105 / 271
伊勢谷慎二/miu√
悪意に満ちた反乱『上』
しおりを挟む
作戦内容を伝え終えた僕は、部屋に戻り一人考えていた。この作戦に終木神をどう混ぜるかで、だ。当然、簡単なことじゃない。それでもたった一度だけあいつを信用したことがある。死にかけた時だ。僕はもう能力が使えなかった。そこで、あいつに奪わせ一命をとりとめる未来につないでもらった――といった具合だ。まあ、当然信用する道理はない。義理もない。
義理堅い性格の奴ならすぐさま信用していただろう。だが、僕はずっとこいつと一緒を約束されてしまった。それ故にこいつの信用など端から無い。それどころかこいつと一緒が嫌だ。
といった具合に毛嫌いしているのである。わかってもらえただろうか。わかっただろうな。当然だ。しかしこう言ってしまってはあれだが、こいつ一体何なんだ? 人に喰らわれて乗り移るなんて。能力者でも説明がつかないぞ。
「影の存在……ねえ」
「なにかお気に召しましたか?」
「ん? いや」
気に召してないと言えばうそになる。しかし、嘘をつかなかったところで何にも言えんからなあ。うん。お気に召したって言っとこう。
「お気に召したわ」
「マジすか」
「うっそー」
なんて低レベルの争いを繰り広げながら僕はこいつの処分をどうするのか決めていた。圭に言うわけにもいかない存在だ。何故なら、あいつらはまだ未熟。それ故にこの問題は早すぎる。だからこそあいつらには内緒にしてきたって言うのに。でも、徐々にそれもばれ始めていた。何かを隠してるんじゃないのか――そう、あいつらが言ってきたことがあった。当然間違いなんかじゃない。
あいつらの未熟さでこの能力問題に首を突っ込んでみろ。それこそ首ひとつ残らんぞ。それだけじゃない。首どころか頭二つくらい吹っ飛ぶ。それだけこの問題は重要なんだ。
さて。こいつの恐ろしさは伝わったと思う。次に、今回の問題の整理だ。問題はこうだ。
恐ろしい敵が現れた。その敵は能力を酷使して、世界征服をもくろんでいる。しかし僕たちにはそれを止めるすべがある。ならやるしかない。命に代えてもやるしかない。
だって、僕らは勇者だから。
「引きこもりの僕が勇者にされた理由……か」
「ん?」
「そんなん決まってんじゃん……」
引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。それは、父さんの夢だったから。父さんの叶えさせたい夢があったから。だから、だから僕は勇者になった。それはずっと前から決まっていたことだ。故に理由なんていらない。引きこもりの勇者の物語は何事でもない、ただの運命だったのだ。
義理堅い性格の奴ならすぐさま信用していただろう。だが、僕はずっとこいつと一緒を約束されてしまった。それ故にこいつの信用など端から無い。それどころかこいつと一緒が嫌だ。
といった具合に毛嫌いしているのである。わかってもらえただろうか。わかっただろうな。当然だ。しかしこう言ってしまってはあれだが、こいつ一体何なんだ? 人に喰らわれて乗り移るなんて。能力者でも説明がつかないぞ。
「影の存在……ねえ」
「なにかお気に召しましたか?」
「ん? いや」
気に召してないと言えばうそになる。しかし、嘘をつかなかったところで何にも言えんからなあ。うん。お気に召したって言っとこう。
「お気に召したわ」
「マジすか」
「うっそー」
なんて低レベルの争いを繰り広げながら僕はこいつの処分をどうするのか決めていた。圭に言うわけにもいかない存在だ。何故なら、あいつらはまだ未熟。それ故にこの問題は早すぎる。だからこそあいつらには内緒にしてきたって言うのに。でも、徐々にそれもばれ始めていた。何かを隠してるんじゃないのか――そう、あいつらが言ってきたことがあった。当然間違いなんかじゃない。
あいつらの未熟さでこの能力問題に首を突っ込んでみろ。それこそ首ひとつ残らんぞ。それだけじゃない。首どころか頭二つくらい吹っ飛ぶ。それだけこの問題は重要なんだ。
さて。こいつの恐ろしさは伝わったと思う。次に、今回の問題の整理だ。問題はこうだ。
恐ろしい敵が現れた。その敵は能力を酷使して、世界征服をもくろんでいる。しかし僕たちにはそれを止めるすべがある。ならやるしかない。命に代えてもやるしかない。
だって、僕らは勇者だから。
「引きこもりの僕が勇者にされた理由……か」
「ん?」
「そんなん決まってんじゃん……」
引きこもりの僕がある日突然勇者になった理由。それは、父さんの夢だったから。父さんの叶えさせたい夢があったから。だから、だから僕は勇者になった。それはずっと前から決まっていたことだ。故に理由なんていらない。引きこもりの勇者の物語は何事でもない、ただの運命だったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる