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4 スローライフ始まります
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という事でたどり着いたのは、王国の隣の領域である黒の森だ。といっても別の国、というわけではない。
ここ、黒の森は植物が分厚く生い茂り、人を拒むために、人が住む場所ではない、というのが一般的な認識である。
下手に植物を傷つけると妖精やら森の生き物やらが仕返しに来るので、誰も近寄ることがない不入の地である。
そんなところに私は居を構えることにしていた。なんせ邪魔者が入りにくい。
幸いここに住む妖精たちとは仲がいいため、一部の土地をもらうことができている。
そんな場所にツリーハウスを魔法でちょちょいと作り出し、そこを隠居の場所と定めている。
大木の中に空間を作り、そこに住むというメルヘンチックなおうちである。中は魔力灯と光花のおかげでかなり明るいはずである。
私の趣味を存分に発揮したメルヘンチックなおうちの出来に、個人的には満足していた。
家具類も既に運び込んでいる。少し埃っぽいが、傷んでもいないから使えるだろう。
そんな場所に足を踏み入れたのは私とマリアちゃんだった。
隣国にいるというご両親の下へと送ったのだが、そのままご両親にごあいさつした後なぜかついてきてしまった。
うちに来ると私の世話をするという面倒なお仕事が漏れなくついてくるので、単なる貧乏くじだと思うし、そうだと説明したのだが、「喜んで」といわれたので連れてきてしまったのだった。
「すごいですね。とても便利です」
魔力灯のスイッチを入れたり切ったりしたり、料理場の魔力コンロをいじったり、最新鋭魔力洗濯機や魔力ミシンをいじったり……
とにかく家具をいじくりまわしながら関心をするマリアちゃん。
どれもこれも、10年以上前に母の召使たちの要望に応えて作ったものである。
量産すれば便利だったろうが、王国の人たちが私を拒否し始めた頃であったため、お蔵入りしてこちらの家に取り付けたものばかりだった。
「リュカ様、これなんですか?」
「お風呂だよ。魔力を燃料に水を汲んで、温めてお湯にするんだよ」
「そんなことしてたら必要な魔力が膨大になりません?」
「水は空気中の水分を集めるし、熱も空気中の熱量を集めるからそこまででもないよ。乾燥した冷たい空気を再利用するシステムだけちょっと面倒だったけど」
魔力はエネルギーであり、物質にも変換できるが効率が非常に悪い。
基本、存在を偏らせるのが一番効率がいいのだ。
なので空気中の水と熱を偏らせてお湯を作れば、そう多くの魔力は必要ない。冷えた空気は箱に閉じ込めて冷蔵庫にしている。
中々の自信作である。
「すごいですねぇ。この術式とかも…… あ、でもここ、こういじるとよくなりません?」
「それをそうしちゃうと温度調整が難しくて」
「調整システムこういうのじゃダメなんですか?」
「あ、なるほどそういうのは考えてなかった」
マリアちゃんはとても優秀であった。彼女自身魔法への造詣が深い。
そういう学校に通っていたことがあるらしく、いろいろ魔法のお話ができる相手だった。
また、食堂の娘さんという事で料理が非常に上手である。
基本的に森で葉野菜しか取れない。
森の木々を無断で傷つけてはいけないし、住んでいる生き物も同様である。
そのため、取れる食べ物は家近くの田畑でとれる農作物だけだ。ただ国を全部富ませていた魔法の応用で田畑が非常に富んでいるので、植えてすぐに収穫できるぐらい無茶苦茶よく育つ。若干気持ち悪いぐらい育つ。
だが、野菜だけであり、野菜があまり好きではない肉食系な私は若干憂鬱だった。
道草を食うよりはましか、と思っていたが、マリアちゃんはそんな私好みの料理をいくつも作ってくれるのだ
最近は森の中のレストランとして、森の獣人たちや精霊たちに食事を振るまって何かしら物々交換しているようだ。
そんな平和な時間の中、私は好きに魔法を研究している。
いや、正確には好き勝手はできないのだが、かなり自由に生活している。
好き勝手出来ないというのは、食事の時間になるとマリアちゃんが強引に食事をとらせるし、お風呂が沸くと私を風呂場まで抱き上げていって体中を洗うし、夜遅くなる前に私を抱き上げてベッドに連れ込むあたりだ。
おかげで規則正しい生活を送らされてしまっていた。
マリアちゃんも何が楽しいのかわからないが私をいじくりまわして、私を撫でまわして、私とお話している。
「お嫁さんはきれいな方がいいですからね」
マリアちゃんはそういうが、私は結婚する予定も相手もそもそもいない。
