狙われたその瞳

神名代洸

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リジーはドアを開けた。するとそこにはシュナイダーが。
ラフなTシャツにジャケットを煽りGパンをはいている。
そんな姿でもかっこいいと思った。
口には出さなかったけど…恥ずかしいから。

「さっ、行こうか。」
「ええ、行きましょう。でもどこへ行くかは内緒なんでしょ?」
「ああ、だがきっと気にいると思うよ?」

近くに停めてあるシュナイダーの車まで歩いて行き、2人車に乗り込んだ。
そして車を発進させ、ラジオの音楽をかけた。

リジーは緊張でドキドキしてる。
どこへいくんだろう…。
期待も大きいんだけどね~。
変な所には連れてかれないと分かってはいるんだけど…ちょっと楽しみ。

一時間程走ったかな?
建物が多かった街並みからひらけた高台に来ていた。
ここは景色がいい。
他にも何台か車があった。
どうやら近くにお店があるようだ。
シュナイダーは車のエンジンをきり降りた。リジーも車から降りる。

「ここに来たかったの?」
「ああ、ここは見晴らしがいいしね。それに静かだし。話をするなら丁度いいだろ?」
「ええ、まぁ、そうだけど、何を話すの?」
「そうだな、これからの僕らの事さ。君の脅威は去った。だからもう怖がる心配もない。障害は無くなったんだよ?だから前に進みたい。」
「どうすればいいの?」
「こうだよ?」
そう言いながらシュナイダーはリジーにキスをした。
突然の事でリジーは状況が飲み込めていなかった。

「な、ここでするなんて…恥ずかしいわ。」
「だな。なら…ちょっとついてきてくれ。」そう言いながら手を握って離さない。半ば引っ張られるように歩いていく。

5分ほど歩くと小さなベンチが見え、そこに腰掛ける。

「俺と真剣に付き合ってくれ。この通りSPをやってると危険な事もある。だが、帰る場所が欲しい。それは君の元だと俺は思っているんだ。ダメか?」
「あた、私の元?貴方ならもっと素敵な女性がいるんじゃないかしら。私なんかじゃなく。」
「君じゃなきゃダメだ。俺が好きになった女性は君だけだ。…仕事がダメか?SPだから。なら普通に警官になったっていい。それがダメなら他の仕事を探そう。」
「ちょっ、ちょっと待って!仕事は関係ないわ。ただ貴方みたいな素敵な人ならもっと素敵な女性がいるんじゃないかって、…そう思ったのよ。」
「君以外は考えられない。だからイエスと言ってくれ。」
シュナイダーは本気のようだ。
リジーは考えた。考えたけど自分自身もシュナイダーの事を思っているのを自覚するだけだった。

「分かったわ。イエス、イエスよ。」
「やったぁ!」
シュナイダーはそう言いながらリジーを抱き寄せた。

2人は手を繋ぎながら近くにあるこじんまりとした喫茶店に入って行った。
ゆったりとした時間が過ぎ、30分程で店を後にした。また帰りは1時間かかる。だけど行きとは違い2人の気持ちはつながっていると思うだけでリジーは嬉しくて自宅に着くのがあっという間に感じた。

運転で疲れただろうと思い、リジーは自宅にシュナイダーを呼んだ。彼は近くに車を止めるとリジーの後についていき家に入った。
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