俺の兄貴、俺の弟...

日向 ずい

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俺と尊の喧嘩...。(都和目線です)

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 すっかり遅くなってしまった...上城と飲みに行ったせいで...いまの時刻は午前1時をすぎたところだった。
 きっと尊は、もう寝ているだろうな...なんて思いながら、俺は家に帰宅したんだ...。

 玄関を入ると、部屋の電気がついていることに気づいて俺は、びっくりした。
「...尊??...ただいま...まだ、起きているのか...??」
俺は、ゆっくり玄関からリビングに向かっていったが、そこには尊の様子はなく、俺は、何となく台所に行き、冷蔵庫から缶ビールを取り出しておもむろにスーツの上着を脱ぎ、首元のネクタイを緩めるとテレビの前のソファに身体を預けた。
 ビールを煽りながら俺は、ため息をついて
「...ハァ...なんでだろう...何か忘れている気がするんだが...一体...あー!なんか腹立つな...。」
この独り言が引き金となったのか気がついた時には、缶ビールを5本開けてしまっていた。
 そんな時、ふと部屋のドアが開く音がしてその足音は、リビングの俺のいる方へと近づいてきていた。
 足音が止まると同時に俺に向けられた声が、静寂の部屋にこだました。
「...おかえり...遅かったね...今日は...仕事が長引いたんだよね??...お疲れ様...というより兄貴...そんなにお酒飲んで大丈夫なの...?」
こう言って、テーブルにおいてある俺が開けた缶を一つ手に取ると...尊が、心配そうにソファに座る俺の方をじっと見つめていた。
俺は、酒に酔っていたせいで尊にしてはいけないことをしてしまった...。
「た~ける!!お前は、い~つもかわい~な~!(笑)ほ~ら、立ってないで座れよ~!!」
「...ちょっ...兄貴...酔いすぎだって...完全に出来上がってるじゃんか...。」
俺は、空き缶を持っていた尊の腕を掴み自分の方に引き寄せて俺の股の間に座らせて後ろから包み込む様な体勢になった。
 尊も、年上の俺には力で適わなかったみたいで、されるがままになってしまった。
俺は、さらに続けて
「...たけるは、ほんと~にいい香りがする~!(笑)ほら、こうやって背後から抱きしめたら、たけるの鼓動が俺の体にまで響いてくる...。ずっとこうしたかった...たける不足で最近ほんとにしんどかった~...ねぇ...たける...俺と...キス...して...??」
ってほんとに俺が言ったのか!?こんな小っ恥ずかしいこと...。(照)
 うわー、真面目に俺もお酒の飲み方考えないとな...(笑)

俺の発言に尊は、身体をビクッとさせて
「...えっ...ちょっと...にーちゃん??...正気...??...いや...ちょっ...待って...まだ、心の準備も何も...!?」
なんて言ってる尊に俺は、問答無用で尊をソファの上に押し倒した。
 そして、尊の明らかに動揺した顔をじっと見つめて
「...たける...オレと...しよ??...たけるもそれを望んでるんだし...??」
押し倒された尊は、俺の目をじっと見つめて
「...俺は...にーちゃんとそういう関係になりたいとは思ってるよ??...でも、お酒に操られていないにーちゃんは、それを望んでいない...正気のにーちゃんが本当に望んでいないなら、俺は...出来ない...。」
そう言ってる尊は、身体を震わせて両手を都和の胸板に置いて軽く押した。だが、これが都和の気持ちに火をつけた。
 都和は、自分の胸に置かれた尊の両手を掴むと尊の頭の上で押さえつけた...と次の瞬間...尊の耳元で
「...いい加減...自分の置かれている状況を把握したらどうかな...??...ねぇ、たける...。」
 こう尊に囁くと顔を上げて、尊の口を塞いだ...。
「...っ!?」
尊は、必死に身をよじったが酒の入っている都和に、適うはずもなく唇を奪われてしまった...。
 唇を離した都和に真っ赤になりながら尊は、怒鳴った。
「...兄貴...何してんだよ!??俺のことさんざん嫌がって...さんざん俺の気持ち弄(もてあそ)んだくせに...ほんとに...どこまで俺を追い詰めれば気が済むんだよ...(泣)」
尊は、自分の上に馬乗りになる都和を睨んでいたが、目には大粒の涙をたくさん溜めていた。
 そんな尊に構わず、再度尊の唇を奪おうとして、尊が目をつぶった瞬間...バタッと鈍い音がして、恐る恐る尊が目を開くと、ソファの下で寝息を立てる都和がいた。
 尊は、そんな都和を見てソファから起き上がると
「...にーちゃんなんて...兄貴なんて...大っ嫌いだ!!!(泣)」
と言って走って自分の部屋に戻って行った。
 その後、尊にしてしまったことは、全く記憶にない都和なのであった...尊に、避けられるようになる事は、また次の話である。
 その頃尊は、自室の部屋でドアにもたれかかり地面に座り込むと、まだ冷めない熱い頬を、両手で覆っているのであった。
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