57 / 271
引きされEXTRA
懐かしい顔ぶれ
しおりを挟む
僕が勇者にされた理由。それは、父さんに憧れていたからだ。でも、一度はその夢を忘れ、引きこもりとなっていた。でも、それは望んだ結果じゃない。父さんは、奏したかったんだ。そうしないといけなかったんだ。
それほど、勇者がどんなものか、間にしみてわかっているから。勇者が卑怯な職種だとわかっているから。だからーー
箱を使った。
その効力はいずれ切れ、僕は、美雨さんを通して、過去のことを忘れながらも勇者として活動することになる。だけどーーだけどーー!
今ならわかる。今なら覚えてる。
かつて一度は忘れた儚い夢。かつて一度は思い出すら捨ててしまった儚い夢。
それは、いつの間にか叶っていた。叶える運命に収束していた。
僕が勇者にされた理由なんてない。父さんに憧れて、勇者になった。
「それだけの事だぁぁぁぁ!」
「くそっ」
ざしゅ。
まずは腕。
ざしゅ。
次は足。
「くそ、やめろ、撤退するから、辞めてくれ!」
「天使が命乞いか? 受け入れるわけないだろ!」
ざしゅ。
最後はーー頭。
聖剣によって斬られたその部位は、恐らく治らない。致命傷を与えたのだから。
天使を殺した勇者は、何を思ったのだろう。
箱の破壊。箱の回収。はたまた、箱を潰す。
勇者に与えられた試練は、神へと挑むものだろう。それでも、勇者は歩みを止めない。止めてしまえば、夢を諦めてしまう気がしたから。
だから、勇者は笑っていった。「大丈夫。僕は平気だ」と。
ヘレンの頭に焼き付いたその笑顔は、やがて呪いとなり、やがて悪夢となるだろう。しかし、それでも今は前に進むことしか彼らには出来ない。
その道を選んでしまったのだから。
だからーー
「ヘレン。僕はこれから天使討伐を始めるよ」
「わ、私も!」
「駄目だ。危険だし、君は施設を守ってくれ」
「わかり……ました……」
孤独な勇者は、一人の人間。いや、二人の人間を訪ねようとしていた。
妻である美雨。そして、今は三国流市販代として、一線で活躍している三國エルザの2人を。
こんこん。
家の呼び鈴……というか、外国とかでよく見る、あれ。なんだっけ。とにかく、あのこんこんするやつ!
を鳴らす。というか、叩く。
「お帰りなさい」
「あのー、帰ってきたところ悪いんですけど……」
「なぁに? 返答しだいじゃ殺すけど」
涼しい顔でいうことじゃないからね!? それ、涼しい顔して言うと恐怖倍増するからね!?
「で、なんですか?」
「え、ああ。数年前の天使が現れた」
「え……なんだった急に?」
「わからない……」
わかりました。と、美雨さんは答え、支度をしてきた。
「じゃあ、行こうか」
始まるーー天界との戦争が。
僕史上、もっとも勇者らしい戦いが始まる……!
それほど、勇者がどんなものか、間にしみてわかっているから。勇者が卑怯な職種だとわかっているから。だからーー
箱を使った。
その効力はいずれ切れ、僕は、美雨さんを通して、過去のことを忘れながらも勇者として活動することになる。だけどーーだけどーー!
今ならわかる。今なら覚えてる。
かつて一度は忘れた儚い夢。かつて一度は思い出すら捨ててしまった儚い夢。
それは、いつの間にか叶っていた。叶える運命に収束していた。
僕が勇者にされた理由なんてない。父さんに憧れて、勇者になった。
「それだけの事だぁぁぁぁ!」
「くそっ」
ざしゅ。
まずは腕。
ざしゅ。
次は足。
「くそ、やめろ、撤退するから、辞めてくれ!」
「天使が命乞いか? 受け入れるわけないだろ!」
ざしゅ。
最後はーー頭。
聖剣によって斬られたその部位は、恐らく治らない。致命傷を与えたのだから。
天使を殺した勇者は、何を思ったのだろう。
箱の破壊。箱の回収。はたまた、箱を潰す。
勇者に与えられた試練は、神へと挑むものだろう。それでも、勇者は歩みを止めない。止めてしまえば、夢を諦めてしまう気がしたから。
だから、勇者は笑っていった。「大丈夫。僕は平気だ」と。
ヘレンの頭に焼き付いたその笑顔は、やがて呪いとなり、やがて悪夢となるだろう。しかし、それでも今は前に進むことしか彼らには出来ない。
その道を選んでしまったのだから。
だからーー
「ヘレン。僕はこれから天使討伐を始めるよ」
「わ、私も!」
「駄目だ。危険だし、君は施設を守ってくれ」
「わかり……ました……」
孤独な勇者は、一人の人間。いや、二人の人間を訪ねようとしていた。
妻である美雨。そして、今は三国流市販代として、一線で活躍している三國エルザの2人を。
こんこん。
家の呼び鈴……というか、外国とかでよく見る、あれ。なんだっけ。とにかく、あのこんこんするやつ!
を鳴らす。というか、叩く。
「お帰りなさい」
「あのー、帰ってきたところ悪いんですけど……」
「なぁに? 返答しだいじゃ殺すけど」
涼しい顔でいうことじゃないからね!? それ、涼しい顔して言うと恐怖倍増するからね!?
「で、なんですか?」
「え、ああ。数年前の天使が現れた」
「え……なんだった急に?」
「わからない……」
わかりました。と、美雨さんは答え、支度をしてきた。
「じゃあ、行こうか」
始まるーー天界との戦争が。
僕史上、もっとも勇者らしい戦いが始まる……!
0
あなたにおすすめの小説
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる