昭和90年代のストリップ劇場は、2000年代アニソンかかりまくり。

坪庭 芝特訓

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第二回公演

2、ひとりお出かけ会議、はっじまっるよー。

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 自宅に帰った詩帆は、早速今後のお一人様予定を練る。

「ストリップ、が見たいなぁ」

 自室のベッドの上でスケジュール帳を捲りながら呟く。
 実家暮らしの娘としてはあまり親には聞かせられない独り言だが、詩帆の親はすでに娘のセクシャルを知っているので気に留めないかもしれない。

「そういえば最近どっか潰れたんだっけ」

 情報集めのためにスケジュール帳を放り投げ、今度はベッドの上でノートパソコンを立ち上げる。
 つい先日、近くのストリップ劇場が営業停止を食らった。
 猥褻物なんやら法により、踊り子と劇場責任者と撮影ショーに参加していた客数名が私服警察官によって逮捕された。
 それはテレビのニュースにもならない、ネットのニュースサイトでひっそりと取り上げられた事件だった。
 偶然にもその劇場は遥心が以前行ったという所だった。
 こういった万が一のことを考え、遥心と詩帆はストリップ劇場へ行っても撮影 ショーには参加しないが、

「うーむ」

 詩帆が難しい顔でスケジュール帳を見る。
 そこには夏から秋にかけてストリップ劇場へ行ったことが記されていた。
 少し前まで、遥心と詩帆はストリップ観劇にハマっていた。
 女性割引という言葉に釣られストリップ劇場の扉を開けると、そこでは埃っぽく安っぽく、見せかけのきらびやかな舞台の上で様々なアニソン、声優ソングで舞う踊り子がいた。
 構成、演出、衣装、小道具。
 惹かれるものはたくさんあったが、何より選曲に二人は魅了された。
 踊り子自身の趣味でアニソンや声優ソングをステージに取り入れるケースもあれば、歌謡曲というジャンルに手を出した結果アニソンや声優ソングに突き当たったと見受けられるケースもあった。
 
 日本のストリップ自体、J―POPやアイドルソング、洋楽、クラシック、映画のサントラなどがごちゃまぜで使われることが多い。
 それに対し、あらゆる音楽ジャンルを内包するアニソンはステージ演出として使う面でも優れていた。
 昭和文化と最新アニソン、カウンターカルチャーとサブカルチャーの融合ぶりが、若いちょいオタカップルには楽しかった。
 日本の性風俗でそんなことが行われているなど、世間では知られていないし知りもしない。
 それをこっそり覗き見するのが遥心と詩帆は楽しかった。

 だが遥心のストリップ熱はすでに冷めてしまったらしく、まだ見足りない詩帆が行こうと誘ってみても乗ってこない。
 かといってここら辺の劇場は一周りしてしまった。

「となると」

 せっかくなので詩帆は遥心が行ったことのない劇場へ行きたかった。
 パソコンに向き直り、地元の県からエリアを拡大してストリップ劇場を検索すると、

「おっ、あるじゃん」

 隣接する県に平成の世でも営業しているストリップ劇場があった。
 公式サイトにある《香盤表》という項目をクリックすると、現在出演中の踊り子さんが出てきた。
 修正しまくり、光飛ばしまくりな踊り子さんの宣材写真がずらりと並ぶ。
 見た目だけで言えばまずまずなようだ。
 若い踊り子さんなら宣伝目的でブログかツイッターでもやってそうなものだが、リンクが貼られていない。
 ブログやツイッターによって出演者の多少の好みはわかってくる。
 踊り子さんがオタクであればそれらツールを使って自分の趣味について垂れ流し、結果ステージで使う曲にもアニソンが使われる可能性が高い。
 しかし今回は手がかりがない。
 従業員の怠慢か、あるいはそういったものが扱えない、見た目だけ若い踊り子さんか。
 加えてセクシー女優云々の文字も無い。
 最近のストリップは現役AV女優が板に上がることも珍しくない。
 レンタルDVD店の18禁ゾーンに行けばそこそこ有名らしいAV女優様がモザイク無しの性器を晒している。
 そういった方々は客の動員に一役かっているらしいが、この劇場はそんな方々を呼ぶほどの力がないのか、今週の出演者を見てもその次の週を見ても『セクシー女優来演!』などということは特には書いていなかった。

「べつにいいですけど」

 べ、べつに期待してたわけじゃないんだからね、という気持ちで、詩帆がアクセスマップという項目をクリックしてみる。
 駅前にあるので劇場から最寄り駅までは近いが、詩帆の地元駅からなら一時間半はかかる。

「ふうむ」

 モラトリアムな時間を生きる大学生が腕組みする。
 出不精の遥心はここまで足を伸ばさない。
 昼過ぎまでの早朝割引を狙うと朝早くから出発し、夜まで見れば向こうで泊まることになるかもしれない。
 ちょっとした小旅行だ。そんなプランに、詩帆はワクワクしていた。

「よぉーし」

 気合を入れるため、胡座をかいた長い足を詩帆がぺちと叩く。
 携帯音楽プレーヤーを充電し、小腹が空いた時用の携帯食料を買いこむ。
 トラブルを考え、遥心が一人で観劇した時のように男の子スタイルで行った方がいいかも知れない。
 髪はどうしようか、身体のラインが出にくい、ダボッとしたパーカーを買おうか。
 好奇心旺盛な牡蠣の赤ちゃんみたいなベビーフェイス。それを隠すための小物も買おう。
 やることがあり過ぎて、詩帆はワクワクしていた。
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