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花園圭/helen√
散っていく花
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この世はどうしてこんなにも理不尽なんだろう。無差別テロ。止めないわけにはいかなかった。止めなければいけなかった。だけど、だけども……こうするほかなかった。この方法しかなかった。だから……だから私は……最後の力でリターンフューチャーを使った。
「……なあ、ヘレン?」
「なに……?」
「こんな理不尽な世の中、変えたい」
「なら――今は休んで――」
それが最後の彼女の言葉だった。それ以降彼女は人形のように動かなかった。そして、その瞬間に世界のどこかでジャンヌ・ダルクの遺産がよみがえる。……そいつを手にさえ入れれば。そいつを手にさえすれば。世界はこの手の中になる……
狂った男がそこにはいた。だけども――立った最後に残ったりせいで、感情を制御した。ケビンという男と同じ過ちを繰り返さぬよう――
「……あれ、電話?」
『あ、もしもし。ヘレンか?』
「いえ、花園です」
『……圭、ヘレンは?』
「……」
『このゆがみ――ヘレンが居ないからか?』
「何か、何かあったんですか?」
『ああ』
事情を説明される。世界の中心にゆがみが出来たと。そのせいで、リターンフューチャーは力を失い、完全に未来を見るだけの力になっている、と。だけど、僕には心当たりがあった。ヘレンが残した最後の――心当たりが。
「遺産で――どうにかならないんですか?」
『え? お前の遺産じゃどうにもならんぞ』
「ちがいます。ジャンヌの遺産です」
『……あるのか?』
「ヘレンが居なくなったことでどこかに復活しているはずです」
『……そうか』
最後の希望。ジャンヌの遺産。その力はすべてを可能にしてしまう恐ろしいものだった。その力は世界なぞ作り直すのに造作もないほどの物だった。そんな代物が、この世に存在していた。
『……結局、人類は箱に頼りっぱなし、か』
「人類は進歩しないんですもん……仕方ないですよ……」
『ああ。そうだったな』
「そこに終木神さんいますか?」
『え? あ、ああ』
「変わってください」
彼ならわかるはずだ。能力について。解明できるはずだ。
「能力は死ぬことによって種となり、やがて別の人間へ移り変わり花を咲かせる……」
『ああ。そう言うことだ』
「じゃあ、ジャンヌの遺産ってもしかして――」
『可能性は高いな』
「ジャンヌ・ダルクは世界を見通し未来も見通していた……と」
『そうなるな』
……ジャンヌ・ダルクの過去は謎に包まれている。それだけに、僕たちの力ではどうしようもない。解明すれば――そう思って何人もの学者が投入された。だけど、彼女の謎に触れたものは全員、皆殺しにあったという。それは、世界のタブーだった。
絶対許されない世界の禁句だった。なぜ彼女にそんなルールがあるのか。そんなのはわからない。だけど、一つ言えることはこうだ。彼女は――世界の謎を知っている。と。
「……なあ、ヘレン?」
「なに……?」
「こんな理不尽な世の中、変えたい」
「なら――今は休んで――」
それが最後の彼女の言葉だった。それ以降彼女は人形のように動かなかった。そして、その瞬間に世界のどこかでジャンヌ・ダルクの遺産がよみがえる。……そいつを手にさえ入れれば。そいつを手にさえすれば。世界はこの手の中になる……
狂った男がそこにはいた。だけども――立った最後に残ったりせいで、感情を制御した。ケビンという男と同じ過ちを繰り返さぬよう――
「……あれ、電話?」
『あ、もしもし。ヘレンか?』
「いえ、花園です」
『……圭、ヘレンは?』
「……」
『このゆがみ――ヘレンが居ないからか?』
「何か、何かあったんですか?」
『ああ』
事情を説明される。世界の中心にゆがみが出来たと。そのせいで、リターンフューチャーは力を失い、完全に未来を見るだけの力になっている、と。だけど、僕には心当たりがあった。ヘレンが残した最後の――心当たりが。
「遺産で――どうにかならないんですか?」
『え? お前の遺産じゃどうにもならんぞ』
「ちがいます。ジャンヌの遺産です」
『……あるのか?』
「ヘレンが居なくなったことでどこかに復活しているはずです」
『……そうか』
最後の希望。ジャンヌの遺産。その力はすべてを可能にしてしまう恐ろしいものだった。その力は世界なぞ作り直すのに造作もないほどの物だった。そんな代物が、この世に存在していた。
『……結局、人類は箱に頼りっぱなし、か』
「人類は進歩しないんですもん……仕方ないですよ……」
『ああ。そうだったな』
「そこに終木神さんいますか?」
『え? あ、ああ』
「変わってください」
彼ならわかるはずだ。能力について。解明できるはずだ。
「能力は死ぬことによって種となり、やがて別の人間へ移り変わり花を咲かせる……」
『ああ。そう言うことだ』
「じゃあ、ジャンヌの遺産ってもしかして――」
『可能性は高いな』
「ジャンヌ・ダルクは世界を見通し未来も見通していた……と」
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……ジャンヌ・ダルクの過去は謎に包まれている。それだけに、僕たちの力ではどうしようもない。解明すれば――そう思って何人もの学者が投入された。だけど、彼女の謎に触れたものは全員、皆殺しにあったという。それは、世界のタブーだった。
絶対許されない世界の禁句だった。なぜ彼女にそんなルールがあるのか。そんなのはわからない。だけど、一つ言えることはこうだ。彼女は――世界の謎を知っている。と。
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