昭和90年代のストリップ劇場は、2000年代アニソンかかりまくり。

坪庭 芝特訓

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昭和90年代のストリップ劇場は2010年代アニソンかかりまくり

6、次の城を攻めるのだ

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「んネェーン。しフォさーん」
「わ」

 留守を預かる遥心の家のダイニングテーブルで。
 海老の背わたをちまちま爪楊枝で取っていた詩帆の背中に、シャオちゃんがいきなり飛びついてきた。尖ったものを持ってるので危険が危ない。

「あぶないっ。なに?」

 咎めるように詩帆が訊くと、

「次行くノーン?」
「次って?」
「スタンプラリぃー」
「スタンプ…、ああ」

 すっかり忘れていた。ストリップ劇場のスタンプラリーだ。
 前回行ったのが久々だったので、一回行ったらかなり満足してしまった。だがスタンプラリーなのであちこち巡らなければ成立しない。
 なるべく近い方が良いかと思いつつ、

「行きたいとこあるの?」
「こことかドデスカ?」

 シャオちゃんがタブレットPCでマップを見せてくる。
 指名してきたのはニュー倖邑という劇場だった。
 こちらの考えを読んだようになるべく近いところだった。

「へえ。結構近いね。でも今週はちょっと予定入ってるから」
「ンー」
「来週辺りかな」
「ンー」
「…シャオちゃん、暇なら手伝ってくれないかな?」
「ンー?」

 背中に張り付いたままのシャオちゃんに、詩帆が一緒に背わたを取ってくれと言うが、

「でも作るのワタシ」
「…そうでしたわね」

 餃子用の海老なので、下処理は詩帆、作るのはシャオちゃんの役割なのだ。
 そんなことだから二人は見落としていた。
 劇場のサイトに記載されたイベント予定表に、ビンゴデーと記されていたのを。



「うわ…」
「オー。オオイリ」

 詩帆が声を上げ、シャオちゃんが大盛況デスネと言う。
 二人が行ったニュー倖邑のロビーは客で埋め尽くされていた。
 人気の踊り子が来てるのかと思ったが、

「二人」

 そう言って詩帆が受付でチケットを貰うと、

「あと、はいこれ」

 従業員から二枚のハガキ大のカードを渡された。
 数字が書かれた硬めの紙だ。
 いわゆるビンゴカードだというのはわかるが、これは?と詩帆が目だけで問うと、

「今日ビンゴデーだから。あれっ?知らないで来たの?」

 従業員が驚いたように訊く。
 なんだか以前あった流れだが、

「ビンゴ!?」

 後ろに居たシャオちゃんが食いつく。

「ヤッフーイ!ビンゴー!」

 そしてまだ揃ってもいないのにコールする。

「3回目ラストがそうだから、それまで無くさないでね」

 そう従業員に言われ、二人はしっかりカバンに入れると、

「スタンプスタンプッ!」

 おでこに手のひらでひさしを作り、シャオちゃんが早速スタンプラリーの台を探す。

「ン?あれカシラ?」
 
 ロビーの隅に簡素な台とスタンプとインクが用意されていた。
 どうやらあれみたいだが、スタンプラリーはこちら、など企画を目立たせる文字もない。
 だが他の客には目に入らないようで、立ち話をしている客が肘置き台にしていた。

「すいません」
「おっとごめんよ」

 本来の目的に使いたい詩帆がそう言うと、客はどいてくれたがスタンプを押してるのは二人だけだ。
 あまり流行ってないのかなと詩帆が思っていると、

「ココ?」
「そう」
「ヨシッ」

 前回の失敗を踏まえてシャオちゃんが押す場所を確認し、自分の台紙にスタンプをしっかり、グッと押す。

「オー」

 ゅきむらというギャル文字文化を用いた文字と、やはりそれを囲む踊り子さん。
 二つ目のスタンプにシャオちゃんはご満悦だ。
 やはり楽しんでるのは二人だけのようだった。
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