魑魅の館

ジャンマル

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捜査の足掛かりは。

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 館内を色々と捜索してみてわかった事やわからないことなどいろいろとあるが一つ一つ丁寧に自分の取材用のノートに書き記していく。少女には間取りなどを教えてもらいながら一緒に調査してもらっていた。だけど――気になる点がいくつかあるのも事実。少女の名前を聞いていないのだ。それ故に少女を時たまどうやって呼んでいいのか、という部分で悩んだりもした。

「あのさ、どう呼んだらいいんだい?」
「私を?」
「ああ。君を」
「……メグ」
「メグちゃんでいいのかい?」
「うん」

 自分も自身の名前である奥野大和という名前を教え、自己紹介をした。だけどやはりこの子は自分の名字についてなかなか教えようとはしなかった。何か言えない理由があるのだろうか? だけどいろいろと詮索してしまうのも悪いな。そう思いある程度お互いに信用し始めたら勝手に喋ってくれるだろう。そう期待してみることにした。
 そのあとメモに書いてあることを一旦まとめるため大きなソファのある居間まで戻ることにした。この館にはいろいろと緊急時の備えがあったらしく当時の家主である新藤さんが用意したとは思えない最近の缶詰などが保管してあった。ここには誰かが住み着いているのか? そんな疑問も持ちながらも缶詰などの食料をありがたくいただくことにした。それにしても……この子は缶詰の開け方を知らなかったりといろいろとおかしな点も目立ち始めていた。
 当然当初取材しようとしていた案件が魑魅魍魎……妖怪や幽霊がいるのか? というものであったがために恐る恐る聞いてみてしまった。

「あの……君は妖怪とかそういうの信じるかい?」
「ううん。信じない」
「どうして?」
「怖くないし」

 その口ぶりは幽霊や妖怪といった類にまるで触れたことがあるかのようだった。だけど彼女はそれについて話そうとはしない。あまり自分を話したがらない、というのはまあこれくらいの子にとってはよくあることなのだが。まああくまでも協力してもらっている立場。あまりそういった個人のことについては触れてしまうのはよくないことだろう。

「あっ……」
「ん?」
「そろそろみんなが来る」
「え……? みんな?」

 彼女がそう口にした直後館の電気がすべて暗くなった。ブレーカーが落ちたわけではないかもしれないが……怪奇現象とでもいうべきだろうか。しかし30秒ほどたった後どこからともなくそれまで気配すらなかった「何者か」の気配がし始める。
 急いで手元にあったペンライトを急いでつけると――
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