引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由

ジャンマル

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勇者覚醒

戦う理由#1

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そういえば、僕はまだこの人たちを信用しているわけではなかった。このタイミングが丁度いいだろう。彼女らの戦う理由を聞いておこう、と思った。戦う理由が分かるなら、安心して彼女らに身を任せられる。トントン拍子で物事が進んで行き、全く余裕がなかった。それだけに勢いで彼女らに着いてきてしまった部分がある。

「あの、エルザさん.....ちょっといいですか?」
「ああ。どちらにせよ今は下手な行動が出来ない上にーーこのザマだよ」

エルザさんは筋力を一時的に上げることにより、破壊的な刀を主流に戦う。筋力を無理やりリミッターを外してしまっている為に、才能を使ったあとは筋肉痛になると言うが.....
恐らく、時間を開けてはいたものの、才能を何回も使った故だろう。連続の使用は無理だが、クールタイムを2分置くことて使うこと自体はできる。
ただ、彼女のようにどこかしらに影響が出るのは周知の通りだ。

エルザさんは春斗さんの補佐を務めていた程協会内の地位は上だ。春斗さん亡き今は彼の仕事を全て引き継いでいる為、あまり任務には出撃がなかった.....が、今回の騒動は流石に今の協会で1番の実力者である彼女が動かないわけにはいかず、ある程度の戦闘能力を持つ彼女と半蔵が戦ったのだが.....

「エルザさんは.....何故戦うんですか?」
「.....戦う理由、か。言っていなかったな、お前には」

エルザさんはそう言うと、無理矢理ではあるが身体を起こした。起き上がったのは、彼女なりの礼儀だろう。
少し痛むのか、つらそうな顔をした後続ける。

「私は元々三国流の継承者.....のはずだった」
「はず.....だった?」
「私の家は戦争中に焼かれて無くなった。もちろん、その場にあった歴代の当主の技術とか全てが消え去ったよ.....」

初めて彼女の過去を聞いたが、戦争中に.....か。だが、大体の想像はつく。第一世代と呼ばれる僕らの世代は、全員が戦争で大事なものを失っているのだろう。事実、僕も美雨さん、晴ちゃんも家族を失っている。僕達の共通点.....か。

「家族や三国流の技術を亡くした私に、春斗さんは手を差し伸べてくれたんだ.....だから、戦う理由はあの人の思想を広めていくこと。才能を自分のためじゃない.....困ってる人や国のために使う。その思想をな」

彼女が何故父の補佐として選ばれたのか。よくわかった気がする。理想を求める人間には、少なからずその理想を自分が死んでも叶えようとしてくれる人間がいる.....それが重要なのだ。
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