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27、そこそこグランドなフィナーレ
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「このキャンピングチェア、肘掛けが痒い」
「ここに座った何人もの男たちの汗やら汁やらが染み込んでるからねえ」
自分たちで起こしたトラブルを回避し、遥心が肘掛けの謎のベタつきを気にしているうちに撮影ショーは終わった。
オープンショーでは舞台周りではなく、撮影してくれた客や顔見知りの客にたっぷり踊り子さんはサービスした。
ほどなくしてフィナーレが始まり、
「なにこれ」
流れてきた陳腐なユーロビートと場内をぐるぐる照らすライトという安っぽい演出に、詩帆があっけにとられる。そして衣装でも全裸でもなく、服を着た踊り子さんたちが出てきた。
丸襟のフリルシャツにミニ丈サロペットパンツ。
黒のチャイナドレスに羽根扇子。
ワンピースになるぐらい大きなベースボールシャツと、斜めに被ったキャップ。
ピンクのドル札が全面に印刷されたチューブトップにレギンス。
黄色のメッセージ入りTシャツにショートのダメージデニム。
キャラクター物の甚平と団扇。
それぞれの踊り子さんが、様々な、思い思いの格好で出てきた。
登場してきた踊り子さん達が、モデルウォーキングで本舞台から中央舞台にかけて練り歩く。
まるでファッションショーのようなフィナーレに詩帆が、わあ、とテンションの高い声をあげる。楽しそうに手拍子をして客席から見上げている詩帆を見て、踊り子さんがにこりと微笑みかけた。
よく見ると、黄色のメッセージTシャツを着た踊り子さんはプリントシャツではなく、無地のTシャツに黒のマジックで『You have 30 seconds to prepare』と直接書き殴っていた。
「あれなんて書いてあるの?」
遥心がTシャツに書かれた文字の翻訳を詩帆にお願いする。
「『30秒で支度しな』かな」
「へえ」
本舞台に一列に並んだ踊り子さんが、上手のお客様に向かっておじぎ、続いて下手のお客様に向かっておじぎをする。
「なにあれ可愛い」
そこにはキャリアや実力、人気、年齢の壁はなく、ただ本日お越しいただいたお客様への感謝と笑顔があった。
最後に踊り子さん全員が客席にバイバイと両手を振ると、詩帆が楽しそうに、わーい、と両手で振り返した。
それを見た一人の踊り子さんが詩帆に向かって手を振り返し、気付いた隣の踊り子さんも、わーい、と手を振ってくれた。
「バイバイしてくれたよっ」
「いたい、いたい」
遥心の肩を興奮気味に叩きながら、詩帆が嬉しそうに報告する。叩かれながらも遥心は嬉しそうだった。
「良かったね」
フィナーレの楽しさを共有できたのが嬉しかった。
「ここに座った何人もの男たちの汗やら汁やらが染み込んでるからねえ」
自分たちで起こしたトラブルを回避し、遥心が肘掛けの謎のベタつきを気にしているうちに撮影ショーは終わった。
オープンショーでは舞台周りではなく、撮影してくれた客や顔見知りの客にたっぷり踊り子さんはサービスした。
ほどなくしてフィナーレが始まり、
「なにこれ」
流れてきた陳腐なユーロビートと場内をぐるぐる照らすライトという安っぽい演出に、詩帆があっけにとられる。そして衣装でも全裸でもなく、服を着た踊り子さんたちが出てきた。
丸襟のフリルシャツにミニ丈サロペットパンツ。
黒のチャイナドレスに羽根扇子。
ワンピースになるぐらい大きなベースボールシャツと、斜めに被ったキャップ。
ピンクのドル札が全面に印刷されたチューブトップにレギンス。
黄色のメッセージ入りTシャツにショートのダメージデニム。
キャラクター物の甚平と団扇。
それぞれの踊り子さんが、様々な、思い思いの格好で出てきた。
登場してきた踊り子さん達が、モデルウォーキングで本舞台から中央舞台にかけて練り歩く。
まるでファッションショーのようなフィナーレに詩帆が、わあ、とテンションの高い声をあげる。楽しそうに手拍子をして客席から見上げている詩帆を見て、踊り子さんがにこりと微笑みかけた。
よく見ると、黄色のメッセージTシャツを着た踊り子さんはプリントシャツではなく、無地のTシャツに黒のマジックで『You have 30 seconds to prepare』と直接書き殴っていた。
「あれなんて書いてあるの?」
遥心がTシャツに書かれた文字の翻訳を詩帆にお願いする。
「『30秒で支度しな』かな」
「へえ」
本舞台に一列に並んだ踊り子さんが、上手のお客様に向かっておじぎ、続いて下手のお客様に向かっておじぎをする。
「なにあれ可愛い」
そこにはキャリアや実力、人気、年齢の壁はなく、ただ本日お越しいただいたお客様への感謝と笑顔があった。
最後に踊り子さん全員が客席にバイバイと両手を振ると、詩帆が楽しそうに、わーい、と両手で振り返した。
それを見た一人の踊り子さんが詩帆に向かって手を振り返し、気付いた隣の踊り子さんも、わーい、と手を振ってくれた。
「バイバイしてくれたよっ」
「いたい、いたい」
遥心の肩を興奮気味に叩きながら、詩帆が嬉しそうに報告する。叩かれながらも遥心は嬉しそうだった。
「良かったね」
フィナーレの楽しさを共有できたのが嬉しかった。
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