「お嫁さんって、マリアちゃんがお婿さんになってくれるなら考えるよ」
そんな冗談を言うとマリアちゃんはとても楽しそうに笑うのであった。
ここ、黒の森は植物が分厚く生い茂り、人を拒むために、人が住む場所ではない、というのが一般的な認識である。
下手に植物を傷つけると妖精やら森の生き物やらが仕返しに来るので、誰も近寄ることがない不入の地である。
そんなところに私は居を構えることにしていた。なんせ邪魔者が入りにくい。
幸いここに住む妖精たちとは仲がいいため、一部の土地をもらうことができている。
そんな場所にツリーハウスを魔法でちょちょいと作り出し、そこを隠居の場所と定めている。
大木の中に空間を作り、そこに住むというメルヘンチックなおうちである。中は魔力灯と光花のおかげでかなり明るいはずである。
私の趣味を存分に発揮したメルヘンチックなおうちの出来に、個人的には満足していた。
家具類も既に運び込んでいる。少し埃っぽいが、傷んでもいないから使えるだろう。
そんな場所に足を踏み入れたのは私とマリアちゃんだった。
隣国にいるというご両親の下へと送ったのだが、そのままご両親にごあいさつした後なぜかついてきてしまった。
うちに来ると私の世話をするという面倒なお仕事が漏れなくついてくるので、単なる貧乏くじだと思うし、そうだと説明したのだが、「喜んで」といわれたので連れてきてしまったのだった。
「すごいですね。とても便利です」
魔力灯のスイッチを入れたり切ったりしたり、料理場の魔力コンロをいじったり、最新鋭魔力洗濯機や魔力ミシンをいじったり……
とにかく家具をいじくりまわしながら関心をするマリアちゃん。
どれもこれも、10年以上前に母の召使たちの要望に応えて作ったものである。
量産すれば便利だったろうが、王国の人たちが私を拒否し始めた頃であったため、お蔵入りしてこちらの家に取り付けたものばかりだった。
「リュカ様、これなんですか?」
「お風呂だよ。魔力を燃料に水を汲んで、温めてお湯にするんだよ」
「そんなことしてたら必要な魔力が膨大になりません?」
「水は空気中の水分を集めるし、熱も空気中の熱量を集めるからそこまででもないよ。乾燥した冷たい空気を再利用するシステムだけちょっと面倒だったけど」
魔力はエネルギーであり、物質にも変換できるが効率が非常に悪い。
基本、存在を偏らせるのが一番効率がいいのだ。
なので空気中の水と熱を偏らせてお湯を作れば、そう多くの魔力は必要ない。冷えた空気は箱に閉じ込めて冷蔵庫にしている。
中々の自信作である。
「すごいですねぇ。この術式とかも…… あ、でもここ、こういじるとよくなりません?」
「それをそうしちゃうと温度調整が難しくて」
「調整システムこういうのじゃダメなんですか?」
「あ、なるほどそういうのは考えてなかった」
マリアちゃんはとても優秀であった。彼女自身魔法への造詣が深い。
そういう学校に通っていたことがあるらしく、いろいろ魔法のお話ができる相手だった。
また、食堂の娘さんという事で料理が非常に上手である。
基本的に森で葉野菜しか取れない。
森の木々を無断で傷つけてはいけないし、住んでいる生き物も同様である。
そのため、取れる食べ物は家近くの田畑でとれる農作物だけだ。ただ国を全部富ませていた魔法の応用で田畑が非常に富んでいるので、植えてすぐに収穫できるぐらい無茶苦茶よく育つ。若干気持ち悪いぐらい育つ。
だが、野菜だけであり、野菜があまり好きではない肉食系な私は若干憂鬱だった。
道草を食うよりはましか、と思っていたが、マリアちゃんはそんな私好みの料理をいくつも作ってくれるのだ
最近は森の中のレストランとして、森の獣人たちや精霊たちに食事を振るまって何かしら物々交換しているようだ。
そんな平和な時間の中、私は好きに魔法を研究している。
いや、正確には好き勝手はできないのだが、かなり自由に生活している。
好き勝手出来ないというのは、食事の時間になるとマリアちゃんが強引に食事をとらせるし、お風呂が沸くと私を風呂場まで抱き上げていって体中を洗うし、夜遅くなる前に私を抱き上げてベッドに連れ込むあたりだ。
おかげで規則正しい生活を送らされてしまっていた。
マリアちゃんも何が楽しいのかわからないが私をいじくりまわして、私を撫でまわして、私とお話している。
「お嫁さんはきれいな方がいいですからね」
マリアちゃんはそういうが、私は結婚する予定も相手もそもそもいない。
「お嫁さんって、マリアちゃんがお婿さんになってくれるなら考えるよ」
そんな冗談を言うとマリアちゃんはとても楽しそうに笑うのであった。
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