美作は武志を連れて逃げろ。何があってもこっちは気にせずまっすぐ船へいけ」
「それはいくらなんでも、無茶じゃないですか? 如月さんと水瀬先輩がいくら強くても、二人であの人数を捌くなんて不可能だ」
京弥の蔦色の瞳が不安げに光季を見つめる。
そんな顔されると、余計に守ってやりたくなる。
光季はいつもの強気な笑みを浮かべて、京弥の頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
「不可能なんてねーよ。おれ、天才だから。京弥、武志さんは任せたぜ。先輩命令だ。ぜったいに二人で船まで逃げきれ」
「先輩。あなたは確かに強い、だけど、この状況では―…」
「はやく行け、美作。アニキを死なせたくはないだろう」
冷たく放たれた虎徹の言葉に京弥が息を飲む。
京弥は蹲る武志の肩に腕を回した。
「すみません、先に行きます。かならず帰って来て下さい。待ってますから」
「おう、任せとけ」
京弥が戦線を離脱した。
二人の背中が遠ざかるのを確認すると、光季は虎徹と並んで立った。
揶揄するような虎徹の灰色の目がじろりとこちらを見る。
「モノ好きなヤツだな。俺は暴れたりないと思っていたからいいが、オマエ残ってよかったのか? 下手したら死ぬぞ」
「はっ、冗談でしょ。おれ、やられる気なんてないですから。全員ぶっ飛ばす」
「ふふん、強気だな。好きだぜ、そういうところ。よし、武志を逃がす時間を稼ぐぞ」
鬼の集団が追いついてきた。光季は浮かせた光弾を一斉に放った。
バラバラに描かれた数えきれない光の放物線が、予定調和のようにすべて鬼の肉体に吸い込まれる。
多様な色彩の血が地面を染め、砕けた体がそこら中に散らばった。
まるきり惨劇だ、これではどちらが鬼だかわからない。
いくら倒してもどこからともなく鬼が沸いてくる。うんざりするような状況だというのに、光季は心の何処かで状況を愉しんでいた。
ここは自分達の世界じゃない、周囲が壊れるのを気にせずに思い切り光弾を放てる。
それは甘美なまでに開放的な気分だった。
おれ、やっぱり頭が変なのかな。
ふと、心の片隅で不安を覚えた。
夜鴉として妖怪と命懸けで戦うたびに現実味が薄れ、ゲーム感覚が強くなっている。
死なない為に分泌されている脳内麻薬が、敵を叩きのめすことへの爽快感や全能感にすり替わっている気がする。
ちらりと横目で虎徹を見遣る。彼もまた、嬉々と顔をしている。
根っから命懸けのスリルを愛している男の顔だ。
彼を見ていると、自分が状況を愉しんでいることはそんなに異常じゃないと思えた。
それに、恐怖で縮こまって戦えずに死ぬより、笑って戦って生き残る方がいいに決まっている。
今は凶悪な笑みを浮かべた彼が頼もしい。このまま襲ってくる鬼を二人で殲滅できる気がした。
戦況は光季と虎徹が押していた。だが妖怪化した村人が二人の優位を揺らがせる。
虎徹は鬼だろうが元村人だろうがかまわず切り倒していた。
しかし、光季は元村人を攻撃することができなかった。
「くそっ、下がってろよ。死にたくねーだろ」
光季の声に元村人が答えることはなく、声に反応して襲ってくる始末だ。
その筆頭に北村の姿があった。
「死ねぇ、夜鴉どもめ。殺す、殺してやる」
「おい、北村。人間だったっていう記憶があるのか?おれのこと、覚えてるのか?」
「人間、だとぉ?この、オレサマが、そんな下等な生物なわけ、ないだろっ!死ね、クズどもがぁっ、ひゃははっはぁぁっっ!」
北村に人間だった頃の記憶はないようだ。ただ、夜鴉に対する憎悪だけが強く残っているようで、他の連中よりも、下手すると鬼よりもずっと獰猛だった。
耳まで裂けた口を開き、北村が光季の脇腹に喰らいつく。
「うぐぁっ、つっ……くっ」
長く鋭い牙が無防備な細い腹に食い込む。内臓ごと引き千切られてしまいそうだ。
霊体の状態ならば内臓が飛び出るほどの怪我を負っても死なないが、ダメージが嵩めば換装が解けてしまう。肉体に戻れば、死は必至だ。
やらなければやられる。頭で理解していても、体が攻撃することを拒絶していた。
妖怪は気にせずに撃てるのに、人間はどうしても撃てない。
「何をやっている、死にたいのか?」
虎徹が責めるように言いながら、北村の首を刎ねた。断末魔が辺りに響く。
赤い血飛沫を上げて北村の首が地面に転がった。
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