すべてのはじまり

神名代洸

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普通の日常

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学校では友達とは校舎が別々なので授業が終わるまでが長く感じた。
休憩時間になると皆が私の所にやって来る。皆、興味があるのだ。
休憩時間のたびに私の所に来られても困るだけなのでサッと逃げることもあった。
それでも捕まることもあり、そうなると皆が満足するまで離してもらえなかった。

「ねぇ、未来がわかるんだよね?」
「はっ?」
「じゃあさ、何歳になったら結婚できるか教えてよ。わかるんでしょ?」
そんなのわかるわけがない。
「わかんないよ。それは。」
「えー?つまんなーい。ほら、見てよ。ちゃんと。」
言われて渋々瞳を覗き込んだ。それでもわかるわけがない。分かったら皆んなつまらないと思わないのかな。
「やっぱりわかんないよ。無理。」
「つまんないの。じゃあ、いいよ。」
そう言って離れていった。
それからは静かに過ごすことができた。
トイレに行ったり、わからないことを聞きに職員室に行ったり…。

でも、時々偶然見えることがあった。
彼女は26歳に結婚できるんだ…。私は何歳だろう?などと考え今度鏡で見てみようと思ったりなんかもした。
この手のことは真剣に見ないと見えない。だから静かな場所でないと難しい。

その日の帰りは何事もなく夜もぐっすりと眠ることができた。

週末は暇なことが多く、友達と遊ぶことが多かった。でも地元では遊びあきてしまい、ブラリと近県に行くこともあった。

話は広がりやすく、例の結婚年齢当てをやらされることになったのもこの時だった。
自分自身も知りたかったので、集中できる場所で行う事になった。

集中して相手の目を見た。そうすると頭に浮かんでくるのだ。それを伝えるだけでよかった。自分自身も気になり知りたかったので、鏡を使い集中した。すると23歳と浮かんできた。私の場合は数字だけのようだ。そういう場合もあるので、たいして気にはしていなかった。
そして話もつき、遊びあきてしまったのでお開きとなった。私はその場で友達と別れ一人帰宅の途についた。

その日の夜は寒く、布団を頭までかぶって寝た。そう言えば今日はあいつは出てこなかったなぁとふと思った。毎日のように出てきていたのに今日だけなぜか出てこなくて逆に不思議だった…。
夢を見ることは少なく、見ると又変わった夢を見ることが多かったので徐々に記憶に残るようになっていった。
そうなると私はノートに書いて残すようになった。何月何日なんの夢を見た。どうだった…とか。ページはどんどん増えていく。
だが、自身が夢の世界で何をしているのかははっきりしなかった。出てこなかったからだ。何故だろうと思った。
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